初めてアルザスを訪れたときのこと、ストラスブールから北に向かいバスに揺られること約40分。都市の賑やかさはなく静かな落ち着いた村に到着しました。ここは「Soufflenheim(スフレンアイム)村」、陶器づくりで有名な村です。 |
![]() | ポトゥリ・エルヌヴェン・ハンス 工房 |
スフレンアイムでは伝統的に、この土地でとれた土を使って、クグロフ型やベッコフ(アルザスの郷土料理で、お肉やじゃがいもを煮たもの)などのアルザス料理には欠かせない陶器が作られています。
この村にはたくさんの作り手がいるのですが、その中でもオーナーが親日家というPOTERIE ERNEWEIN-HAAS(ポトゥリ・エルヌヴェン・ハンス)工房を訪れました。 |
![]() | ![]() |
素朴な風合いと可愛らしい デザインが魅力のクグロフ型 |
工房には、売り場が併設されていて、大小様々なクグロフ型がずらっと並びます。多くは花やガチョウ、コウノトリなどのモチーフが描かれた飾り用の型ですが、見ているだけでもとても可愛らしく幸せな気持ちになります。
そして小さなシュガーポット、お皿やカップなどの小物、大きなベッコフ用の鍋など目移りしてしまいそうなほどの数多くの陶器が揃っています。 |
![]() | ![]() |
工房には使い込まれた大きな窯が | 絵付け前の陶器たちがずらっと |
売り場の陶器に魅せられつつその後向かったのは売り場の奥のスペース。 陶器を制作する工房を見学させて頂きました。 使い込まれた大きな窯や絵付けする前のたくさんの陶器など、初めて見る光景が広がります。 この時は、作り手の息子さんが工房を案内してくださり、陶器に使う土や絵付けの仕方を見せてくれました。まだ20代前半の若い息子さんでしたが、こうやって小さな村で親子代々、伝統を受け継いでいく姿がとても素敵でした。 今回はこちらの工房しか見学していませんが、他にもいろんな工房があるそうです。 作り手によってやはり、模様やデザインなどの特徴があるそうですので、いくつか巡って見るのもいいですね。 ■ POTERIE ERNEWEIN-HAAS HP(工事中です) http://www.poterie-ernewein-haas.com/ ■ブログ(いくつか陶器の写真が紹介されています) http://ernewein-haas.blogspot.jp/ |
![]() | ![]() |
ポトリー・ダルザス外観 | ポトリー・ダルザス看板 |
スフレンアイムまで行けないという方にぜひおすすめしたいのが、ノートルダム大聖堂のすぐ近くにある陶器屋さん「POTERIE D'ALSACE(ポトリー・ダルザス)」。深いグリーンの外壁と赤い陶器の看板が目印です。 |
![]() | ![]() |
アルザスの可愛い雰囲気をそのまま表現したような素敵な陶器の数々 |
![]() |
店内にはあちらこちらにカラフルな陶器があふれています。 大きな大きなベッコフの重そうな型、 小さなカフェオレボウル、ピッチャー、ハート型の壁掛けなど、実用的なものから装飾品まで様々な陶器が揃っています。 デザインは様々ですが、オーナーのセンスなのか?とても上品で可愛らしいものが揃っています。 スフレンアイム焼きは、厚めでぽってりした焼き物なので結構な重さなのですが、あれもこれも欲しくなってしまいます。無事日本に持って帰るために、手に持ってはこれ何グラムくらいかな?と真剣に考えこんでしまうことも。 |
![]() | ![]() |
クグロフ型はいくつでも欲しくなります |
エッグスタンドなどの 実用的な小物も見逃せない |
たくさんの陶器の中でも一番多いのは絵付けしたクグロフ型。 大小様々なクグロフ型に花や水玉などのかわいいデザインが入っていて、お土産ものとしても自分の思い出の品としても人気でした。同じ模様でも微妙に感じがちがったりするので、手で持ってじっくりと品定め。 クグロフ型はもちろん絵付けなしのものもあります。絵付けのものは、焼くと色あせてくるので実際に使いたい場合は絵付け無しのものをおすすめします。 クグロフ型の他に小さなエッグスタンドやミルクピッチャーなどの小物もありました。 こういう小物は日本でも食卓に気軽に使えるのでいいですね。 |
アルザスの発酵菓子 「ラングホフ」の型 | ![]() |
その他にもアルザスらしい陶器を発見しました。 長いクグロフという意味がある「ラングホフ」。生地自体はクグロフと同じような発酵生地にレーズンを入れて、最後周りをお砂糖で纏わせたほんのり甘いパン菓子です。やや細長く表面が波打った独特の形が特徴的です。日本ではあまり知られていないお菓子ですが、これもアルザスの郷土菓子(郷土パン)の一つです。 |
![]() | ![]() |
金具で型をしっかり固定する | 型の断面図 |
そして、アルザスの復活祭に欠かせない羊型のお菓子「Agneau Pascal(アニョー・パスカル)」の陶器も見逃せません。 フランスでは復活祭を祝ってたまごやうさぎ、魚などのモチーフのショコラが登場しますが、アルザスではそれに加え、子羊の形の焼き菓子を食べる習慣があります。 このアニョー・パスカルの陶器の型も存在し(金属製のものもあります)、いつかはこのお菓子を焼いてみたいと思っていました。 ポトリー・ダルザスでこの型を見つけたときには、もう一瞬で一目惚れ。 かなり重いのですが(2Kgくらい)この子を日本に連れて帰る!と即決しました。 陶器の型は使い込むごとに型にバターが染み込み、型離れがよく焼き色も美しく上がるようになります。 |
復活祭のお菓子 「アニョー・パスカル」 | ![]() |
今年の復活祭は4月8日。
きっと今の時期アルザスの街にはこの羊型のお菓子「アニョー・パスカル」が盛りだくさんに並んでいる光景が広がっていると思います。
日本のパティスリーでも最近見かけるお店がありますので、もし見かけたら「あ、これはアルザスの復活祭のお菓子なんだな」ということを思い出していただけたら嬉しいです。 ※ドイツでも同じく羊型のお菓子「オスターラム(osterlamm)」があります ■ POTERIE D'ALSACE(ポトリー・ダルザス) HP http://www.poterie-alsace-strasbourg.eu/ |