人間の赤ちゃんと同じように一年近くお腹の中で育てられて、パナデリアが産声をあげたのは1997年のこと。場所は、渋谷区富ヶ谷、そうです、あの「ルヴァン」のすぐ近く。
ランチに何度ルヴァンのパンのお世話になったことか。ご存知のとおり、ルヴァンはお店に入ると、パンの試食を一切れ渡してくれます。そのパンがけっこう腹持ちがいいものなので、お腹がいっぱいになっちゃったりして、「これじゃあ、ランチいらないじゃん!」なんて思うこともしばしば。でも本当に甲田さんのパンにはお世話になりました。ありがとうございました。そして、富ヶ谷といえば、代々木上原や代々木八幡のそばでもあります。もちろん「イエンセン」にも何度も通い、意外なことにカレーパンが人気だったりしました。そうそう、その頃はまだ上原の「ブーランジェリー プーブー」も「マルイチベーグル」もなかったから、ランチといえば、先の2軒が多かったなぁ。あー、なつかしい。
その後、パナデリアは大都会へ進出。でも南青山だったから、何故か都会の穴場的に何もないところで、事務所のビルの1階にあった「ほっかほっか亭」が、お弁当の常連でした。今ではそばに「東京ミッドタウン」ができたけど、その頃は防衛庁があっただけだから、パナデリア的には何の役にもたたないし、そばに「ルコント」があるだけで、ある意味、不毛地帯だったなぁ。そんなわけで、そこからは早々に逃げ出し、今の表参道に移転。ここは、ものすごく古いビルだけど、ものすごく便利な場所だったので、けっこういろいろな方がお出かけのついでに寄ってくれたりして、とってもうれしかったです。なんといっても、歩いてすぐのところに、「ピエール・エルメ・パリ青山」が出来たときはうれしかったし、そのうち「表参道ヒルズ」なんてものが出来て、「ジャン=ポール・エヴァン」が入ったり、向かいのハナエ・モリビルに元々あった「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」と合わせ、ヴァレンタイン時期にはチョコレートの聖地になった感もありました。
しかし、今思うとこの表参道ヒルズが悲劇の始まり。休日は完全に観光地化した表参道。その後、次々とビル開発が進み、もちろん地価は高騰。表参道の顔だった「青山ドンク」も姿を消し、なんとなくあやしい雰囲気が・・・。そして、とうとう地上げ屋(みたいな人)は、私たちのビルにも押し寄せ、次々と他の階の人たちは立ち退き始め・・・。
そして、今回、この「さよなら表参道」特集が出来上がったっていうわけ。大好きだった表参道に感謝と愛を込めて、お世話になったお店をいくつかご紹介します。
さよなら、表参道。そして、こんにちは赤坂!ということで、今度のパナデリアの新しい住処は、赤坂。今度はどんな美味しいものに出会えるのか、楽しみです。(2007.12)




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