〜取材・後藤眞理亜〜


昨年10月に開催されたフランスの「サロン・ド・ショコラ」に参加した後藤眞理亜さんから、レポートが届きました。後藤さんは福島県にお住まいの方。そしてなんとお仕事は、麻酔科医! 甘いもの好きの麻酔科医の先生なんて、素敵ですよね。そんな後藤さんのパリの「サロン・ド・ショコラ」報告、ぜひ皆さんもご覧ください。


パリの「サロン・ド・ショコラ」に参加してきました。サロン・ド・ショコラはもとより、パリも初めての経験なので、行く前から興奮気味。長いフライト時間も予習の時間となりました。 まずは、前夜祭に。なんと、その日からパリは大規模ストライキで、使える交通手段はタクシーのみ。メトロ駅前にはタクシーを待つ行列が。待つこと約1.5時間、なんとか会場にたどりつきました。会場に入り、プレス&フォトグラフィーパスのプレートをもらい、フロアにでると、そこは一面ショコラの世界。広大な会場には膨大な数のブースが並び、中央ではすでに華やかなショーが始まっていました。前夜祭ということもあり、有名なショコラティエが店頭に立ち、ショコラを手渡してサインをくれたり、写真を一緒に撮ってくれたりと楽しさ満載。とにかく、ブースの数と多様さに圧倒されました。





翌日の初日には、ほぼ開場とともに入場。入り口にはカカオの森林、生産地の様子、生産過程などを展示したブースが。奥に進むと巨大なチョコレートのツリーがあり、キュートな色とりどりのリップ型のショコラがはりつけてあります。 日本に支店を持つような有名店から、板チョコの量り売りまで、展示のバラエティも豊か。マカロンの山、カラフルにデコレートされたパウンドケーキやらエクレアやら、緻密な色づけをされたボンボンショコラ、色々な素材で飾られた板チョコは壁一面に。特に今回は“ピンク”の商品を多く目にしました。 各ブースを訪れると試食品を手渡され、満喫しながら、また次の試食と、数えきれない種類のショコラを試してきました。中でもインパクトが強かったボンボンショコラはマルキーズ、ここは5種類を食べてその評価(点数やらコメントやら)を一般の人にアンケート形式で紙にかいてもらっていました、何かコメントをと意識してトライしたせいもあり、印象に残りました。

カカオの森

カラフルなリップチョコのツリー

壁面に色とりどりのタブレットが



生のカカオ豆、焙煎された豆を売っているお店もあり、カカオ元来の風味と苦味が甘くなった口には衝撃でした、ついつい、煎った豆を5種類ほど購入。各生産地で出しているブース(サオトメやブラジル、エクアドル、マダガスカルなど)はこぢんまりとして、店頭の商品数も少ないものの、それぞれの味わいに特徴が感じられました。売り子さんたちが民族衣装を身にまとっていてローカル感にあふれていたのも印象的でした。さらには香辛料のブース、香りがこのエリアは違っていました。その横ではフォアグラを焼いてショコラのソースとともにバゲットにのせたり、はさんだり。これまた、濃厚な組み合わせがたまらなく美味でした。各ショップの店頭デモでは、クレープを焼いていたり、ボンボンショコラを作っていたり、彫刻していたり。とくに、日本の「マダムセツコ」のところでは緻密な作業に多くのギャラリーが集まり、見入っていました。ルルーさんのボンボンショコラのコーティング作業にも釘付けでした。

赤が印象的なボナーのブース

アンリ・ルルー氏の人気は不動のもの



大型店のブースは大きく展示やデモも盛大、「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」ではあのトリュフもボンボンショコラも丸ごと試食。中には、ショコラの製造に使う大型機械を展示しているところ、ショコラでできた人形や彫像を展示しているお店も。 2日目は(フランス語はわからないけれど)デモを中心にまわってみました。ステージ天井には巨大な鏡がとりつけられ、その下で繰り広げられる製作手順が見られるようになっていました。ここで作られた作品は試食できるのですが、どれもこれも芸術作品のように繊細で、味も最高。デザートショコラだけでなく、ショコラを使ったサラダや、フォアグラ、ラムのショコラ料理などもヘビーな美味しさ。

マニファクチャーな巨大ショコラ

ネスレのデモ


最終日はprofessional部門を中心に。こちらは一般の方は入れないため多くはスーツを着たビジネスマン、その彼らもブースではショコラを片手に真剣に商談している様子。こちらの展示は、まさにアート。入り口にはガラスボックスが並び、その中はショコラでできた芸術作品。さらに通路にも作品が陳列され、その美しさと、美味しそうな姿に足がとまるほど。
ショコラだけでなく、きらびやかなラッピングやペーパークラフトのショコラボックスなど、ショコラを引き立てるアイテムを目で味わうブースも多々。
そして、なんと言っても一番奥のコンクール部門。正面入り口にはピエスモンテが陳列され、どれも圧倒されるような迫力と美しさで、衝撃を受けました。贔屓目のせいかもしれませんが、日本の作品が一番素晴らしく思えました。中に入ると、各国の職人さん達がコンクール作品製作の真最中、日本の水野直己氏も忙しそうに立ち動いていました。その前方テーブルではボンボンショコラの品評を。どの審査員も皿一面に並べられた作品を前に真剣な表情。後日、日本に帰国してから水野氏が優勝したと聞きました。

コンクール会場

見事な日本の作品

作業中の水野直己氏


見て、聴いて、触って、嗅いで、食してと、フルに五感を動員し満喫した4日間でした。衝撃の連続とショコラの食べすぎとでクラクラ、フラフラしながら、来年もパリ「サロン・ド・ショコラ」へ来るぞ!と誓いました。