ユーハイム 志賀 勝栄さん
(パンとワインの夕べにて)

 

オープン時の志賀シェフ
丸ビルのオープンとともに、地下1階に入ったユーハイムに移りました。"ユーハイム"のパンですから、ドイツの香りがするものを意識して作っています。ただ、ケーキのほうもガチガチにドイツ菓子ではなく、自由な表現をしているので、パンも同様にそうしているんです。

自分が作るからには、オリジナリティを出したパンを並べたいですね。その中で、ドイツパンという、日本ではまだそれほどなじみのないものを、親しみやすく食べてもらえる工夫もしているんです。例えばライ麦100%のパンには、ご飯に近い感覚を持ってもらえたらと、丸麦を少し加えています。食パンも、ヨーグルトで乳酸菌発酵させることで、食べやすいけれどドイツを感じるほのかな酸味を出しているんです。コルナンコルンというパンはニンジンのせん切りやピリっとするケイパーの実、ハーブ類がたくさん入った変わったパンです。とっつき難く感じますが、よく噛んでいると、ひとつの料理を食べているような味わいです。


こういうパンにもっともっとお客さんがついて来てくれるよう、例えばサンドイッチを増やすなど考えています。それから、試食のパンの形態を変えることも課題。今は切っただけの状態で出していますが、ペーストを塗ったり、チーズとの組み合わせをみせていったりしようと思っています。要するに、積極的に食べ方の提案をしていこうと。

赤坂見附のペルティエのパンも、来年いっぱいかけてルセットの見直しをする予定です。どんな風にというと難しいのですが、僕や、働くスタッフの、より今の気持ちに近いパンにしていこうと思うんです。僕ね、美味しいものを作るには、スタッフ全員が「明日も会社に行きたい」「明日もみんなに会って仕事がしたい」と思うことが何よりの秘訣だと思うんです。そのために、ときどきこういう軌道修正が大事だと思っている。作っているものと気持ちが近ければ近いほど、やる気が出るでしょう?


ほかにもね、会社の大きな動きで、12月にドイツの3つ星シェフをメニューのディレクターに迎えてのレストラン出店というプロジェクトがあるんです。そこのパンをどうするかが、これまた楽しみな仕事のひとつ。まだそのシェフと話をしていないのですが、食事に合うパンかつオリジナリティーがあって、本当にこの店にこないと食べられないものにしちゃおうかなあ、なんて考えているところなんですよ。是非楽しみにしていてください。




ユーハイム 丸ビル店
東京都千代田区丸の内2−4−1 丸ビル地下一階
03−5220−3301
志賀さんの秘密