LENOTRE 「ルノートル」
40 rue Cler 75007 Paris
tel:01.44.11.72.80



Foret Gustative「フォレ・ギュスタティヴ」 89euros



今年の「ルノートル」の特別製ビュッシュ・ドゥ・ノエルは、香水でおなじみのジャン−ポール・ゲランが構想した「フォレ・ギュスタティヴ」です。"美味しい森"と名づけられたこのお菓子は、4つのビュッシュ(切り株)をリボンで包んで葉っぱやキノコを飾った、とてもデコラティフなビッシュ・ドゥ・ノエル。

4つの切り株は、全て異なるお味。チョコレートベースなのは共通ですが、合わせる素材がそれぞれ、バジル、ショウガ、キャラメル、オレンジとなっています。
上品なチョコレート生地とクリームは、甘みをほとんど感じさせずに香りだけがふんわりと。そこにさわやかに漂うバジル香を感じながら、まずは最初の一口をいただきましょう。ショコラとタイムを合わせるのは時々見かけますが、バジルとの組み合わせはなかなか新鮮。ちょっと意外な驚きで、味覚も嗅覚もなんだか嬉しくなってきます。
このビュッシュを一番美味しく味わうために、「ルノートル」では、食べる順番もきっちり指示。

バジルの新鮮なさわやかさを楽しんだあとは、ショウガとショコラの絶妙なハーモニーを。チョコレートクリームの中に、軽めのコンフィしたショウガのかけらがちりばめられています。時々口の中に感じるショウガのキリリと引き締まった強めのアクセントがチョコレートを引っ張っている感じです。ショウガのインパクトに品のよいチョコレートがちょっと負け気味?
続いてキャラメル味へ移りましょう。ミルクキャラメルの濃厚で饒舌な味わいがた〜っぷり。ショコラが完全に負けてしまって、キャラメルの天下。一番ポーションが大きいのがこのキャラメル味というところに、フランス人のキャラメル好きさを垣間見たような気がします。キャラメル好きにはたまらないでしょう。
そしてラストは、オレンジ味で締めくくり。グラン・マニエル、それともラムかコニャック?いずれにしてもブランデーでしっとりと香りをつけられたオレンジピールがたっぷり入ったチョコレートクリーム。強めの甘みにオレンジの酸味がちょうどよくマッチして、甘いにもかかわらずしっかり食べられるお味。オレンジとチョコレートの組み合わせって、本当に王道だなあ、としみじみ感じます。

チョコレートのシフォン生地にチョコレートとそれぞれの素材を組み合わせたクリームが中身の構成。周囲はマジパン生地でコーティングされ、金箔などで切り株っぽく模様がつけられています。かなり甘めのコーティングを、私ははがしながら食べてしまいました。フランス人は、この甘さもOKなのですね。

4つのビュッシュにはそれぞれ、Chocolat−Orange、Chocolat−Basilicと中身が説明された看板が立てられ、木の葉や小鳥、キノコたちと一緒ににぎやかな飾りつけ。大きな透明の箱に入れられてリボンがかけられたそれは、ほとんど一つの美術品。ゲランが考案したにふさわしい、なんともデコラティフなビュッシュ・ドゥ・ノエルなのです。