モンサンクレール

辻口 博啓 さん


牛乳を選ぶ基準は、飲んでみて美味しいと思えること、そして安全なことです。僕が美味しいなと感じるのは、すっと体に入って、すっと消える味なんだけど、ある程度濃厚な味のもの。今、店でメインで使っているのは、タカナシの4.0%です。いろいろ飲んでみて、美味しい、自分の好みだと思ってこれにしました。他に、タカナシの低温殺菌牛乳も使っています。これを使ってアングレーゼを炊くときは、ゆっくりゆっくり火を入れて、低温殺菌牛乳の成分の良さを損なわないようにしています。今後は徐々にメインに使うものを低温殺菌乳中心に切り替えていくと思います。

それから、同じくタカナシの濃縮乳も使っています。牛乳を脱脂して詰め濃くした液体のものです。それと、脱脂粉乳の両方使っています。液体のもののほうが、圧倒的になめらかな食感。体にもすっと入ってくる感じがしますがね、プディングやアングレーゼに使っています。ただ、フレッシュな分、日持ちがしないのが難点です。脱脂粉乳はパンをつくるとき使います。どちらも少し入れるだけで味にコクと深みが生まれます。
パートシュクレやパートサブレなど作るときにも、卵白だけでつなぐ場合と牛乳や濃縮乳などの乳製品を加える場合もありますよね。ホロホロっと崩れやすい食感で、コクの有るやさしい味を出したいときには乳製品などを加えたり、また、しっかりとガリッとした食感でシンプルな味にしたいときは卵白だけで、または卵の一部などを乳製品に変えたり…それぞれの食感に対して、新しい提案をしていけばお菓子作りの幅もひろがるでしょうしね。しかし、パートシュクレやパートサブレなどそれ単体で食べる訳ではないから、その他の合わせる素材に応じて、“乳”というのはマイナスの部分もあるわけですよ。そこがやはり水で置き換えなくてはならない場合もあるだろうし、なんでもリッチにすればいいというわけではなく、すべてトータルで考えるものだから…素材の生かし方によっていろんなケースがあるんです。いちがいにこうしなければいけないというわけではないから、お菓子作りは無限の組み合わせですよね。

それと今後は、本当に美味しい、自分が使ってみたいと思えるジャージー乳などが手に入ったら、それを使って牛乳の味をぐっとメインに押し出したお菓子を考えるかもしれませんね。やはり、牛乳のフレッシュ感があるように使っていきたいですね。
僕自身、毎日1リットルの牛乳を飲んで大きくなりました。背が伸びたのは牛乳のおかげだと思っているから、牛乳って体にとても大切なものだと思っているし、今でも大好きなんですよ。



タカナシ
低温殺菌牛乳




プティング・アラメゾン