取材・写真 加納雪乃さん(パリ在住ライター)



サロン外観



10年目の節目を迎えた「サロン・デュ・ショコラ」。年々増加する入場者(昨年は10万人強)に対応するため、今年は会場を、ポルト・ドゥ・ヴェルサイユの見本市会場の大スペースに移し、大規模で充実内容のサロンを、10月28日〜11月1日の5日間に渡って開催した。


リンツのショコラの家。壁も内装もショコラショコラ。住みたい♪

デモの会場で試食を楽しむヴィジター。



27日の前夜祭の大きな目玉は、毎年大きな反響を呼んでいる、ショコラティエとクチュリエの競作によるドレスのデフィレ(ショー)。10年目を記念した今年は、過去の注目作品と今年の新作の2部に分けて、デフィレを行った。

デフィレの模様



参加ショコラティエは、エヴァン、ゴダール、シャポンら。クチュリエは、プラダ、トーマス、キャシャレル。ショコラをまとうマヌカンは、ミス・ヨーロッパやトップ・モデル、女優、人気ダンサーなど。ゴージャスな顔ぶれによる、見ごたえあるデフィレを披露した。
過去と今年を比べると、より一層クチュリエの手腕が冴えて、ショコラティエの存在が少し控えめになってきている?という気はしなくもないが、ドレスやランジェリー、アクセサリーの仕上がりは見事で、うっとりと見とれるばかり。会期中は連日デフィレを開催し、訪れる人々の喝采を浴びた。

デフィレのドレス。マカロンづくし。

デフィレのドレス。過去の秀作。

今年のデフィレドレス。こちらも今年のドレス。ゴダールです。



デモンストレーション&コンフェランスは、相変わらずの充実内容。
デモの方は、ジル・マーシャル(ル・ブリストル)、クリストフ・アダム(フォーション)など常連パティシエに加わり、今年は、アラン・ルコント(タイユヴァン)、ニコラ・グラ(ルドワイヤン)などの新しい顔ぶれも。セバスチャン・ゴダール、クリスティヌ・フェルベールなど、今をときめくパティシエたちも登場した。
コンフェランスでは、J−P・エヴァンとMOFフロマジェのマリアンヌ・カトルオムによる、ショコラとフロマージュをテーマにした講演会をはじめ、様々なテーマのプログラムが組まれた。ショコラティエ、ワイン醸造家、ジャーナリスト、作家、フランス各地のショコラ協会のメンバーなど、多数のパネラーによるヴァラエティー豊かな内容となった。

ここ1〜2年の、料理や菓子本の人気ぶりを反映してか、書籍販売スタンドには常に多くの人だかり。日ごとにデディカス(サイン会)も開かれ、人気スタンドの1つになっていたのが興味深い。

テレビ取材を受けるマルコリーニ。

デリカバーのセバスチャン・ゴダール(向かって右側)


ショコラ全体の傾向としては、より一層、“産地”へのこだわりが目に付いた。多くのメーカーが国、産地ごとの個性を前面に出したショコラを、主としてタブレットの形でリリース。ワイン同様、ショコラも産地ごとで味の違いを楽しむことが、普通になる日も遠くなさそうだ。
ショコラのデザイン化もより一層顕著に。パッケージを含め、「デリカバー」、「ボワシエ」など、見た目に美しいショコラの存在感もますます強くなっている。 ショコラに組み合わせる味の方は、従来のスパイスや果物の人気ぶりは相変わらず。それに加えて、クレーム・ブリュレ、マカロン、パン・デピスなど、お菓子の味をショコラに追加する傾向も見られる。

ル・ルーさんのタブレット。

イヴ・チュリエスのマカロンテクスチャーのショコラ。
プラリュの産地別タブレット。
去年は50グラム×10種でしたが、今年は、ミニサイズ10種もリリース。



ベルギー、イタリア、ドイツ、ロシア、メキシコ、アメリカ、カナダ、日本、そして中国からもショコラティエが参加し、より一層国際色が強くなってきたサロン・デュ・ショコラ。ニューヨーク、東京、ルクセンブルクの各サロンも軌道に乗り、ロシアと中国での開催も予定されている。
ショコラという文化を、世界中に啓蒙する「サロン・デュ・ショコラ」。今後の動向も楽しみに見守りたい。