パリの街角のケーキ屋さんでよく見かけるこのお菓子。フォンダンでつやつやに美しく飾られた大小二つのシュークリームを積み重ね、その継ぎ目にバタークリームをレースのように絞ったものが、このルリジューズという小型菓子。少し大きいアントルメの形のものもありますが、色はチョコレート色、コーヒー色、またピンク色や淡いグリーンなど様々で、シューの中に入るクリームによって使い分けられています。名前の由来はルリジューズ「修道女」から。この形とバタークリームのレース模様が、修道服の襟のように見えるためこの名前がついたという。

時は1850年頃、パリのリシュリュー通りにあるフラスカティの店で初めて作られたといいます。当時は、結婚式などで使われる大型のお菓子、ピエスモンテとして制作され、修道服の裾はそれぞれコーヒーとチョコレートを詰めたエクレアを使って作られ、バタークリームの絞り出しもとても豪華に飾りつけられていたそうです。

近年フランスでは、ルセット・トラディションといって、昔のレシピを再現し、現代風にアレンジすることが流行しています。このルリジューズもそのひとつ。パリの名店「ラデュレ」でもこのお菓子は定番で、はっとする色合いのルリジューズが常にお店のショーケースを飾っています。また、かのピエール・エルメ氏がラデュレのシェフパティシエ時代に表現したものは、美しいラデュレカラーで飾られたルリジューズ。クリームもピスターシュや、カスタードなどが使われていました。まわりを飾るフォンダンの淡いグリーン色がかわいらしく、女心をくすぐるその姿は、スイーツファンなら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

そして、そのラデュレが数年前から日本に上陸したり、また、パリで修業してきた日本のパティシエたちが、帰国後このトラディショナルなお菓子を作り始めたりと、今では日本のパティスリーでも見かけることが多くなってきました。

ルリジューズ、その華やかな姿と、まったりとした甘さは、これからも私たちの舌と心を魅了し続けるに違いありません。



画像はイメージです
パリのラデュレのショーケースには、色とりどりのルリジューズが並びます。その色合いの美しさで一際私たちの目を惹くこのケーキには、どこか伝統と気品を感じずにはいられません








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