パナデリアが行く 「フレダーマウス」八木シェフに会う!! | ![]() |
![]() ![]() 取材当日、チョコレートの上掛け用に仕込んだザッハトルテの台は大(約18cmのもの)4台、小(約13cmのもの)3台。これは、前日にシェフが焼き上げておいてくれたものだ。。前日に生地を焼き上げておくのは、味も生地自体も落ち着くから。オーストリアでは生地は丸型では焼かずにほとんどがセルクルに紙を敷いて焼くそうだ。もちろん八木シェフも同様である。 |
八木シェフは早速、その台をセルクルの高さに沿ってナイフを動かし平にし、角も削ぎ落とした。これはあとで、チョコレート掛けをした時に、チョコレートが流れやすくなるようにするためだ。そして、その切り落とした生地ももちろん、無駄にはしない。ザッハのトルテ台にアプリコットジャムを煮詰めたものを流しかけコーティングした後、そのアプリコットジャムと、先程切り落とした生地を練り合わせ、トルテ台のサイドにナッペしてゆく。そして、トルテ台の準備ができたら、いよいよチョコレート掛けだ。 チョコレートのコーティングの際にも、モノを無駄にしないというヨーロッパの精神がところどころに感じられ、見ている私達にもとてもいい勉強になった。例えば、チョコレート・水・グラニュー糖を煮詰める際に、前回の上掛けの際に残ったチョコレートを合わせ入れ、火にかけ煮詰めていく・・というように。 ![]() 「今のタイミングが一番良い感じ。こんな感じと状態・感覚でいつもタイミングをはかります。ただ、季節によって若干煮詰める時間は変わってきます。」とのこと。そして、パレットナイフにこびりつくようになったチョコレートを、大理石の台の上にレードル1杯分を流し、それをテンパリング用のパレットナイフで練り上げ、粘りの出てきたものをまた、ボールに戻していく。 「右手でパレットナイフを動かし、左手ではボールの中のチョコレートをレードルで混ぜる。」そんな作業を数回繰り返すとボールの中のチョコレートが、さらっとした液体からトロッとスジを描く液体にと変わっていく。「これが上掛するのに一番良いタイミング。」と八木シェフ。 ボールの中のチョコレートをすくってみて、スーッと円が描けて消えない程度まで練り上げたものを、大きなトルテ台から流し、手際よくパレットナイフを動かしてチョコレートを下まで流してゆくという作業を順序良く大4台、小2台分仕込んでゆく。7台目の小さなトルテ台に上掛をしようとしたところ「もうこのチョコレートの状態では無理でしょう。」とボールの中のチョコレートをすくって見せてくれた。「もう、こうなっては上にチョコレートをのせたとしても下までは流れてこないんです。今日は一度に6台分チョコレートの上掛けをしましたが少ないほうですね。いつもはもう少し多く仕込むんです。」チョコレートの上掛がすんだザッハを見ると、今まで鏡のようにきれいにテカテカに光っていたチョコレートが時間がたつにつれ、鈍い光に変わってゆく。それが、成功したザッハトルテの特徴。 ![]() さて、次に八木シェフのザッハトルテのレシピを紹介しよう。自信のある人は、作ってみてください。自信のない人は、八木さんのザッハを @お店に行く。A地方発送してもらう。・・どちらかの方法で手に入れることをお勧めする。ぜひ、一度、「本物」の味を味わってみてはいかがだろうか。 |