そもそもジャムは大好きで、2,3年前だろうか、 |
![]() |
![]() |
翌日の講習会は、ほとんどファンの集いのようだった。
この日作ってくれたのは、「フランボワーズとチョコレートのジャム」、「バナナとオレンジとチョコレートのジャム」、それから「リンゴとシナモン風味のストリューゼルのタルト」、おまけに「ヴァンショー」と、2時間にぎっしりと詰め込んでくれた。 |
たとえばサブレ生地を作るとき、レシピはヘーゼルナッツのプードルだったが、 「アーモンドでもクルミでも大丈夫。世の中には“奥さん”や“旦那さん”のように変えてはいけないものもあるけれど、お菓子はいろいろ代用していいもの。特に、家庭ではなんでもあるものでつくっていいのよ」 というように、冗談を交えつつ(とてもお話上手な人だ)、 |
![]() |
![]() |
お菓子作りやジャム作りが身近に感じられるような内容でありつつ、 「ジャムに2種類の素材を入れるときは、ペクチンの多いものと少ないものを組み合わせるといい。今日は冷凍のフランボワーズを使うけれど、アルザスではまわりにフルーツがいっぱいあるから、必ずフレッシュを使っています。フレッシュを使うときは、フルーツにしっかり味をしみさせるためにも、2日間かけて作るといいわね」 とか、 「ジャムは保存のできるもの。だから62〜65%の糖度が必要だけれど、きちんと殺菌した瓶を使うなら、58%くらいでもいいわ。強火でたいている鍋の中が、細かい泡から大きな泡にかわったら出来上がり。この見極めが作る上でとても大事なこと」 など、なるほどと思わせる言葉も多かった。 |
さて、お楽しみの試食である。 残念ながら、リンゴのケーキの焼き上がりを待つ間に、来日中でスケジュールぎっしりの氏は退散してしまったけれど、私たちにはまず先ほど作ったヴァンショーが振る舞われ(しかし、うっかり講習の感想など話しているうちに、なんてことだろう、わたしはこれを飲みそこなってしまった!)、そのあと焼き立てのケーキが。 千切りのリンゴが甘酸っぱく、ヘーゼルナッツの香りが豊か。ホクホクとして寒い夜に嬉しい味は、口に入れるとじんわりじゅわりとその味を広げる。ジャム2種類は小さい瓶に入れてお持ち帰り。 早速翌朝食べてみたが、バナナとオレンジのジャムはラム酒がしっかりきいていて、それだけお皿に盛ってフレンチのデザートになりそうだ。個人的にとても好きな味で、小さい瓶は明日にも空になるだろう。フランボワーズのほうは、酸っぱい果実にチョコレートがうまい具合にコクを出し、当然だけれど美味である。こちらの瓶も明後日くらいには空になるだろう。 |
|
![]() |
![]() |
伊勢丹で購入した数個のジャムもあって(サイン入り)、今我が家の冷蔵庫はフェルベール氏でいっぱいだ。講習に参加していたファン方々も、きっとこんな状態なんだろうなあ、なんて思う。そして一度アルザスのお店に行ってみたい、あるいはまたアルザスの店に行きたいと想いを馳せているじゃないか。 そう思わせるほど、魅力的な人と味だったのだから。 |
![]() |
2004.1.30 取材・文:浅妻千映子 |