Patisserie Sadaharu AOKI Paris
「パティスリー サダハル・アオキ パリ」

35 rue Vaugirard 75006 Paris
tel : 01.45.44.48.90





Party Set
「パーティー・セット」
50euros
Buche de NOEL Japon
「ビュッシュ・ドゥ・ノエル ジャポン」
12.90euros(2人分)
Buche de NOEL Macha
「ビュッシュ・ドゥ・ノエル マッチャ」14.30euros(2人分)


1年前のオープンと同時に、「サダハル・アオキ」はパリのトップ・パティスリーの一つに数えられるようになった。それまでは、幾つかのサロン・ドゥ・テでしか食べることの出来なかった青木さんの作品。知る人ぞ知る超人気パティシエのお菓子が、ようやくブティックで買えるようになったというので、パリっ子は大喜びだ。

「ピエール・エルメ」や「ペルティエ」と並び、最高の洗練と品質を持った「サダハル・アオキ」の今年のノエル作品は、ひときわ人目を引いている。高さ35センチほどのピエスモンテで、蔦をクリスマスツリーっぽく円錐形に絡めたものが土台。この蔦の間に串を差し込み(円錐部分はおそらくオアシス)、その串の先っぽに、まるでツリーのオーナメントのようにプティフールを挿して飾りつけをするようになっている。

青木さんの代表作である抹茶とゴマのエクレア、スフレ・フロマージュ、モワルー・ショコラ、ピスタチオとチョコレートのフィナンシエ、8種類のマカロン(抹茶、黒ゴマ、チョコレート、カフェ、フランボワーズ、レモン、ピスタチオ、スミレ)。これだけの種類のプティフールから、好きなものを25個チョイス。飾りつけは自分たちで。家でツリーの飾りつけをするように、ツリー型のピエスモンテにちっちゃなお菓子たちを付けていくのがなんとも楽しい。「パーティー・セット」という名前にピッタリの、なんだかウキウキしてしまう、チャーミングな作品。青木さんのスペシャリテを、少しずついろいろと味見できるのも嬉しい限りだ。

普通のビュッシュたちのラインナップも充実。全8種類の中から、今回は日本を意識した2つをピックアップしてみた。

その名も「ジャポン(日本)」と名づけられたビュッシュは、いわゆるショートケーキ。フランスには存在しない、スポンジ生地と生クリームをロールケーキに仕立て、周りを生クリームで覆ったもの。ロールの中にはもちろんイチゴが顔を見せている。軽く潰して甘味が強くなっているイチゴが素敵においしい。スポンジは日本でイメージするそれよりも気持ちしっかり目のテクスチャー。しなやかでほんのり甘い生クリームと存在感のあるスポンジの相性のよさに感嘆。ショートケーキが偉いのか、青木さんが偉いのか?やっぱり青木さんが偉いのだろう。最高の素材を惜しげもなく使ってそれに技術が伴うと、こんなにも幸福感を与えてくれるお菓子が出来上がるんだ、と、ちょっと感動すら覚える。

2つ目のビュッシュは「マッチャ」。抹茶風味のスポンジで、生クリームと粒あんを巻き込んである。意外かもしれないが、粒あんと生クリームの相性のよさが素晴らしいの。まあ、クリームあんみつと同じ原理だと思えば当たり前なのかもしれないけれど、この2つがぐちゅりと混ざったところの食感と味がたまらない。香りのよい抹茶味のスポンジがさらに興を添える。抹茶と餡という、典型的な日本素材を使った素敵なビュッシュ・ドゥ・ノエル。フランス人にどれくらい受けるのか、ちょっとリサーチして見たい気もする、青木さんならではの逸品だ。