オーストリア、ドイツ、フランス、ベルギーと欧州諸国で修業を重ね、日本人で初めて三ツ星レストランのシェフパティシエを務めた鎧塚俊彦氏。恵比寿ガーデンプレイスから程近い場所に開いたパティスリーでは、生菓子、焼き菓子はもちろんのこと、シェフ自らが腕をふるうデセールを楽しむこともできます。店の奥に設けられた6席のカウンターは、厨房が見渡せる設計。床が数段上げられ、カウンター内に立つスタッフの方と目線が会う高さになっています。この雰囲気は、まさに寿司屋のカウンターのよう。シェフのテクニックを見ながら味わえる、最高の環境です。
「出来立てのおいしさを伝えたい」というデセールは、極めてシンプルで、誰でも馴染めるような美味しさ。欧州でシェフを務めていた頃からレシピは変えず、自身が「美味しい」と思う味に仕上げているそうです。そんな味覚の原点は、おばあちゃんのおばんざい。化学調味料は一切使わない、出汁の味を活かした料理が、今のシェフを支えているのかもしれません。
 デセールを作りながら、こんなこだわりを語ってくれた鎧塚氏。その柔らかな物腰と人柄にファンも多いようです。最近では厨房が見える設計のお店は多いものの、シェフとの距離がこれだけ近い店は希少。恵比寿から広尾にかけては散歩をするのも楽しいエリアなので、いちど出掛けてみてはいかがでしょうか。(2005年4月取材)

  





Mille Feuille aux Fraise
いちごのミルフィーユ

\1,000


ハラハラと繊細な印象のフィユタージュは、層がとても薄く、しっかりと膨らませたもの。焼き込んだおいしさがあり、焼きたてのバターの香りが漂います。添えられたイチゴはジューシーで、酸味と香りがしっかりあるもの。クリームパティシエールやアイスクリームのミルキーな甘さとの相性も抜群で、イチゴの甘酸っぱい味わいがより強調されます。かなりボリュームがあるように見えるものの、その美味しさにつられてあっという間に食べてしまいます。


Soupe aux Fruit Rouge avec Parfait au Miel
赤いフルーツのスープとハチミツのパルフェ   
\1,000


イチゴとフランボワーズのスープに、ほんのり蜂蜜を効かせたパルフェを合わせ、ピスタチオのアイスクリームを添えたもの。フランボワーズが加わることで味の輪郭がはっきりとしたスープに、ピスタチオがベストマッチ。ふくよかな香り、深いコク、そしてフレッシュ感と、久しぶりに美味しいピスタチオに出逢いました。アイスクリームの滑らかな舌ざわり、表面に散らしたピスタチオのコリコリ感と、食感のコントラストも楽める一皿です。


Biscuit Coulant Chocolat
中からチョコレートが流れ出す、
温かいデザート 

\1,000


鎧塚氏がシェフパティシエを務めたレストランのスペシャリテ。ナイフを入れるとチョコレートが溢れ出るという、仕掛けのある一皿。外側の完全に火が通った部分は驚くほど薄く、流れ出た部分は粉っぽさがないという、絶妙な焼き加減。中にはキルシュ漬けのグリオットが入り、その部分を食べるとプチッと果汁が出て、キルシュの華やかな香りが漂います。添えられたイチジクの赤ワインコンポート、ラム酒をきかせたバニラアイスクリームとそれぞれお酒が使われていますが、どれも「強い」と感じる一歩手前の効かせ方。セミスイートチョコレートの丸みのある味わいを、お酒の存在がオトナの印象に変えています。





住所 東京都渋谷区恵比寿1-32-6-1F
TEL03-3443-4390
営業時間10:00〜20:00
定休日火曜日
アクセスJR山手線/東京メトロ日比谷線 恵比寿駅 徒歩8分
URL www.cakechef.info/toshi_yoroizuka/