デンマーク

デンマークといえばデニッシュ・ペストリーが有名。パイのようにバターを折り込んだ生地で焼くので、デンマークではパンというよりもお菓子として扱われています。しかも、デンマークでの呼び名は、"ビエナ・ブロート"、ウィーン風のパンという意味で、これはバターを折り込んだ生地がウィーンで作られたことにちなんでいます。それが、はじめにウィーンの職人たちによってデンマークから北欧各国に広められていき、アメリカに伝わったので、デニッシュ・ペストリーの名が定着したのだろう。
しかし本来は、北欧諸国は小麦の栽培に適した土地がほとんどないために小麦は昔から貴重なもの。そこで、日常的に食べるパンはライ麦で作られた黒パンが多い。北欧諸国は酪農が盛んなところでもあるので、チーズに合うパンや生地にチーズを加えて焼くパンも多く見られる。
ここデンマークでは、パンをスライスして、バターを塗りその上にニシンのマリネやスモークサーモンなどをのせてオープンサンドにして、肉を食べる時の要領でナイフとフォークで食べるのが、定番。白いパンはだいたい朝食用、夕食にはライ麦パンが主体だが、のせる具によっては白パンを使うと決まっているものもあるようだ。


フランスク・ブロート
上面にケシの実が付いているローフ形のパン。クラムは食パンのようにしっとり、クラストは薄くてパリッとしている。塩や砂糖が少ないのでパンの香りを楽しむ、オープンサンドの具の味を引き立たせるシンプルな味のパン。

ダンスク・ルーブロード(ライブレッド)
焼き上げてから1日くらいたったほうが味は落ち着くが、湿気に弱いので早めに食べた方がよい。ライ麦で作られている食パンのようなもので、デンマークの名物、「スモーブロー」(「バターを塗った」という意味)と呼ばれるオープンサンドが日常的な食べ方。

スモー・ケア(スモー・ケーア)
「スモー」は「バター」ケアーは「ケーキ」のこと。カスタードクリームも入ってボリューム満点のバターケーキ。イースト発酵で作られ、生地に対して60%というバターが折り込み用に使われているデンマークの代表的なペストリー。カスタードクリーム、ラム酒漬けレーズン、バターペーストが使われているので、とてもリッチな生地。デンマークでは通常23cmくらいのものが丸型で売られています。パリパリ、サクサクが命なので、少しでも早めに食べた方がよい。ティビアキス、スモー・スナイル、ショコレーゼ・ポロともに生地は一緒です。

ティビアキス
名前のティは「お茶」、ビアキスは「白芥子の実」のこと。デンマーク人は芥子の実が好きなようで、いろいろなものによく使われている。塩味のバターペーストを巻き込んであるのが、驚くほど軽い味わいとなっている。カットした時の断面が薄い層になっていて、それがきれいにはがれて空間を作り上げている。なんといってもサクサクの層が命で、見た目より持った時が思いのほか軽い。サクサクの層と芥子の実の食感を同時に楽しめるペストリーの原点ともいえるパン。

スモー・スナイル
スモーは「バター」、スナイルは「渦」。シナモンを巻き込んであるので香りが強く、アイシングがかかっているので甘さもある。焼きあがったサクサクの当日が美味しい。ほのかに品のいい甘さ。非常に軽くサクサク感がある。

ショコレーゼ・ボロ
ショコレーゼボロは丸型のペストリー。ショコレーゼは「チョコレート」、ボロは「丸い」の意味。中にカスタードを包み込み、裏返して上にチョコをのせてしっかり焼き込んで作る。出来上がりが空洞がはっきり出ているものが美味しい。焼きが足りないと冷めてからチョコの重みで上がくぼんでしまいます。

デンマークのパンSHOP情報
イエンセン
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