今回はアルザスの18〜19世紀ごろの生活ぶりを見学できる博物館「ミュゼ・アルザシアン(アルザス博物館)」を紹介したいと思います。 |
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アルザス博物館 |
ストラスブールの街の中心地から程近いところにあり、イル川沿いに建つ博物館です。 外観からはわかりませんが、中は思った以上に広く中庭まであります。 この博物館にはアルザスの生活に根ざしたものが数多く展示されています。 昔ながらのものもあれば、現在でも愛されているものもあります。 |
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絵付けした陶器 | ベッコフの陶器 |
たとえばアルザスの陶器たち。 ぽってりした丸いフォルムが素朴なお皿やピッチャー、そして郷土料理のベッコフ用のお鍋など。さまざまな色をベースに、花や動物などのモチーフを描いた素朴で可愛らしいデザインです。このタイプは現代でもレストランやお土産屋さんなどでよく見かける陶器です。 |
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淡いグレーに青の絵付け |
陶器には淡いグレーの陶器に青で絵付けしたものもたくさん並んでいました。歴史の古いものなのか、ある地域だけで使われているものなのかは、わからないのですが、こういうものもアルザスの陶器なんだなと初めて知りました。 |
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昔のアイロン |
昔使われていた日用品もあり、さまざまな形状のアイロンや、とても大きなストーブも展示されていました。 アイロンはとても小さなサイズのものもあります。見た感じ重量感もありそうです。 アイロンは重いほどしわをきれいに伸ばしてくれるので、このアイロン重くて使うのは大変そうですが、仕上がりはきれいそうですね。 |
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ロマンチックな柄のストーブ |
ストーブは寒いアルザスには欠かせないものだったのでしょうね。とても大きなサイズで存在感がありました。 ストーブというと地味なイメージですが、このストーブは紫をベースに花柄が描かれたとてもロマンチックなデザインです。 |
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リアルなアニョー・パスカルの型 | 復活祭のうさぎ型 |
そしてお菓子好きにはたまらないコーナーもあります! 私が思わずテンションがあがったのがリアルな模様のアニョー・パスカルの型。 アニョー・パスカルは復活祭の時期に食べる羊型のお菓子です。アルザスの郷土菓子のひとつで、毎年復活祭の時期にはパティスリーにずらっとこの羊さんが並びます。 そのアニョー・パスカルの型はサイズや形状さまざまなのですが、この博物館においてある型は今まで見てきたものの中で一番毛並みが細かくリアル!この型で焼いたらどんな風に仕上がるのでしょうね?一度見てみたいものです。 そして同じく復活祭用のウサギの型もありました。 ウサギは多産のため、復活祭のモチーフとしてよく登場する動物です。 このウサギ型は結構大きなサイズだったので、こちらも細部までリアルに作られています。金属製だったのでチョコではなく焼き型だと思います。 |
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もちろんアルザスを代表する発酵菓子クグロフの型もありました。どっしり厚く作られた陶器の型です。そして壁一面にかけられた木型も興味深いものばかり。 これらは、木材を削って、動物や自然、人などをモチーフにした型です。 おそらく、アルザスのお菓子パン・ダニもしくはSpringerle(スプリンジェール)を作るための木型でしょう。日本ではなかなか見ることのできない珍しいものなのでとても興味深かったです。 |
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アルザスの昔ながらのキッチン | 赤い絵付けが珍しいお皿と食器棚 |
そして、こちらは昔ながらのキッチン。 石をベースにした造りで、ガスオーブンもついていますね。 鍋やフライパン、レードルなどがありますが、わりと簡素な感じのキッチンですね。 上に大きな籠が並んでいますが、お野菜などをいれるのに使っていたものなのでしょうか。 そして、かわいい食器棚の展示も。 木製の食器棚は上半分が飾り収納になっていて、お皿やコーヒーミル、スープ用の陶器などが飾られています。 私がもっていたアルザスのイメージとは違う雰囲気ですが、昔はこういう感じのお皿も多かったのでしょうか。 |
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こちらはベッド。 ベッドだけではなく、その周りの囲いもあるので、ひとつのお部屋のようですね。 青と赤のチェックの布でカーテンとベッドシーツが作られています。 アルザスでは、カフェや雑貨屋さんなどでよくチェック柄の布を見ることが多いのですが、これは「アルザスチェック」とよばれる布製品だそうです。アルザスチェックとしての細かい決まりはわからないのですが、このカーテンやシーツもアルザスチェックなのかしら?と思いながら眺めました。それにしても掛け布団がびっくりするくらいのかなりのボリューム!これも寒い地域ならではでしょうか。 ベッドの近くにあった収納棚にも、たくさんのチェック柄の布が入っていました。触ることはできないのですが、製品になっておらず布そのもの、という感じだったので、きっと昔はこの布を使ってシーツやカーテンなどを手作りしていたのでしょうね。 |
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アルザスの民族衣装は大きなリボンが特徴 |
そして、一見顔なしのマネキンにドキッとしますが、こちらはアルザスの民族衣装のコーナー。 顔よりもとっても大きなリボンが個性的な民族衣装です。 もちろん、現代の生活では通常こういう服を着ることはありませんが、日本と同じくお祭りの時に着ることが多いようです。 アルザスのおみやげ物、はがきや食器などでもこの民族衣装を着た女の子がデザインされていることが多いです。 よく見かけるのは黒のリボンですが、こちらには赤のチェックや花のデザインのものもありました。 きっとスタンダードは黒だけど、いろんなデザインがあるのでしょうね。 ミュゼ・アルザシアンでは外観からは想像できないほどのたくさんの資料が展示されています。身近な生活に根ざしたものが多く、特にキッチン周りのものはお菓子も関連するのでとても興味深かったです。 街中にありアクセスもしやすいので、アルザス観光におすすめのスポットです。 ちなみにこの博物館の近くにシュークルートが美味しいレストランがあるそうですよ。博物館とセットで行ってみるといいですね。 Musée alsacien 23 - 25 quai St-Nicolas, 67076 Strasbourg, |