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平成10年6月、明治乳業が関東地区を中心とする新たな生産拠点として作ったのがこの守谷工場である。『環境と安全への徹底した配慮、さらにローコストオペレーションを可能とした最新鋭の工場』とパンフレットにあるように、広さはもちろんのこと、生乳の入荷から設備まで、いままで見てきた地域の酪農協とは趣を異とした工場だ。『みるく館』という名の見学者用の展示や見学ルートがある建物を併設しているのも守谷工場の大きな特徴で、今回パナデリアではこの『みるく館』を訪れ、大手メーカーの乳製品がどのように作られているかを探ってみることにしました。 守谷工場の総敷地面積は108,710u。現在生産棟が10,000万u、物流棟が6,300uである。といって数を並べてもその大きさにピンとこないかもしれないが、もともとJRAがトレーニングセンターにしようと思った敷地だった、といえばその大きさを少しはわかっていただけるだろうか。馬が、走れる大きさである。そんな大きな工場だから、さぞや色々な主力商品を作っているだろうと思ったら、生産しているのは、牛乳を中心としたゲーブルパックという500mlや1000mlの背の高いパックの飲料と、小型のミニッツメイドというジュースの2つだけ。全国にある工場ごと、このように品種を決めて生産ラインをシンプルにすることで効率化をはかっているそうである。そして驚くべきことに、これだけの面積があって従業員数はたったの70名。見学コースから覗いたベルトコンベアーの生産過程にほとんど人の姿はない。工場のまわりで従業員がビンを積んでいたり、長靴でホースを握っていたり、従業員同士が会話している姿を見かける地域の酪農協の牛乳工場と大きな違いである。 生乳の回収も、さすがは首都圏全域に商品を卸していると思わせるものがある。なんと、生乳の何割かは北海道からフェリーで運ばれてくるのである! そして産地別に巨大タンクに入れられ、保管される。タンク車が毎朝回って地元の酪農家から生乳を集める酪農協の牛乳工場とは本当に規模が違い、システムが全く違うのだ。 何より気を遣っているのが衛生面で、「ESL技術の導入により、全行程における管理システムを整備し、従来より保存期間も長くなりました」というように徹底して最初の段階から最後の段階まで細菌をシャットアウトする。『HACCP』に基づいた品質管理体制も安心の証だ。そして、フロンの使用は禁止である。このような環境への配慮を大規模な工場がすすめているというのは、頼もしいといえる。ほかにも、工場内の窓は虫除けガラスなどの気配りや、深夜電力を使って氷を作り、製造棟と物流棟(冷蔵庫)が別れているので熱の流れもスムーズなど、省エネ対策もバッチリだ。大量に使う水は、霞ケ浦から地下を通ってこの町まで送られてくる。これは市が工場誘致のためにやったというから、これまた凄い。 どこを見ても清潔そのものである。細菌混入などないだろうことを、説明されるより見て感じるほど。超高温で殺菌され、パックに詰められた牛乳が次から次へと生産されていく。そしてこの牛乳が日本の大部分で子供から大人までが口にし、わたし達をささえている牛乳なのである。 |
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