チョコレートのテンパリング




チョコレートのテンパリングとはどのような作業なのか
クーベルチュールチョコレートにはカカオ脂(カカオバター)が多く含まれていますが、カカオバターは何種類かの融点が違う結晶で構成されています。つまり、そのまま使うと口解けが悪くブルームのあるチョコレートを使うことになります。これを防ぐ為に一度あたためることによってカカオバターを分解し安定した細かい粒子に結晶させ融点を同じにする温度操作を行ないます。その作業のことをテンパリングといいます。テンパリングを行ったチョコレートは表面が艶やかで、口当たりが柔らかくなめらかなとても豊潤な香りのチョコレートになるのです。



テンパリングの方法にはどんなものがあるか?
タブラージュ(マーブル台)、刻んだチョコレートを加える方法、電子レンジで行なう方法などがあります。


テンパリング(タブラージュ)の方法
タブラージュとはフランスでよく行われる方法。マーブル台を使って行なうテンパリングのやり方でクーベルチュールを大量に扱うときに適したやり方。
1. クーベルチュールを刻んで湯せんにかけて40〜45℃にします。
2. 全体の1/3〜1/2の量のチョコレートをマーブル台に取り出しパレットナイフで薄くのばして温度を下げていきます。チョコレートの状態でこの作業を繰り返す。
3. 三角パレットで中心にあつめチョコレートが多少固まり27℃までさがったらボールにチョコレートを戻します。
4. ボールのチョコレートと空気が入らないように合わせチョコレートが滑らかでこの時点で31〜32℃くらいならば使えます。
紙に少量をつけて室温において乾かした時にチョコレートの表面にブルームがなく紙からはがせれば成功です。
→ チョコレートの温度が下がった時は、再び温めて31℃で使いましょう。


テンパリング(刻んだチョコレートを加える方法)
溶かしたクーヴェルチュールに刻んだクーヴェルチュールを加えて温度を下げるやり方。主にスイスで使われている方法です。
1. クーヴェルチュールは刻んで2/3をボールに入れて湯せんにかけます。
温度も45〜50℃とし滑らかなチョコレートにします。
2. 残りの1/3のチョコレートをボールに加え混ぜ合わせます。
3. 全体が滑らかな状態のチョコレートになり、32℃になればそのまま使えます。
4. 紙に付けて室温において乾かした時にチョコレートの表面にブルームがなく紙からはがせれば成功です。
→ 温度が低い場合は湯せんにつけますが30〜32℃にしなくてはならない。
1℃でも違うとチョコレートの状態が悪くなります。


テンパリング(電子レンジ)の方法
家庭で作る場合や少量のチョコレートの時におすすめの方法です。
この場合は新しいチョコレートを使います。
1. チョコレートを刻んで耐熱器に入れて電子レンジにかけます。
2. 1分ほどかけて取り出し混ぜ合わせ、さらに1分くらいかけて混ぜ合わせて様子をみます。
3. 全体が滑らかな状態で30〜31℃にし粘りが出ないように全体をよく混ぜます。
4.紙などにつけて室温におき固まってブルームもなくきれいにはがせれば成功です。




ケーキに上掛けするチョコレートでテンパリングをしなくてすむもの
上掛け専用に作られたコーティングチョコがあります。非常にのびがよく、光沢のある表面に仕上がります。
何故、テンパリングが不要なのかと言うとカカオバターの代わりに植物性の油脂を使っているため。美味しく食べるというよりもデコレーション用として用いたほうがよいです。



チョコレートの表面に白い筋や斑点のようなものが浮き出ているものは
それは「ブルーム」と呼ばれるものです。

ブルームとはどんなものか(ブルームの種類)
本来チョコレートの中に含まれていたカカオ脂(カカオバター)または砂糖がにじみ出てきた結晶です。
ブルームの生じたチョコレートも成分的には本来のチョコレートと変わりはありませんが、「品質」としては大きく違うものになっているのです。 ブルームの生じたチョコレートは口当たりが悪いのでテンパリングをし直した方がいいのです。

ファット・ブルーム: カカオ脂の不安定な結晶が残っている場合
シュガー・ブルーム: チョコレートの中の砂糖に水分が付着した時にできた場合



チョコレートを扱うのに気を付けなくてはいけないこと
チョコレートにはなにより水が大敵です。湯せんなどして混ぜるときに水分が少しでも入ってしまうと大事なところで分離したり、固まったりするので、くれぐれも落ちついて行うことが大切です。チョコレートを湯せんにかける場合などは下に張ったお湯のボールよりも上にのせるチョコレートの入ったボールを大きくするなどしてチョコレートに湯気かかからないようにします。