今回はバスクの名産地である2つの小さな村をご紹介したいと思います。 まずIxxasou村は、日本語だとイッツァスとかイッサスー、イチャツと表記されますが、バスク語なので中々日本語で表記が難しい村です。この村で有名なのが「cerises noires黒さくらんぼ」。 さくらんぼのジャムは、ガトー・バスクの代表的なフィリングとしても使用されますが、実は近年非常に収穫量が減り、バスク地方で売られているさくらんぼジャムは、ほかの地域のさくらんぼで作ったものが多く出回っているのだとか。その現状を変えるため、現在ではさくらんぼの木の栽培に力を入れているそうです。その活動が今後期待されますね。 |
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私たちがこの村を訪れたのはもう夜遅い時間。村は何があるというわけでもなく、静かな村という印象です。もう時間的にも厳しいかな、と思っていましたがかろうじて1軒だけ開いているお店がありました。Jenofaという地域の特産物を販売しているお店です。
バスク独特の白い壁に赤褐色の屋根と窓枠の建物です。 お店の入り口には床にさくらんぼのイラストが描かれており、ほのぼのとしてかわいらしい雰囲気でした。 |
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リキュールやジャムなど日持ちするものが多い | 黒さくらんぼのジャム |
店内にはさくらんぼのジャムやリキュール、いちじくのジャム、バスクの唐辛子の加工品などが並んでいました。ここで販売されているジャムは、さくらんぼが60%、砂糖が40パーセントの割合で作られているそうです。試食はできませんでしたが、私がバスクで食べたガトー・バスクに使われている黒さくらんぼのジャムは、酸味はあまりなく渋みとコクがあるものでした。グリオットとは対照的な味、といえばいいでしょうか。ただ、いくつかの品種があり、それによって味や食感も異なるのだそう。 |
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さくらんぼの木(まだ若い木なのか背が低く細かった) |
さくらんぼの収穫時期は5月から6月あたり、ということで、8月に訪れた際にはフレッシュの果実を見ることはできませんでしたが、その時期になると村ではさくらんぼ祭りが開催され、さくらんぼやジャム、ガトー・バスクの販売やダンスや競技などでお祝いするそうです。静かな村もきっとこの日は多くの人々で賑わうのでしょうね! |
◆ Jenofa(今回紹介した土産屋) HP http://www.confitures-jenofa.com/ ◆ Ixxasou村 HP http://www.itxassou.fr/ |
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唐辛子で有名なエスプレット村の街並み |
Espelette(エスプレット)村はItxxasou村の西隣にある村です。この村の特産物は唐辛子。「Piment d'Espelette(ピモン・デスプレット)」と呼ばれる赤い唐辛子です。この唐辛子はピーマンの様な大きなサイズで真っ赤な色をしているのが特徴。オイル漬けにしたり、乾燥させパウダーに加工されて、料理に使用されます。 唐辛子というと、当たり前ですが「辛い!」というイメージですが、このバスクの唐辛子の辛みはとてもマイルドで程よいアクセントになります。辛いのが苦手な私でも全然きつく感じなかったのが印象的です。 ピモン・デスプレットはA.O.P.(EU が定める原産地名称保護制度)に認定されていて、フランスでは広く知れ渡っています。 |
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伝統的には唐辛子を外に干して乾燥させていたのだそう |
私たちが訪れた時にはまだシーズンではなかったのですが、夏から秋にかけて収穫した唐辛子は、看板のイラストの様に紐で吊るし、窓枠にかけて乾燥させます。現在商品として出回っているものは衛生的な環境で乾燥させるようですが、伝統的には家の外壁に吊るして乾燥させていたようです。エスプレット村ではその伝統を感じてもらうべく収穫期が終わると、たくさんの唐辛子で覆われた家を見ることができるそうです。 |
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スーパーでも唐辛子加工品は多い | おすすめはパウダー状のもの |
バスクのスーパーでは唐辛子の加工製品が並んでいます。オイル漬けやマスタード、ソースなどの調味料などがあります。個人的には最も手軽に利用しやすいパウダーがおすすめです。(持ち帰りも軽いし!) 料理の仕上げにパラパラッと軽くふりかけるだけでOK、意外に和食にもあいます。 |
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お皿の周りにパラパラッとかけられている |
バイヨンヌで訪れたレストランでは、コース料理の大体の料理で、お皿の周りにパウダーをかけていました。これだったら、最初はそのままで、その次には唐辛子をいれて。という楽しみ方もできていいですね。 バスクではこの唐辛子を使った板チョコレ―トなどもあります。初めて見た時はおっかなびっくりでしたが、食べてみると意外に合わなくはない感じ。ちょっと珍しいチョコレートとしては一度食べてみるのもいいかも。 小さな村の特産品ですが、バスクらしさを非常に感じる食材でした。 Ixxasou村のさくらんぼの今後も気になります。今後栽培量が増えていくと嬉しいですね。 |
◆ Espelette村 観光協会HP) https://www.espelette.fr/espelette-le-village/ |