ブーランジェリー Ubon(ウボン)
オーナー 森岡 延郎さん

「ubon」という名前をつけた理由なんですが、本当は違う店名にしようと思っていたんです。が、名前を決めるとき父親がちょうど亡くなってしまって。父にしては珍しく、パン屋をやることに賛成してくれていたんですよ。それで、僕と父の名前についているNOBUを逆さ読みにして、ubonという店名にしたんです。

パン店をはじめたきっかけは、ウチはもともとジュエリーやアクセサリーを扱うお店だったんです。ただ将来性が望めないと考え、違う商売を、と。そこで思いついたのがカフェなんです。デニッシュ・カフェを。今から6〜7年前の話です。けれども、なかなか出店場所がみつからなくて。まぁ、立ち上がりとしてはパンをトータルでやろう、ということにしたんです。それが今から3年前のはなしです。





そして、今年ようやく店ができたわけですが、パンは難しいですね。というのは、食べ物、全般にいえますが人が作ったものを選び抜いてチョイスするだけでなく、最初から考えなくちゃならないからです。僕は商品構成を消去法で行なうんですよ。嫌なものは置かない、そうすればいい店になるっていう。パンでいえば、僕、あんぱんとかメロンパン、クリームパン、焼きそばパン、お好み焼きパン、そういうものは置きたくない。けど、そういうのを置かないと、品数が足りなくなってしまうんで、自分で商品を最初から考えなくちゃならない。これが難しいですね。




僕自身、パン業界の人間ではないだけに、本当にイメージ先行なわけです。けど、作りたいパンはデンマークのデニッシュ。ただ、デンマークそのもののデニッシュではなくて、アメリカに移住したデンマーク人が作ったようなもの、ちょっとアメリカナイズされたデニッシュが作りたいんです。ただ、ウチのデニッシュはまだその域には入っていません。もちろん、もともと気候が違うから無理ということ、あと、日本では生地はできても、生クリームが使えないんでダメなんですよ。日本のデニッシュってみんなカスターでしょ、僕、あれ、アマッたるくてダメなんです。なんとかして生クリームを使ったデニッシュを作りたいと思っているところです。冬場だけでも、それか店のなか寒くしてでも売りたいです。それくらいおいしい。だいたいみんな食べたことないでしょう、生クリームのデニッシュ。作りはシンプルにして、生地はサクサクパラパラ、ナイフとフォークで食べるんです。ナイフ&フォークで食べるパンなんてないでしょ? そういうのをいつかはやりたいんです。そして、おいしくて飽きることなく、もっと食べたいと思うパン、難しいですがそんなパンができるといいなと思っています。
デニッシュ

雰囲気としてはアメリカの片田舎のおばちゃんが作ったようなものです。技術を誇示するのではなくて、ぬくもりのあるパン。つまり、プロからみて形がちょっと、でも食べてみたらおいしいよねっ、ていうのがあると思うんです。そういうのが、年に数個でもできればいいなと思っています。

最終的に僕は、カフェをやりたいわけです。小規模なカフェ。ウィンドーがあって、そこに商品を並べて、イートインを兼ねて売りたいわけです。雰囲気としては、昔よくやっていたアンパン食べて牛乳っていう感覚のもっとおしゃれなのがやりたいんです。最終目的はカフェなので、ある意味、このパン店は研究開発室なんですよ。だから、毎日同じパンがなくてもいいじゃないか、と思っています(笑い)。




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森岡延郎社長とともに、ぬくもりがあっておしゃれ、そんなubonらしいパンの開発に力を入れる。砂崎さん。


ブーランジェリー Ubon
神奈川県横浜市みすずが丘2−29
045−979−1120