昨年末はフランスをはじめヨーロッパでクリスマス気分を存分に満喫してきたパナデリア。帰国後はまだクリスマス前だっていうのに、

「なんだかもうクリスマスが終わってしまったみたいですね〜」

なんて言葉も飛び出すほど。とはいえ毎年恒例のクリスマスパーティーをしなきゃパナデリアの1年は終わらない!
それにしても、ついこの間クリスマスケーキを食べたばかりだと思っていたのに、あれからもう1年が経ったなんて驚きです。いつもおいしいお菓子やパンをたくさん食べているけれど、クリスマスケーキを選ぶ楽しみはまた別のもの。さて、今回、パナデリアが食べたクリスマスケーキとは?そしてクリスマスディナーの内容はいかに?

それでは、パナデリアのクリスマスパーティに、しばしお付き合いください。




パーティーはお昼から始まっていた! 


それは、自他ともに認めるバター好き・スタッフYの一言から始まりました。

「せっかくのパーティーだし、『イエンセン』のカイングラを頼みましょうよ〜!」

とさっそくお店に予約の電話。しかし…

「料理を食べた後はクリスマスケーキもあるのに、カイングラまで食べきれないんじゃない!?」

と突如沸きあがった心配の声。それなら、と

「じゃあ、ランチにみんなで食べましょうよ!」

クリスマスパーティーの開始は18時頃を予定。でも、やれ「パーティーだ」やれ「イベントだ」というと、とことん楽しんじゃうのがパナデリア。こうしてお昼からパナデリアのクリスマスパーティーは始まったのでした。食べたことのある方ならお分かりでしょうが、ゆうに10人前はあるであろう大きなデニッシュを目の前に、それまで慌しく働いていたスタッフたちのテンションは急上昇!さっくりと軽いデニッシュ生地にたっぷりのクリームとアーモンドスライス。バターの香りとアーモンドの香ばしい香りに包まれ、カットしてもまだ大きなカイングラにかぶりつくみんなの顔は幸せそのもの!

カイングラにもクリスマスの飾りが


みんなで分けてもこのボリューム!


いざパーティー会場へ!


この日は特別、早めに仕事を終わらせパーティーの準備のため会場へ。今回も会場となるのはライター・浅妻千映子さんのご自宅。洗練された素敵な空間は、一気にクリスマス気分を高めてくれます。スタッフのうち二人は、予約したクリスマスケーキをそれぞれ受け取りに行った後、少し遅れて到着。実はこの時はすでに、もう一つのスペシャルケーキを受け取った後だったのでした。そしてクリスマスケーキのほかに楽しみなのがパナデリア主宰・三宅の料理。そう、これはスタッフだけの特権!今回のクリスマスディナーも、もちろんシェフ・三宅が腕を奮います。

バーナーだって登場しちゃいます!


数種類の野菜をじっくり煮込んでとったスープはどの料理にも大活躍!


パーティーのスタート!


今回は、料理1品にそれぞれ違うパンを添えて一緒に食べるというもの。


〜Amuse〜 


カリカリベーコンとアボカドのカクテル

アボカドのまったり感と卵のコク、そこにアクセントをつけるのはカリカリに焼いたベーコン。黄と緑のコントラストが美しい! パルミジャーノ、アボカド&スモークサーモンをのせたロッゲンブロートと一緒に。



〜Potage〜


蕪と蓮根のポタージュ

口の中にしっかりと広がる蕪と蓮根の風味…この優しい味わいはじんわりと身体に染み渡ります。トローリとした中に残るシャキシャキ感が楽しいポタージュ。シンプルな角食パンを花びらに抜きフランス産バターを塗り、贅沢にも雲丹ソースを添えました!



〜Poisson〜


ホタテとマグロのソースヴェール

薄〜くスライスした大根からうっすらと透けて見えるのはとろけるようなホタテとマグロ。シャキッと歯切れのよい淡白な大根に、噛むほどに感じる海の幸の甘みが絶妙です。これにはバターと卵がたっぷりのブリオッシュを合わせて。



〜Pasta〜


イカ墨のリゾット

以前、浅妻さんからいただいたスペイン土産のイカ墨ペーストを使った1品。角切りにしたコロコロの軟らかいイカもたっぷり入ります。野菜のだしの旨みとまろやかな味わいは、「いくらでも食べられる!」との声続出。後のことを考えてみんなぐっと我慢していましたが…。



〜Viande〜


鹿児島豚のロースト(バラ肉)

今回のメインは、パナデリアでもそのおいしさに惚れ込んでいる豚生産農家「陣之内工房」の「かごしま黒豚」!仕込みに合わせて、数日前に届くよう鹿児島から送っていただいたのです。2日間塩漬けし、さらに塩抜きをしてじっくりとオーブンで焼いた豚肉は、表面はカリッと香ばしく、中は驚くほどジューシー。



鹿児島豚のロースト(ロース肉)

「やっぱりバラ肉がいいですよね〜」

なんて言ってはみたものの、その後登場したロースからしたたる肉汁を見て歓声が湧き上がったのは言うまでもありません…。どちらも甲乙つけ難いおいしさなのです。肉質のキメ細かさに脂の上品な甘さ、何度食べても溜め息ものの深い味わいに大満足!





浅妻さんお勧めのBIOの微発砲ワイン「ペティアン」(左)に、アルザス土産のBIOワイン「ジョスメイヤーのゲヴェルツ」(右)はどちらも美味!





さあ、メインの後はデザート!いよいよクリスマスケーキの登場です。それまでお腹いっぱい料理を食べた後ですが、ここからがパナデリアの本領発揮!「甘いものは別腹」なんて言葉は私たちのためにある…??去年の5種類のケーキに対し、今回はパナデリアには少なめ(?)の3種類。でも、その分と〜ってもスペシャルなケーキたちがテーブルを彩りました。





パリ・セヴェイユ「ジュピター」
まるでギフトボックスのような箱を開けると、「わぁ〜」と湧き上がった歓声。艶々のグラサージュや繊細な円球のチョコレート細工に目が奪われます。飾られた花のセレクトといい、チョコレートを得意とする金子シェフの手にかかれば、同じクリスマスケーキでもシックで大人っぽく洗練されてしまうのです。とても滑らかで口どけの良いショコラムースに、ミルキーで香り豊かなピスタチオブリュレのコク、この軽い口当たりには驚きです。そして、カットするとトロ〜ッと流れ出るフレッシュで色鮮やかなフランボワーズジュレが、ほど良い酸味でキリッと引き締めてくれます。サクサクのフィヤンティーヌも絶品!プティガトーの「マジェスティック」と同じ構成でありながら、やはりこの味わいはアントルメならではのおいしさです。


ラ・スプランドゥール「シャンティ フレーズ」


「せっかくなら2006年のパナデリアを象徴するお店のケーキも食べたいよね!」

そうしてお願いしたのは「ラ・スプランドゥール」の藤川シェフ。取材はもちろんのこと講習会まで、藤川シェフにはお世話になることが多く、シェフとの出会いはパナデリアにとっても大きなものでした。そんなシェフに

「ベーシックなおいしいイチゴのショートケーキが食べたいんです…」

なんてワガママまで言ってしまったパナデリア。でも、忙しい時期に快く引き受けてくれた藤川シェフに大感謝です。シンプルなイチゴのショートケーキも、見た目、味ともにこんなにも洗練されたものになるなんてさすが藤川シェフ。リキュールがきいた生クリームも、旨みがギュッと濃縮されたほどよい酸味のイチゴもたっぷりでうれしい!ショートケーキが子供だけのケーキではないことを実感させられます。



「ロールケーキ」
「パナデリアさんがすごくたくさん食べるということを忘れていて、普通サイズで作っちゃったんですよ…」

そう申し訳なさそうに一緒に手渡してくれたのがこのロールケーキ。もしかして、藤川シェフのパナデリアへの印象って「大食い集団」!?クリスマスケーキも決して小さいとは言えない十分なサイズなんですよ。うれしいような悲しいような…。とはいえ、もちろん皆でおいしくいただきました!メープルシロップの香りがふわ〜っと広がる、普段使いにもしたいロールケーキです。


ピエール・エルメ パリ「ラ・スリーズ・シュル・ガトー」
パナデリア内で「幻のケーキ」と言われていたこの「ラ・スリーズ・シュル・ガトー」。締めの締めはこれ!聞くところによると、このケーキを作るための型は一つしかないのだそう。そんな貴重なケーキを、なんと今回特別に作っていただけることになりました!このエルメならではのスタイリッシュなデザインのケーキ、構造は「プレジール・シュクレ」と一緒とのこと。描かれた5本の目盛りで、6人分であることを示唆するというのもエルメならではの遊び心。・・・え!?6人分??パーティーのメンバーは全員で7人。このケーキを巡っての争奪戦 が繰り広げられたのは言うまでもありません?いえ、本当はみんなで仲良く分け合って食べました。フィヤンティーヌのザクザクとした食感にジャンドゥージャのコク、ミルクチョコレートの上品でミルキーな味わい、フォークを口に運ぶたび幸せな気分に。



お腹いっぱいになったところで、恒例のプレゼント交換。

「急がないと終電がなくなっちゃう!」

早口で歌う「ジングルベル」もこれまた恒例となりつつあります…。

こんなに素敵なアロマキャンドルや仔豚ちゃんのソープまで!
毎年プレゼント選びにけっこう苦労するんです…。




パナデリアの1年を締めくくるにふさわしい料理やケーキの数々。2007年もたくさんのおいしいものに出会えますように・・・。