フランス菓子 ペシェ・ミニョン

五十嵐 貴之 氏

大学卒業後、すぐに『ペシェ・ミニョン』に務めましました。実家は北海道の苫小牧で和菓子屋をしていてケーキも作っていたという影響もあり、パティシエの道を志したんです。それと、大学時代に自分が入っていた男ばかりのクラブに実家のケーキを差し入れしたことがあって、その時、仲間がうれしそうにケーキを食べている姿を見て、この小さなお菓子に人を和やかにさせることができるんだ、ということに感動した・・というのもパティシエになったきっかけでもありますね。

『ペシェ・ミニョン』に入ることになったのは、実家の関係の問屋さんに中澤誠一社長を紹介されからです。はじめてお店に行った時に出されたケーキが6品くらいあって、そのどれもが、自分の実家でも作ってないケーキ、北海道でも見たことがないケーキで、本当に美味しかったんです。一つ一つのケーキには、これはこういう味なんだ、という主張があり、中澤さんの素材に対するこだわりにひかれ、ここで仕事をしてみたいと思いました。

特に、カスタードなどに使う牛乳にはこだわりがあり、地元の山川牛乳・低温殺菌ノンホモを使っています。コストもかかるけど、やはりこれも素材に対するこだわりです。生クリームは九州のオーム乳業から取り寄せています。ブレンドしてみたりして、うちのケーキに合うということでそれを使っています。フルーツはできるだけ地元から美味しいものを取り寄せたいと思っていますが、北海道ではとれないものは他から取り寄せをしています。

ペシェ・ミニョン



山川牛乳

フランスのケーキというのは、生地だったらアーモンドとか・・クリームだったらピスタチオとか・・フルーツなど、一つ一つの個性がありそれぞれの持ち味を主張し合っていますよね。それがぶつかり合って一つのケーキができていると思うんです。そんな力強い味わいのケーキを作りたいと思っています。

それと、焼き方ひとつにもこだわりたいと思います。例えばアーモンド、しっかりと火を入れることによってアーモンドの香ばしさだとか味とかがでてくるんです。その素材一つ一つの特徴を引き出してあげる、表現ができるようにということを心がけてお菓子作りをしています。

ケーキは食感、食べる時の温度、味わいのバランス、そして見た目も味のうちですから…大切にしています。特に見たときに食べたい、可愛らしい、そして『ペシェ・ミニョン』らしいあたたかみがあると、思わせるような飾り付けであるよう心がけています。

 今後は、香辛料やハーブ系を使った香りの良いケーキを作っていきたいです。それと一度は、フランスで修業をしてみたいですね。でも、まだまだお菓子は奥が深いので、もう少し自分のものにしてからですかね。…ケーキの作り方、考え方、お店の雰囲気作りなどの理解を深めてから、フランスに行きたいと思います。そして、いずれは実家で菓子屋をやりたいと思っています。

取材日 2001年4月





フランス菓子 ペシェ・ミニョン
北海道函館市乃木町1−2
TEL: 0138-31-4301


五十嵐さんの秘密