プティ ブローニュ

斎藤 喜美夫 氏

右・斎藤シェフ
左・光田シェフ(斎藤氏の片腕として活躍中)
岐阜県出身。 神戸の「フーケ」で3年間の修業後、家業(斎藤ベーカリー)を継ぎ、その後、1988年にご自身の店の第一号店を福光に開店。1996年12月、日野にプティブローニュを開店。

岐阜県でのお菓子の傾向はいかがですか?
岐阜は結構、菓子の味に対する水準は高いと思います。車社会なので半径3kmぐらいの地域のお客さんが来ます。やはりリピータが多いので、シュー、モンブラン、ショートケーキなど定番のものに気をつかうのはもちろん、旬のものを取り入れたり、お客様に飽きられないような努力は重ねています。この季節は、「小春」という新作もあります。 うちのモンブランは、美味しいですよ。クリームには栗のペーストを使わず、自分で裏ごししたものを使います。本物の味わいを楽しんでいただきたいですね。
理想は月に一品は新しいメニューを増やして行きたいです。

斎藤さんご自身は、どんなケーキがお好きなんですか?
自分としてはやはり、チョコレートが好きですね。この時期(編集部注・バレンタインデー前でした)だと、このチョコレートムースが自信作なんですよ。隠し味にオレンジのコンフィをタルト生地の上にのせてあるんです。バレンタインデー用だけでもいくつかあるんですよ。けっこう季節でいろいろ入れ替わっちゃうんで、載せてもらった写真がその時期にあるか心配ですね。

素材選びはどんなことに気を使いますか?
岐阜みたいな田舎は当然、卵は有精卵ですね。東京とかで、わざわざ有精卵を使っています…ってうたっているのが不思議なくらい、このへんでは、当然のことですよ。もちろんフランボワーズなんかも、まわりの畑に種まいとくと2年ぐらいで実がなりますよ。ハーブなんかほっとけばやたらとはえてきます、新鮮で香りのいいものが手にはいります。

職人として、これは・・と思うことってありますか?
手間は惜しまないほうです。 この「小春」なんか 石垣のようにクリームを見せるのに、まずクリームにイチゴとフランボワーズのマッシュを加え、丸く絞ります、これにココアをふり、丸めます、これをジェノワーズの上に3段ぐらい重ねます。
自分が小さいころから食べてきたので、やはりクリームはこってりしたもののほうが美味しいと感じます。最近のはやりの軽いものより、本当に美味しいのは、しっかりした生クリームですよ。そう思いませんか。

ご自身はどんなタイプの職人だと思いますか?
職人にも2つのパターンがあると思います。自分流を前面にだし、食べたい人にだけ来てくださいというタイプと、お客様の口に合うものを、研究して味を変えて地域密着型でいくタイプ。自分は後者のほうです。地方ですと岐阜なんかは人口50万に満たない都市ですから、ましてこの周りから来られるお客様の数を考えたら、せざるを得ないといったところです。
昔は、よくこの辺の人を集めて講習会をやっていました。最近はやはり、本業で菓子を作って、買っていただくほうを重点にしてます。
地域の違った業種のかたともネットワークを組んでいかないとやっていけないんですよ。レストランの人や、パン屋さんとも積極的に話をしていくようにしてます。どんなものがはやっているとか、スタイルとか学ぶところが多いし、店の中だけで終始しているとだんだんお客様が離れていってしまいます。

将来どんな展開をしていきたいと考えていますか?
今後は、岐阜のような地方都市にも、お菓子をもっと知ってもらうために、デパート等とタイアップして、ケーキのコーナのプロデュースをしたり、若い職人を育てたりしていきたいですね。

取材日 2000年2月


斎藤さんの秘密