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| 流暢な日本語で話すパオロ・アッジオ先生。作り始める前に、まずは簡単な講義から | 
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| 『イタリアは北と南で小麦粉の質や地形が異なるため、作られるパンも地方色豊か。特に南の地方でセモリナ小麦が育ちやすいので、それを使ったパンが多く作られます。セモリナ粉100%で作るパンもあるけれど、硬くて日本人の口に合わないですね。今回作るパンはセモリナ粉20%の配合で作ります』 強いグルテンの力と、独特の甘み・食感を生み出すセモリナ粉。この存在が今回のパンの大きな特徴になりそうです。その他の材料は、小麦粉・セミドライイースト・モルトエキス・ミネラルウォーター・中種、そして塩です。 | 
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| 中種は1週間前から1℃で熟成したものを用意 | 
| 『塩を入れるメリットは二つ。粉のグルテンをつなげる働きと、発酵し過ぎないようにブレーキをかける調整役になるのです。でも、トスカーナ地方では塩を入れないパンもあるんです』 え、どうして? イタリア料理って塩が多いイメージだから・・・料理にあわせることを考えると、パンの塩は少し少なめにしたりするのかな? 『これは歴史的な根拠があって、昔、フィレンツェが港を封鎖されて塩の輸送を妨害されたことがありました。その時から、この地方では塩無しのパンが焼かれているのです。トスカーナでは塩が貴重品なので、料理もまた塩が控えめなのです』 ふむふむ・・・。今では、高価なブランド塩なども流行しているけれど、昔は通貨になっていたほどの貴重品。そう思うと、一さじの塩の存在もありがたく思えてきますね。 さて、材料がそろったところで早速生地作りに入りましょう! | 
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| 今回は、【Filone(フィローネ)】という長いパンと、同じ生地で成形のみ変えた【Pagnotta(パニョッタ)】という丸パンを作ります。 『まずは、モルトエキスと冷水を混ぜます。モルトは、生で食べると麦芽糖由来の香ばしい甘さが。ビールにいれるとおいしいモルトビールになりますよ』 | 
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| 茶褐色のモルトエキスを水へ。 モルトは発酵の促進と焼き目をつける役割が | 
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| パオロ先生の食いしん坊トークを聞きながらも、教わる側は真剣そのもの | 
| 小麦粉とセモリナ粉をミキサーに入れ、そこへイースト、モルト&水、中種を順番に入れて、25分ほど混ぜます。捏ね上げが進み生地の温度が25〜26℃に近づくと、中からピチュピチュというひな鳥のようなさえずりが聞こえてきます。これが捏ね上げのサイン。“生地の泣き声”をしっかり聞いて、タイミングをはかりましょう。 『チャバタやパネトーネなど、水分を多く含むパンは、グルテンが出にくいので早めのスピードで。今回は比較的水分の少ないパンなので低速で捏ね上げます』 | 
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| ミキシングの主役はアルトフェックスミキサー | 
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| 捏ね上がった生地はモッチリフカフカ!まるで羽毛布団のような弾力が | 
| フロアタイムを30分ほどとった後、分割・成形にうつります。とじ目を下にして綺麗にまるめるのは、見ため以上に難しい! 『成形するときは生地を痛めないように、優しく優しく・・・女性を扱うときみたいに、ね!』 さすが、イタリア伊達男!? | 
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| パオロ先生にコツを教わりながら、みんなで作業します | 
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| パニョッタ(丸パン)はキャンバスに並べられこのまま発酵へ | 
| キャンバスの上に並べられた、みんなで成形したパン達。この日は室温も28℃とあがり、部屋はホイロ状態。パニョッタ(丸パン)は、この状態で30分発酵させます。 次はフィローネ(長いパン)を成形します。先ほどまるめて生地を、15分のベンチタイムをとった後、台の上で転がして長細く延ばします。 『これも、丸パンと同様、生地をつぶさないようにやさしく延ばすこと。生地をまったく痛めず、気泡を残して作るのはイタリアパンの成形の特徴ですね』 | 
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| 見た目よりも難しい成形作業。出来上がりはひとそれぞれの個性が・・・ | 
| 成形を終えたフィローネは、とじ目を下にしてキャンバスに並べて発酵へ。焼き上げまでしばしの辛抱。スローフードを作るには忍耐力が必要です・・・ | 
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| 待ちに待った、焼き上げです!! プクプクとガスを抱いて、おいしそうに膨らんだ生地。一足先に発酵が終わった、丸パンから焼き上げます。ナイフでクープを入れて、いよいよ窯の中へ。 | 
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| 切り込みは専用のカッターで。クープ有りと無しの2種類を作りました | 
| 焼成温度は220℃で30分。オーブンからは、こんがりと香ばしい薫りが・・・!オーブンの熱で部屋の中はまるで真夏のよう。お茶で水分補給しながら、焼き上がりを待ちます。 30分後・・・ついに出来上がりました! | 
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| パチパチと音を立てて窯から出てきたパン達 | 
| パンが窯から出てくると、部屋中に焼きたてのパンの香りがたちこめ、参加者からは思わず歓声が。ああ、早く食べたい! 『焼きたては、ガスが抜け切れていないから、すぐに食べてはダメですよ〜』 うーん、残念。実際は5時間くらいおいてからのほうが、パンの香りが立ってくるのだとか。本当に、おいしいものには時間がかかるものなのですね・・・。 続いて、フィローネの焼き上げ。こちらはクープ無しで、同じく220℃で30分焼き上げました。 | 
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| クープ無しで焼いたフィローネは、自然なひびが入ります | 
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| 1kgで焼いた大型の丸パン。焼成時間はなんと1時間 | 
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| さて、焼きたてのパンを囲んで、早速試食会。教室開始から5時間半。暑い中での作業で、体力も消耗して参加者のみなさんも、おなかがペコペコです。 パナデリアスタッフお手製のバーニャカウダと共に、いただきまーす! | 
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| 焼きたてパンとバーニャカウダ。イタリアの食卓さながらの楽しさ! | 
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| あまりのおいしさにパオロ先生も『ブォーノ!!』 | 
| サクッと歯切れの良い生地と、シンプルな味わいのイタリアパンは、オリーブオイルにぴったり。軽い食感なので、次々と手が伸びます。テーブルの上のパンはあっという間に完売状態・・・。 イタリアパンのおいしさを堪能する参加者を見ながら、パオロ先生も満足そうです。 出来上がった、たくさんのイタリアパンはお土産に。参加者の皆さんは、それこそパンパンに膨らんだ紙袋を抱え、笑顔で第一回イタリアパン教室を終えました。シンプルながらも、じっくりと時間と手間をかけて作るイタリアパン。大きな丸い体の中に、頑固なまでのこだわりと奥の深さを秘めたパンは、まるでパオロ先生の様です。広くて深い、イタリアパンの世界の、まだほんの入り口に来たばかりです。次はどんなイタリアパンの顔を垣間見ることができるのか、楽しみでなりません。 | 
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| パニョッタ(丸パン) | 
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| フィローネ(長いパン) |