アルザスに行くお菓子好きなら、ほぼここを訪れているのでは?という村があります。 それがニーデルモルシュヴィル村。 コルマールから車で20分ほどの場所にあるとっても小さくて静かな村です。 決してアクセスがいいとはいえないこの村に、フランスの国内外からたくさんのお客さんがいらっしゃるのだろうなと思います。 |
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メゾン・フェルベール外観 | プレッツェルとクグロフの看板が目印 |
ニーデルモルシュヴィル村は、基本的には民家ばかりで、唯一のお店がメゾン・フェルベールです。 看板にはアルザスの食を代表するプレッツェルとクグロフがモチーフとなっています。 ブーランジェリーパティスリー、フェルベールと描かれている文字は薄く読みづらくなっていますが、フェルベールさんのお父さんの代から続いているという歴史を感じます。 |
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メゾン・フェルベールのコンフィチュール |
フェルベールさんが有名になったのは、コンフィチュール(ジャム)がきっかけ。 アルザスやその周辺で採れるフルーツを使ったフレッシュ感あふれるコンフィチュールが評判を呼び、今やパリはもちろん、東京でも販売しているお店があるほどです。 しっかりと砂糖をいれているものの、フルーツ本来の美味しさや新鮮な風味がしっかり感じられるコンフィチュールは、多くの人を魅了しています。 透明の瓶に赤い水玉の布をかぶせ、きゅっと美しく縛られたリボンがトレードマークですね。 アルザスを訪れる前に、日本でも見かけていたし食べたことはありましたが、やはり実際お店を訪れてこの瓶がずらっと並んでいる光景を見た時には感動ものでした。 |
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クリスティーヌ・フェルベールさん |
今回メゾン・フェルベールを訪れたのはお菓子を食べたい、見たいというのはもちろん、フェルベールさん自身にお菓子を教わるのが大きな目的でした。 やはり食べるだけではなく、その人がどんな手法で、そんな考えでお菓子を作っているのかを知ることはとても楽しいことです。 |
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パート・シュクレを仕込む | タルトリングに敷きこんでピケをする |
まずは、フルーツを使ったタルトを教わりました。 土台となるパート・シュクレを仕込みます。今回は少量だったのでマーブル台の上で手を使って生地をこねていきます。 日本の気候や素材だと、ベタベタしがちなパート・シュクレですが、フランスではしばらく常温においていても生地が扱いやすいのが羨ましいですね。 生地を仕込んだらタルトリングに敷きこんで空焼きをします。 |
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フルーツをたっぷり盛ります | 朝採れたてのミルティーユ! | ||
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空焼きしたパート・シュクレにふんわりたてたクレーム・ダマンド(アーモンドクリーム)を絞り、上にたっぷりのフルーツを盛ります! この時は初夏だったので、ミルティーユとフランボワーズを使いました。 ミルティーユは、この日の朝にボージュ山脈の麓でとれたという新鮮なもの。つやつや輝くミルティーユがたっぷりと盛られたタルトはアルザスならではの贅沢ですね。 |
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クレーム・ダマンドを絞る | 仕上げにアーモンドスライス |
フルーツの上から更にクレーム・ダマンドを絞り、最後にアーモンドスライスを全体にふりかけていきます。シュクレ生地、クレーム・ダマンド、フルーツという特に変哲のないフルーツのタルトですがそれぞれの素材の持つ美味しさが最も発揮されるシンプルなお菓子ですね。 |
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焼きたてはアーモンドの香ばしさがたまらない |
焼き上がりは表面がきつね色になったらOKです。 アーモンドの香ばしさやフルーツの甘酸っぱい香りが食欲をそそります。 焼きたてよりも少し置いてからの方が美味しいということで、この日は、タルトは持ち帰ってホテルで頂きました。 |
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翌日には全体が馴染んでしっとり | 3種類を少しずつ頂きました |
持ち帰った3台のタルトは、ミルティーユ、フランボワーズ、ミルティーユ&フランボワーズのミックスの3種類。 どれも美味しかったのですが、やはり日本ではほとんど食べることのないミルティーユの風味がとても新鮮で、好みでした。少し甘酸っぱくてほのかに華やかな香りがするミルティーユのタルトは、フレッシュを使っているからこそ出せる味だと思いました。 |
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フレッシュ感あふれる新鮮なミルティーユ | ミルティーユのコンフィチュール |
そして、タルトの他にコンフィチュールも教わりました。 こちらも季節のフルーツ「ミルティーユ」。 小粒のミルティーユがきらきら輝いていて、いかにも美味しそうですよね! コンフィチュールづくりは、最初にお砂糖を入れて一晩おくものと、お砂糖を入れてすぐに炊くものと作り方が2通りあります。今回のミルティーユはお砂糖を入れてすぐ炊くタイプでした。 材料はミルティーユとグラニュー糖だけのごくごくシンプルなもの。 大きな銅鍋で途中アクをとりながら、ぐつぐつと炊いていきます。 フェルベールさんのコンフィチュールは多くのお店で販売されていますが、コンフィチュールを仕込む量は上限を決めて作っているそうです。やはり多すぎる量を炊いても美味しくできないのだそうです。 そのため多少手間はかかりますが、美味しくできる適切な量で回数を増やして仕込んでいきます。 |
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熱々の瓶を素手で持つフェルベールさん! | 逆さまにして蓋を殺菌する |
ミルティーユのコンフィチュールが完成しました! 深い紫色をした艶のあるコンフィチュールです。 できたてを瓶に詰めていきます。 この時私達がびっくりしたのが、フェルベールさんは素手で瓶を持っていること! 炊きたてのコンフィチュールはおそらく軽く100度を越していると思いますが、その瓶を平気で素手で持っているのです。時にはこぼれたコンフィチュールが手に直接かかったりもして… それでも同じ仕事を何年も続けてきたフェルベールさんの手は職人の手になっているのでしょう。平気な顔をして次々に瓶に詰めていきます。 ふんわり優しいイメージのあるフェルベールさんですが、やはり厨房ではキリッとした勇ましい職人の顔でした。 |
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優しい笑顔で見送ってくれたフェルベールさん |
デモンストレーション研修が終わり、バスに乗り込んで帰ろうとしたところ、フェルベールさんがお店の外に出てきて手をふってくれました。 実はこの時はもう既に夜の9時くらいで、朝早くから働いているフェルベールさんはお疲れだったと思うのですが、優しい暖かな笑顔で見送ってくれました。 フェルベールさんのお菓子もこんなふうに優しく穏やかで、そしてしっかりした力強さもあるのです。 そんな一面にふれた人達が、またフェルベールさんのお菓子を求めてニーデルモルシュヴィル村を訪れるのでしょうね。 |
Shop data | |
Maison Ferber | |
18 Rue des Trois Epis 68230 Niedermorschwihr, France |