![]() 手入れのよい畑は例年の収穫を期待できそうだが、悪い畑は惨憺たる状況である。この地方では、普通、減反政策のもと麦を生産する。水田で米を収穫したあと、麦の種を蒔き芽吹いたあと雪の時期を迎える。雪解けのとき、麦はぬかるみを嫌うため、排水処理をしないと生育が非常に悪くなるということであった。雪の前に水田の畦を切って、雪解けの時期の排水を考えるという少しの努力を怠った畑は、今回目にした荒涼としたものになってしまうということだった。 ![]() 今年も、北上で麦畑を案内していただいた西部開発農産の照井氏、やはり麦の状況はあまりよくないとのことであった。手間がかかり苦労が多いわりに、収穫量、利益がその苦労に見合わないため、正直言って生産をやめたくなることもある・・という照井氏。だが、この貴重な麦を心から待っているベーカーの方、消費者のことを思うと、やはり続けていくしかないというのも偽らざる気持ちだそうだ。私たち消費者としては、この努力に心から感謝したい。麦畑参観のあと、キャベツ、大豆等の畑を見てまわった。 ![]() 手間をかけることの大切さと、そしてそれを上回る、自然の偉大さ怖さを今回の視察会では特に感じた。そして毎年東京に戻ってから梅雨空を見上げながら、「今年の麦はどうなるかな?」と心配していたが、その心配は今年が一番かもしれないということを、付け足しておこう。 ここで南部小麦についての知識をちょっと ・40年ぐらいの歴史があり、岩手、青森地方でしか良質のものは取れない。 ・今年度3000トン程度、需要の増加とともに来年度3500トン生産を目指す。 ・東日本産業(株)で製粉を行っている。 ・中力粉であるが、味わい深く、パンにも向いているということで、天然酵母との相性がよく、 ピッコリーノの伊藤氏をリーダーにリテイルベーカーでの需要が増加している。 ・生産者の見える麦ということで、減農薬、安全性は保証されている。 |