「ジャックといえば、クグロフ。クグロフといえばジャック。」と自分のお菓子人生の中では気づけばそう思っていました。それは、八王子にあった名店「ア・ポワン」の岡田シェフがジャックで修行していたこと、そしてア・ポワンのクグロフが素晴らしく美味しかったので、自然にそう思っていたのだと思います。
だから、ジャックに行ったら必ずクグロフを食べよう!と思っていました。 それだけじゃなく、どんな風に作られているのか知りたくてデモンストレーション研修を事前にお願いしました。 やっぱり、お菓子って食べるだけではなく、作る工程を知ることがとても面白いのです。 厨房に入ると、早速クグロフ型がずらっと並ぶスペースを発見! やはり陶器の型を使用しています。たっぷりのバターを塗った後に、マルコナのアーモンドを一粒ずつ丁寧に配置しています。 これだけ多くの型を準備するだけでも大変だと思いますが、それだけクグロフはこの地域に根付いたお菓子なのだなと感じました。 |
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クグロフは、発酵菓子の一種ですが、比較的バターがたっぷり入るのでリッチな味わい。 ジャックではバターをはじめ乳製品は日本でも有名なエシレのものを使っているのだとか。 日本ではかなり高級、フランスではある程度入手しやすい値段とはいえ、やはり他のブランドと比べても高級なものだと思います。 よくフランスのバターは(日本に比べて)溶けにくい、扱いやすいとはいいますが、ジャックの厨房には大きなバターのかたまりが常温で置いてあってびっくりしました。そこから使う分だけをとるのかな?と思いますがそれにしてもかなりの量でした。 そのエシレバターを贅沢にもクグロフの生地に練り込んでいきます。 |
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そして、クグロフには欠かせないレーズンをたっぷりと投入します。淡い色のレーズンだったので、サルタナレーズンだったのかもしれません。レーズン入りの生地を発酵させたら、型に入れてまた発酵させます。それにしてもレーズンが入ったふるいの木枠が年季を感じさせますね。 |
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生地を練ったり、発酵させたりと時間を置かなくてはいけない箇所を利用して、厨房を見学させてもらいました。 ジャックの厨房はとてもシステマチックで、生菓子、焼き菓子、グラス、ショコラ、トゥレトゥールなど、それぞれのお菓子を作るスペースがわかれています。 アントルメ・グラッセ(アイスケーキ)は様々なものがありますが、フルーツをかたどったアイスに使う型を見せてもらいました。パイナップルやぶどうなど可愛らしい立体の型もたくさん用意されていました。きっとアイスもそのフルーツにあわせて味が違うのでしょうね。ついつい食べてみたくなります。 |
フルーツの形をしたアイス型 | フルーツの盛り合わせをイメージしたアントルメ・グラッセ |
そして、こちらはシュー生地を作っているところ。 エクレアを絞っているところです。規則正しく同じ向きと大きさで黙々と絞り出していました。 その他にサントノーレの土台(フィユタージュにシュー生地)も絞っていたので、ここはシュー関係の生地をまとめて仕込む場所なのでしょうね。 厨房の中はとても興味深くきょろきょろしてしまいますが、この職人さんが使っている作業台の上の棚のたくさん並んだお菓子の型も気になるところです。 ここからジャックのお菓子が生み出されるんだなぁと見入ってしまいました。 |
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地下にも厨房があり、そこでは若い職人さんがボンボンショコラの仕込みをしていました。夏なのでそれほどショコラが動く時期ではないのでしょうが、それでも仕込みがあるのですね。それだけフランスではショコラが日常に根ざしているということでしょうか。 |
ショコラは涼しい地下で仕込み |
見学を終えると、既にクグロフは焼きあがっていました。 デモのお土産として1人1台をお持ち帰り。フランスらしくお店の包装紙でささっとくるまれています。その中からはとってもいい香りがぷんぷん。甘いバターの香り、発酵独特の旨みある香りが漂います。 早く食べたい!という衝動にかられて一口パクっと。 やっぱり、思っていたようにジャックのクグロフはとても美味しく、忘れられない味になりました。 他のお菓子も美味しいのですが、やはり私にとって一番印象深いのはクグロフです。 ジャックに行ったら是非クグロフを召し上がってみてくださいね。 |
香ばしくほんのり甘いクグロフ | 他の発酵菓子もおすすめ(写真はノエルの時期) |
Jacques ジャック
50-52, avenue d'Altkirsch 68100 Mulhouse |