パリのトップパティシエとして大人気の青木定治さん。彼のボー&ボン(美しくておいしい)パティスリーは、様々な媒体から注目を浴びていて、つい先日も、フランスの人気週刊誌で《グランシェフたちが競演するノエルのディナー》という特集の中で、ミシュラン3つ星シェフのギー・マルタンとアラン・パサール、2つ星シェフのエレーヌ・ダローズと一緒に紹介された。名実ともに、パリのトップパティスリーなのだ。

今年のビュッシュは、全5種。人気作品、“ショコラ・プララン”、“ジャポン”、“バンブー”、“カフェ・ノワ”そして“ソレイユ”を、ビュッシュにアレンジしたものだ。色合いもフィニッションもそれぞれ個性的な作品群から、3点を紹介する。




今年の新作“ソレイユ”は、ダコワーズに、マンゴーの粒入りマンゴークリームとフレッシュミントの葉を組み合わせた作品。太陽を彷彿させるオレンジ色に鮮烈な赤い果物をたっぷりあしらい、夏のヴァカンスが恋しくなるような、暖かな色が魅力的。


店オープン以来の定番商品“ジャポン”は、ショートケーキ風。
軽いジェノワーズにナマクリーム、イチゴをあわせた、日本風ビュッシュ。ショコラやカフェ、マロン、果物系の色つきビュッシュがほとんどのフランスで、輝くように白いビュッシュは、ひときわ目を引く。




ぼこぼこした表面がなんだかのんきでかわいらしい“カフェ・ノワ”は、クルミビスキュイとコーヒークリームに、歯ごたえが印象的なクルミのカラメリゼを散らした作品。


“パン・ド・ノエル”も青木さんの得意作品。ケーク・オ・フリュイに使う極上のフリュイ・セックをパン生地にぎっしりつめて焼き上げたパンは、薄くスライスしてロックフォールチーズを乗せて食べると絶品。
「遊びで作ってみたんです。どうですか?」と、青木さんが見せてくれたのは、オレンジコンフィ・スライスのショコラがけを重ねて作ったオレンジ・サパン。こんな樅が家に飾ってあるといいのになあ、と、つややかなオレンジで作られたサパンに、思わずうっとりしてしまいました。

ショコラティエの名店として不動の人気を誇る「ジャン−ポール・エヴァン」は、3つのビュッシュ・ド・ノエルを発表。《ノエル・ポップ》とテーマが打たれた作品群は、テーマの通り、見た目にポップ(キッチュなくらい!?)で楽しいビュッシュたちだ。


シンプルなしつらえにボールをポンポンと飾った“ジョルジュ”は、カカオビスキュイにショコラアメールのムースを組み合わせた、ショコラティエらしい王道ショコラのビッシュ。



色鮮やかな花柄プリントを見て「かわいい!」と目を輝かせるか「う、、、」と引くか、フランス人の間では意見が分かれている“ブレジリエンヌ”
花に止まるように飾られた蝶々のオブジェがまたポップ(これまたキッチュ?)。ダコワーズにスパイスの効いたコーヒークリームとショコラノワールのムースを重ねた。


“アンスーシアンス”。日本語に訳すと、無頓着とか呑気、という意味を持つビュッシュ。側面のサークル柄になんだか脱力してしまう、なんともかわいらしいビュッシュ。味のほうはというと、キャランバー(キャラメル)味のショコラオレのムースに、ヴァニラクリームとマロンコンフィの競演。甘くて幸せなイメージたっぷりで、まさにアンスーシアンスという名前にピッタリだ。



いずれも、ショコラティエのビュッシュらしい、ショコラの魅力を存分に生かしたビュッシュたちだ。
他に、ボール型ショコラ(ノワール、オレ、ブラン)をぎゅーっとくっつけて樅の木型にした“コンプレッション・サパン”も、ノエル用作品として登場。純粋なショコラフリークには、ビュッシュよりもこちらの方が興味引かれるかもしれない。