アルザスには小さな街がたくさんありますが、今回紹介するKaysersberg(カイゼルスベルグ)もそのうちのひとつ。コルマールの北西に、車で30分前後に位置し、良質のワインの産地、そしてアルベルト・シュヴァイツァー博士の出身地としてよく知られています。
初めてアルザスを訪れた時には、カイゼルスベルグまで足を延ばせなかったのですが、2度目のアルザス訪問、ノエル(クリスマス)の時期にようやく訪れることができました。 この時期のアルザスは小さな街それぞれでマルシェ・ド・ノエルがはじまり、あちこちでクリスマスがやってくる雰囲気を感じます。その中でもここカイゼルスベルグのマルシェ・ド・ノエルは有名ということで、それは是非行ってみようと、フェルベールさんのお店からタクシーで行ってきました。 |
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シュヴァイツァー博士の生家 |
この日は雪が降るとっても寒い日でしたが、街はたくさんの観光客で賑わっていました。 クリスマスの飾りは派手ではないのですが、素朴で家庭的な雰囲気で絵本の中のようなほのぼのとした世界が広がっています。 |
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ノエルの時期は遠方からも多くの観光客が集まり賑わいをみせている |
クリスマスの中、やはり気になるのはこの時期ならではの食べ物たち。 街の中には数軒のパティスリーがありました。 のぞいてみると、アルザスの代表的なクリスマス菓子「ベラヴェッカ」が並んでいます。 これは、ドライフルーツとナッツを発酵生地でまとめて焼いたお菓子です。 凝縮した味わいなので、薄くスライスして温かい紅茶や赤ワインといただくと美味しいです。 その他にもスパイスやナッツ、ドライフルーツを使ったお菓子が並んでいます。 中にはキュートなジンジャーマンクッキーもあり、食べるのがちょっともったいない可愛さでした。 |
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アルザスのクリスマス菓子ベラヴェッカ | とぼけた顔のジンジャーマンクッキーがキュート |
そして、この時期アルザスにはちょっと珍しくて面白いパン「マナラ」が登場します。 12月6日は、サンタクロースのモデルになったと言われる子供の守護聖人「サン・ニコラ」の日です。 この日はマナラという人型のブリオッシュを食べる習わしがあります。 お菓子屋さん、パン屋さんでこのマナラが山積みになっている様子は、ちょっと日本人にはびっくりな光景ですが、何度もみているとなぜか愛着が出てくるそんなパンです。 手成形のパンなので一つ一つに表情があって、思わず「え!?」と驚くような宇宙人っぽいものから、ちょっととぼけた可愛い顔のマナラもあって、ついつい「どの子にしようかな〜」と見比べてしまいます。 |
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マナラは大体ひとつ1ユーロ前後。それぞれ個性的な形をしているのが面白い |
それから、フランスの冬の風物詩がマロン・ショー(焼き栗)。 ドラム缶のような容器の中で栗を焼いただけのとても素朴なおやつです。 この日はとっても寒かったので、マロン・ショーの焼き場の周りにはたくさんのお客さんが集まっていました。 ストラスブールでも食べましたが、せっかくなのでここカイゼルスベルグでも食べてみました。 紙のケースの中にごそっと栗を入れて、そのまま立ち食いです。 ヨーロッパの栗は和栗に比べると水分が少なくホクッとしています。 天津甘栗のように甘いわけでもないのですが、「やっぱり冬のフランスではマロン・ショー食べとかなくちゃね!」という気分になるものです。 |
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ドラム缶のようなもので栗を焼いている 焼きたてほかほかのマロン・ショー |
そして、忘れてならないのが温かい飲み物。 ノエルの時期のアルザスはと〜っても寒いのです。 何時間かおきに温かいものを食べないと体の芯から冷えきってしまいます。 マルシェ・ド・ノエルでの定番はワインにスパイスを合わせたヴァン・ショー(ホットワイン)ですが、カイゼルスベルグでは珍しくかぼちゃのスープが販売されていました。 しかも、クルトンがパン・デピスなんです!このあたりがアルザスらしいですね。 もちろんかぼちゃとスパイスの相性はいいので、とても美味しかったです。 |
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こんな可愛い小屋が立ち並ぶ |
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温かい飲み物でこの時期はずせないのが、先程もちらっと書いた「Vin Chaud(ヴァン・ショー)」。 通常赤ワインをベースに作ることが多いのですが、ここアルザスは白ワインの産地としても有名なので、珍しく白のヴァン・ショーが飲めるのです。赤と白どちらもあるので、ぜひアルザスでは一度は白を飲んでみてくださいね。 やはり白のほうが穏やかで優しい飲み口で、ほっとします。 |
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白ワインのヴァン・ショー |
そして、もう一つは普通のカフェオレですが一緒につけてくれたサブレがとても可愛かったのでご紹介。 この時期のアルザスでは「ブレデル」といわれる小さなサブレがたくさん並びます。 この時つけてくれた流星のサブレも、ブレデルの一種です。 さくっと軽い食感で、カフェオレにもよく合うとっても素朴な味でした。 街中では、いくつかブレデルを見かけることがあると思うので、お土産やちょっとしたおやつに買ってみるのも楽しいです。ただ、日本へのお土産にしたい場合は、丈夫な箱や缶を用意することをおすすめします。 (たいてい、サブレはビニールの袋や紙袋に入れてカジュアルに提供されるのです) |
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Aux Bonheurs de Cécile外観 |
最後に、こちらは街中で一番可愛い雑貨屋さん。ただの雑貨屋さんではなく、食べ物にまつわるとっても素敵な雑貨が置いてあるのでご紹介を。![]() いろんな雑貨があるのですが、ここにはお菓子の木型が豊富に揃っているのです。 その多くは、ディスプレイ用ですが、見ているだけでも楽しいし、もちろん実用性のある型もあります。 特にアニスを使ったPain d'anis(パン・ダニ)というお菓子につかう型が多く、サン・ニコラや花、動物など様々なモチーフの型があります。これはスペキュロスの生地でも応用できるので、お菓子作りが好きな方には是非おすすめします! |
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アルザスチェックのハートがお出迎え | お菓子の型はどれにしようか迷うほどたくさん! |
カイゼルスベルグは特に有名なお菓子屋があるというわけではないのですが、とってもほのぼのとした優しい気持ちになれる落ち着いた街です。特にノエルの時期は、散歩して街並みや小さなお店を見てまわるだけでも楽しいので、ぜひともこの時期にアルザスを訪れる方にはおすすめしたい街です。 |
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Aux Bonheurs de Cécile | |
47 Rue du General de Gaulle 68240 Kaysersberg | |
http://www.baeckeoffe.com/ |