レイヤースイーツとは、レイヤー=重ねること、層になっていること。そう、レイヤースイーツは重ねて作るデザートなのです。 「絵を描くみたいに、あるいはアクセサリーを作るみたいに、おいしいパーツときらきらの果物を並べて重ねてスイーツを作りましょう」 と、著者の渡辺千尋さん。 確かに渡辺さんがおっしゃる通り、洋菓子屋さんのケーキやレストランで出てくるデセールもよくみると、いくつもの層になっています。それは、生地や材料などパーツの重なりはもちろんですが、ふんわり、しっとり、サクサクなど食感の重なりでもあります。 ご自身でも洋菓子教室を主宰されている渡辺さんの、プロの作り手としてのアドバイスやアイデアが詰まったこのレシピ本は、簡単に作れるけど、実はしっかりと手をかけていることが伝わってくる本格的なメニューがいっぱい。 |
![]() |
まず、基本の重ね方をマスターしたら、いくつかのパーツを作っておきましょう。 この本で紹介されている基本のパーツは、全部で9種類。どれもが、お菓子作りが苦手な人でも簡単にできて、失敗のないレシピになっています。 しかも、ほとんどが作り置きできるというのが嬉しい。このパーツさえ作っておけば、急なお客様の時でも、フルーツさえあれば、本格的なスイーツが出来上がるのです。 |
![]() |
基本のパーツ作りのひとつ、「ガナッシュ」。手順以外にも材料や使う道具の説明やポイントなどが詳しく書かれていて、渡辺さんのこの説明さえ忠実に守れば、「溶かして混ぜる、だけ」で、簡単にガナッシュが作れそう |
LESSON1では、美味しい旬のフルーツを組み合わせたサラダがたくさん紹介されています。基本のパーツを使って、スイーツのように美しく仕上げたサラダは、食卓をさらに華やかにしてくれそうです。 |
![]() |
「桃とプラムのサラダ」は、同じ仲間同士の組合せで相性ばつぐん! こんなふうに「グリーンを足すのも見た目重視のスイーツには大切なこと」というのも、フード・スイーツコーディネイトも手掛けている渡辺さんならではのアドバイスです |
そして、レイヤースイーツと言えば、忘れてはいけないのがグラススイーツ。 グラスの中に美しく層になったスイーツは、見ているだけでうっとり。 LESSON2では、このグラススイーツがいくつか紹介されています。重ねただけで、かわいらしくも、また大人のパフェといった様相にもなるグラススイーツは、応用範囲が広そう。 とはいえ、重ね方にもテクニックがいります。テクニックを学びながら、このレシピ本にあるたくさんのグラススイーツを作ってみてください。 もちろん、基本のパーツ作りもきっちりと学んでからですよ。 |
![]() |
「クランブルさえあればグラスデザート」では、基本のパーツとしてクランブル、チョコレートクリーム、カスタードクリームを学びます。クランブルはいくつかの種類があり、バリエーションが広がります |
そして、最後はLESSON3! 「重ねて作る本格デザート」では、まるでフレンチレストランの最後に出てくるデセールのような贅沢なレイヤースイーツが並びます。 基本のパーツは2つ。そのうちの1つは、市販のパートフィロにひと手間かけたもの。市販のものを上手に取り入れたことで、またレイヤースイーツの可能性が広がった感じがしました。 |
![]() |
「キャラメルりんごのパートフィロ仕立て」、パートフィロやチュイール、クランブルなど基本のパーツを使い、リッチな仕上がりに |
この本で、レイヤースイーツのテクニックをマスターしたら、次は自分でオリジナルのレイヤースイーツを作ってみてはいかがでしょう。 きっと、たくさんの可能性に出会えると思います。 とはいえ、プロである渡辺さんの視点からの組合せは、やっぱり素晴らしいと思うので、この本の第2弾を、読者の一人として、心待ちにしたいと思います。 |
重ねるだけ!レイヤースイーツ
著者:渡辺 千尋 撮影:青砥 茂樹 定価:本体1300円(税別) 発行所:株式会社 講談社 |