パティスリー・プラネッツ

山本光二 氏

見て喜んで、食べて喜んでもらえるケーキ。それが理想ですね。広尾の『イグレッグ』のときと、味はほとんど変わっていないと思うけれど、一番変わったのは価格かな。3割くらい安くなっています。『イグレッグ広尾』のときは他のケーキとの値段のバランスから、シュークリームなど出せなかった。でも、この店にはあります。

自分で店を持つっていうのは今までと何が一番違うかというと、トータルでコーディネートできること。ケーキの顔とか味だけでなく、店の中全てに自分らしさが出せる。ディスプレー一つ、ショーケース一つ、店の一つ一つに自分らしさが出せるんだよね。それがなにより大きいかな。この店のテーマは"家族"。地元を中心に、子供から大人までに喜んでもらえる店にしたいよね。

もともと料理は好きだったんですよ。小学校のとき家庭科で作って、それを家でも作ると親とか褒めてくれるでしょう。それで、今思うとおかしいけれど、当時は自分のこと「料理の天才じゃないか」って思っていたからね。

見た目の美しさが魅力的で、調理師学校に行ったあとはフランス料理店へ。そのうち、組み立てていく楽しさみたいなことと、やはりビジュアルの美しさでケーキにはまっていった。『エヴァンタイユ』に5年、『ホテル西洋銀座』に3年、それからフランスに3年。日本に戻ってきて、『イグレッグ広尾』などを経て今に至るんだけれど、自分の中のベースができたのは『ホテル西洋銀座』かな。

そこでの修業があったから、フランスにいっても仕事では驚くことはそんなになかったけれど、生活の中に当たり前にお菓子が入り込んでいるのには驚いたよね。当たり前に食べているバターが美味しいとか、生クリームが美味しいとか、普通に家庭で作るお菓子の食材の組あわせとか。フランスでは、とにかく当たり前の凄さというのを感じたなあ。

戻って来て最初の頃は「フランス、フランス」って肩肘はっていたところ、あったよね。尖がっていた。でも今は自然体でできるようになって、そうなってから、不思議とアイディアも自然にわきでてくるようになったんだよね。地に足がついてケーキを作っているとでもいえばいいかなあ。

オーナーパティシエとしての一番の苦労は、「自分のかわりがいない」ということ。下を育てて従業員のレベルを上げ、店全体のレベルを上げること、それが今一番大事なことだと思っているんだ。雑用も多いし、考えなければならないことも増えた。でも、できればずっと、職人としてお菓子を作り続けていきたいよね。

取材日 2001年10月











パティスリー・プラネッツ
練馬区大泉学園町5-8-20
TEL: 03-5933-1233


山本さんの秘密