フランスに、食に関する美味しいサロン(見本市)は多々あれど、お菓子好きにとって、最も興味を引かれるサロンの1つが、「サロン・デュ・ショコラ」。 10月29日から11月2日の5日間に加え、前夜に行われた開会式で計6日。去年行けなかった分も、と張り切り、滞在時間の差こそあれ今年は5日間、サロンに通う。

文・写真 加納雪乃さん(パリ在住ライター)


28日(開会式)

この日はちょうど、3年に一度の割合で開かれているMOF(フランス最高職人賞)のショコラティエ部門のコンクール最終日。どうしてまた、MOFの決勝日と「サロン・デュ・ショコラ」の開会式を同じ日にやるのだろう?両方見たいこちらとしては、困り果ててしまう。 7時からの予定が案の定遅れ、7時半にようやく公開された、MOFショコラティエ決勝出場者7人の作品を大急ぎで眺めてから、「サロン・デュ・ショコラ」の会場である、ルーブル美術館地下にある見本市会場へ駆けつける。


入り口には、おびただしい数の人々。週末ともなれば足の踏み場もなくなるほどの賑わいを見せるお化けサロン(5日間の入場者が10万人!)、開会式の招待状をもらっているなら、この日に来るのが得策、と、思うことは皆同じなのだろう。

どうにか会場に入り込み、まずはざっと、スタンド見学。「ネスレ」、「ジャン−ポール・エヴァン」、「ピエール・マルコリーニ」、「ル・ルー」、「ヴァローナ」などをはじめ、国内外から120ほどのショコラティエやショコラ関係の会社が出店している。各スタンド、新商品の試食コーナーやデモスペースを設けたり、本店の雰囲気を再現した装飾を施したりと力が入る。

熱気ある会場のようす



ショコラのファッションショー
今夜のメインは、ショコラティエとクチュリエが共同で作り上げた作品を披露するファッション・ショー。31日の夜に行われるものを、開会式にも特別に披露。「サロン・デュ・ショコラ」の創設者であるシルヴィー・ドゥース、フランソワ・ジャンテらのスピーチに続き、いよいよショーの開始。パリ・コレクションなどの熱い雰囲気そのままに、テンションの高い音楽に乗って、ショコラを使ったドレスが次々に披露される。

「フォション」&「ミラ・ミカチ」、「ピエール・マルコリーニ」&「エドゥワール・ヴェルミューレン」、「ル・コルドン・ブルー」&「ヴィヴィアナ・ガティカ」など、全16作品。エレガントなロングドレスから、会場の男性陣から歓声が上がったセクシーなランジェリーまで、甘い香りが漂う一風変わったファッションショーが繰り広げられる。

披露された作品は、会期中、それぞれのスタンドに展示され、訪れる人たちの目を楽しませる。


30日、31日

この二日間は、主としてデモンストレーションを楽しむ。

「フォション」のクリストフ・アダム、ブルターニュの高名なキャラメリエ&ショコラティエ「ル−ルー」のアンリ・ル−ルー、「ジュール・ヴェルヌ」のフィリップ・ローランド、「ル・ブリストル」のジル・マーシャルに、「メゾン・ボワシエ」のクリスチャン・ヴォティエなど、そうそうたるパティシエたちが、主にショコラをベースにしたお菓子や料理を披露。彼らトップパティシエの仕事ぶりを間近に見ることルールー氏のデモンストレーションが出来、完成した作品は試食させてもらえるとあり、多くの人々が会場に詰め掛ける。

全部で11人のデモを見て試食をしたが、圧巻はジル・マーシャルの"スパイス入りショコラショー"と"オレンジの花の水風味クリームを添えたパン・ペルデュ"。当代きってのパティシエと誉れ高い彼の実力をありありと見せつけられる。



フォションの
クリストフ・アダム氏

「ル−ルー」の
アンリ・ル−ルー氏

ルールー氏の
デモンストレーション



「ル・ブリストル」のジル・マーシャル氏」

ジル・マーシャル氏の作品“パンペルデュ”


30日の夕方から夜にかけては、「ショコラ・アワード」が開催。
ショコラの質を守りその啓蒙を目的としている団体"クラブ・デ・クロカー・ドゥ・ショコラ"が主催し、同団体の代表ジャック・ペシスや「メゾン・デュ・ショコラ」の創設者ロベール・ランクスら4名のプロ審査員に加え、ヴィジターも審査に参加し、ガナッシュ、タブレット、プラリネ、イノヴァシオン(革新)などの5分野から、それぞれ、「シャポン」、「ミシェル・クリュイゼル」、「コントワール・デュ・カカオ」、「レ・デリス・デュ・ロワ」らがトップとなる。

「イノヴァシオン(革新)と
タブレット」
部門の審査用ボンボン


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