「小麦粉」を分類する方法の中に、「特等粉」や「一等粉」といった名称を用いる分類法があります。簡単に言ってしまえばこれは「品質」によって分類する方法です。

どのように等級分けがされているのか
一般的に小麦粉は、小麦の胚乳部分を細かく砕いて粉にしたものを言います。この胚乳を粉砕する作業は、一度におこなわれるものではありません。それは、小麦の胚乳の部分には、硬い「外皮」や「胚芽」がピッタリと密着していて、胚乳の部分だけを簡単に取り出すことができません。そこで、製粉工場では、まずはじめに、小麦を皮のまま粗く砕いて、その破片の中から胚乳だけの純粋な部分と「外皮」のついた部分と選り分けます。

次に胚乳部分だけのところは「製粉工程」へ送られ、外皮のついた部分は、もう一度「粗砕き工程」に戻されます。この粗砕き工程は数回繰り返されますが、最初の段階で得られた胚乳ほど、小麦の中心部分のものが多く、後の段階で胚乳になるほど外皮の近くももが多くなっているのです。ですから必然的に、最初の段階で得られた小麦ほど胚乳の純度が高く、後の段階の小麦粉ほど外皮や胚芽の混入が多くなるのです。

外皮や胚芽の部分には、胚乳の部分にはほとんど含まれていない「繊維分」や「ミネラル類」が大量に含まれています。ですから、外皮や胚芽の混入した小麦粉ほど色も悪く、品質の劣化につながる酵素類の量も多くなります。つまり、同じ小麦から作られた小麦粉でも、その製粉の段階によって「品質」の異なる数種類の小麦粉がうまれ、その品質の違いをあきらかにするために行われているのが、小麦粉の「等級」による表示です。外皮の混入の少ない品質の高いものから「特等粉」「1等粉」…「末粉」とよんでいます。

等級とその特性

家庭用として販売されている粉は、普通は「1等粉」を中心にしたものです。業務用としては、いろいろな品質のものがあり、その目的とする製品に合わせて使い分けが行われています。


等級分けによる製品分類
等級別によって小麦の使用される目的も大きく変わってきます。例えば強力粉で見てみると、「特等粉」は主として高級なパン類に利用されていますが、外皮の混入の激しい「3等粉」は小麦粉そのものとしてではなく、その中のタンパク質を取り出して麩の原料としてなど利用されたりしています

等級分けによる製品分類

グルテンの強さによる分類
薄力粉中力粉強力粉デュラム粉
特等粉 カステラ
高級ケーキ
天ぷら
フランスパン高級ロールパン高級マカロニ
1等粉 ケーキ
クッキー
まんじゅう
高級麺
そうめん
冷麦
高級菓子パン
高級中華麺
パン
マカロニ
2等粉 一般菓子
ハードビスケット
うどん
クラッカー
(中華麺)
菓子パン
中華麺
(うどん)
スパゲッティ
3等粉駄菓子カリントウ 焼麩
生麩

末粉
工業用