2006.1.24


1月25日は、今年で4回目となる伊勢丹新宿店でのサロン・ド・ショコラ開催日だ。 その前日、24日の夜、会場で、開催者やショコラティエ、プレスらでの前夜祭が催された。夕方5時過ぎに、伊勢丹6階の催物場に到着するなり、チョコレートのいい香り。さらには

「あっ、エルメ氏!」
「あっちに、エヴァン氏とフェルヴェールさん!」
「プラリュ氏もいる!」
「あー、あこがれのランクス氏が!」


と、会場内にいるショコラティエたちを発見しては、興奮してしまう。

ちなみにエルメ氏は以前にもましてスリムになっており、エヴァン氏とフェルベール氏は親しいようで、会場では大抵ペアで見かけた。プラリュ氏のスーツ姿は想像以上に紳士的だ。あっちでこっちでとショコラティエの写真を撮っているうちに、開会式スタートの時間になった。




(サロン主催者のドゥース&ジャンテ夫妻からのご挨拶も)




今年は伊勢丹120周年ということもあり、力の入れ方も今まで以上だ。フランス、ベルギー、スペイン、ドイツ、イタリア、アメリカ、もちろん日本。全11カ国から55ブランドが登場し、約30名のシェフが来場している。

(オープニングセレモニーの会場には、見ているだけでよだれがたれそうな豪華メンバーが) (ルルーさん、一気飲み?)



フランス大使館関係の方の挨拶などもあり、フランスでのサロン・ド・ショコラが日本でもこうして定着していくことへの喜びをみんなが感じているのが伝わる。シャンパンで乾杯すると、「ファブリス・ジロット」の「テロワール ド ブルゴーニュ」というショコラが振舞われた。地元ブルゴーニュのフルーツで作ったパート・ド・フリュイが入る平たい正方形のショコラはベリー系フルーツの酸味と甘さが爽やかに広がって、とってもおいしい。ファブリス・ジロット氏は、26歳でMOFを取得したシェフで、さすがの味。思わずもう一粒と手が伸びそうになってしまった。



(テロワール ド ブルゴーニュ)



このあと、シェフらがずらりと一列横に並んだ。そこへ登場したのが、キャラメルだ。といっても、普通のキャラメルじゃない。ショコラとともにキャラメルでも名を馳せるアンリ・ルルー氏が、なんと12メートルという、長い長〜いキャラメルを、フランスの店で作って持ってきたのだ。ぐるぐると何重にもとぐろを巻いているではないか。今から行われる儀式(?)は、それをのばし、シェフ全員が両手で持って持ち上げるというものだ。柔らかいキャラメルがしなって、なんとも不思議な光景である。ちなみにこれは、ルルー氏の店が20周年のときに(そのときはもっと長いキャラメルで!)やったとのこと。

(こんなに長いキャラメル、のどにつまりそう(笑)) (12mのキャラメルを持ち上げてにっこり。ショコラの神様、ロベール・ランクス氏健在!!)



今回の会場でこのキャラメルは、サロン・ド・ショコラの最終日までルルー氏のブースに展示され、15万7500円で販売もするという。端っこをちょっと食べていたプラリュさんに、

「ダメだよ、それ売り物なんだから〜」

と言いたかったが、フランス語が出来ず断念してしまった。それはさておき、どんな人が購入したのかちょっと気になるところである。

(編集部注・後日談ですが、実はこのキャラメルは2本あったとのこと、ここで持ち上げた1本は、パブリシティ用ということで、 そのままテレビ局に行ってしまったそう。そして残りの1本は最終日に約20センチほどにカットしたものを限定50名様に販売。 ちなみに、そのとき一番最初に列に並んだのは何を隠そう、我がパナデリアスタッフ3名でした)

(あとで売り物になるはずのキャラメルをかじってしまったお茶目なプラリュ氏) (ここ、ここ、ここをプラリュさんが食べちゃったの)



キャラメルの儀式が終わると、抽選で招待を受けた200名の一般の方々が入場した。ここからは各ブースで先行販売開始なのだ。「トップショコラティエたちが手を結んだ夢のような詰め合わせ」と伊勢丹がうたう「スペシャル・ショコラ・ボックス」、たとえば10名のショコラティエのボンボンが1粒ずつ詰まっている、のコーナーにはあっという間に長蛇の列。ほかにもフェルヴェール氏、ルルー氏など人気のブースにもあれよあれよと行列ができた。

(我らが偉大な日本のショコラティエたち) (早速、ドゥース&ジャンテ夫妻にパナデリアの会報誌をお見せしました)
(この日はテレビ取材などもたくさん入っていました。あまりの熱気にチョコが溶けそう) (土屋シェフはもちろん、会場には安食シェフや小椋三嘉さんの姿も)




明日から来場する人の数はものすごいものだろう。昨年以上に好評に違いない。そんなことを感じさせる前夜祭だった。




(取材・文 浅妻千映子)