2006.1.28


パリ16区、高級住宅街にたたずむ、格式あるサロン・ド・テとして知られる「ボワシエ」。
華やかなブルーの缶に、そっと敷きつめられたチョコレートの花びら“ペタル”は、ショコラ好きでなくとも心ときめく一品です。
そんな優雅なショコラを得意とする「ボワシエ」のシェフを務めるのは、クリスチャン・ボーティエ氏。
今回のセミナーでは、ショコラを使ったマドレーヌとシャンパンの2種のデモンストレーションを披露してくれました。



(はかなく口の中で溶ける食感がすばらしい)



まずは、マドレーヌから。


〜 レシピ 〜
145g
グラニュー糖130g
ハチミツ130g
牛乳60g
ブールノワゼット(焦がしバター)200g
薄力粉125g
チョコレート100g
BP10g


「少し軽さを出したいので、ベーキングパウダーを入れています。味のポイントはブールノワゼットを使うこと。バターの乳糖が焦げることで、独特の風味が生まれます。それから、チョコレートはあらかじめ溶かしておいてください。マドレーヌの生地と濃度を合せるため、溶かしたチョコレートにブールノワゼットを加えゴムベラで混ぜておきます」

普通のマドレーヌと基本的な作り方は同じですが、プロならではのアドバイスは貴重です。



(鮮やかなブルーが目を引きます)


そして、みるみる間に生地が完成。ところが、出来上がった生地を型に流す際に、思わぬアクシデントが・・・!なんと、レードルがなかったのです。

「これでやりましょう」

代わりに登場したのは、計量カップ!
かなり不便そうでしたが、こんなアクシデントにも慌てずにこやかに対応してくれたボーティエ氏の笑顔が印象的でした。



(マドレーヌ。
周りはカリッと、フンワリ温かい状態でいただきます)


「焼成は210℃のコンベクションオーブンで、数分間。まだ温かいうちに食べるととってもおいしいですよ」

少しすると、辺りはチョコレートとハチミツ、そしてバターの香りでいっぱい。

「お店のお菓子もおいしいですが、家庭で作り立てをつくるのはまた格別ですよ!」

と笑顔を見せるボーティエ氏。特に珍しい材料は使わず、チョコレートも製菓用のクーベルチュールにこだわる必要はないとのこと。
季節を問わず気軽に作れそうなので、ぜひトライしてみてください。


そして、シェフ渾身のカカオリキュールを作ります。

「シャンパンとチョコレートのリキュールを作ろうと考えたとき、問題になったのが温度。シャンパンは8℃が適温ですが、チョコレートはその温度だと、どうしても固まってザラツキがでてしまう。そこで考えたのがカカオ豆を使って香りだけを抽出することです」

試行錯誤の上たどり着いたのが、この方法なのだそうです。



(チョコレートを使ったコンフィチュールも人気)



「シャンパンは、『ベルフォン』のロゼ。気泡が細かく、フルーティなのでとても気に入っています。それから、シロップはこのレシピだと50〜60人分くらいできてしまいますが、冷蔵が可能です。瓶詰めで数週間持ちますので、ぜひ試してみてください」


〜 レシピ 〜
500g
グラニュー糖500g
ノワゼット250g
グリエ ド カカオ250g

準備
・ノワゼットを麺棒で粗く砕き、200℃でローストしておく
・グリエ・ド・カカオを200℃で、煙が出るくらいまでローストする


手順
1. 鍋に水とグラニュー糖を入れ、沸騰させる。
2. ローストし刻んでおいたノワゼットとカカオ豆を入れたら、火を止める。フタをして、5分間おき、味と風味をうつす。
3. 濃し器でこす。
4. シャンパングラスに冷めたシロップを注ぎ、約倍量のシャンパンを注ぎいれて完成!



ほんのりピンクに色づいた液体から、細かい泡が立ち昇るようすにしばしうっとり。さすが「ボワシエ」らしい、優雅で繊細なリキュールです。

「残ったカカオとナッツは、再度オーブンで乾かせば利用可能。アイスの上に散らしたり、ジャムの中に入れたり、フードプロセッサで細かくして、ケークの中に入れても良いですね」

カカオリキュールはもちろんですが、カカオの食感と香りを活かしたコンフィチュールやケークもぜひ試してみたい一品です。



(パナデリアの懇親会にて。
カジュアルなスタイルも決まってます!)



「日本の方々が、チョコレートに興味をもってくれて嬉しいです!それにたくさんの愛好者がいるのも嬉しい驚きでした。こうやって日本に来て、チョコレートを介して皆さんと知り合うことができたのは何よりの喜びです!」

とセミナーを締めくくったボーティエ氏。
おいしさに言葉は不要!幸せそうな表情でマドレーヌを頬張る参加者の姿に、そんな想いがよぎります。
ショコラを通じて会場が一体となった、充実のセミナーでした。