パティスリー キャロリーヌ シェフ 中川 二郎さん | ![]() |
<経歴> 「カド」「スヰング」などで修業後、東京製菓学校に12年間勤務。 03年9月に独立 「パティスリー キャロリーヌ」をオープン。 |
実家が和歌山で菓子屋をやっているので、小さい頃から父親の背中を見て育ちました。自分も菓子屋になることを決めたのは17歳のとき。2003年のこの時季に独立オープンするというのも、ずっと前から決めていたことなんです。 この土地を選んだのは、たまたまいい物件が見つかったからですが、まわりには学校が7つもあり、よく子供連れのお母さんが買いに来てくれます。都心よりも郊外で地元に根ざした店を持ちたいというのが永年の夢だったので、理想的な場所ですね。 学校の社会化見学で生徒が厨房を見に来ることもあるんですよ。 | ![]() |
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「カド」「スヰング」で10年間修業したあと、渡仏しようか製菓学校に勤めようか迷ったのですが、じっくり勉強でき留学もできるということで、学校で教える方を選びました。自分の専門ではないのですが、カリキュラムには和菓子やパンもあり、食に関して幅広く知ることができたのはよかったと思います。 留学もさせてもらい、フランスのベルエ・コンセイユでひととおり学んでから、ジェラール・ミュロなど数店で働きました。その頃ミュロといえば今ほど有名店ではありませんでしたが、ずっと働きたいと思っていた店だったので嬉しかったですね。 そのほか、レストランでもスタージュをしましたが、その時の経験は後にとても役立ちました。お菓子というと、とかくレシピに頼った作り方をしてしまいがちですが、料理では何よりもまず「素材ありき」。そしてそれは、本当はお菓子にも当てはまることなのだと気付かされました。 |
ケーキにはフルーツや野菜など旬のものをふんだんに使って、いつも季節感あふれる店にしたいと思っています。ジャムはもちろん、フルーツを漬けた手作りのリキュールも常備しています。 学校では生徒に「基礎の基礎」を大切にするよう言っていましたが、店でも同じこと。スタッフには、市販のピュレや缶詰を使う前に、素材から加工して作ることを忘れないでほしいと話しているんです。 最近「食育」という言葉をよく耳にしますが、食に携わるプロとして、食材がどこで作られたのか、どうやって加工されてお菓子になるのか、そして食べたあとの環境のことまで発信できる店にしていきたいです。スーパーマーケットなどが増える中、お客さんと店員のちょっとした会話も大切なことですよね。季節を感じられる花壇づくりをしたり、レイアウトを工夫したり、もっといい店になるよう日々スタッフとアイデアを出し合っています。 | ![]() |
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これまでも休みのときには実家の店を手伝っていたので、実際に店を持ってみて想像とのギャップというのはありません。もっとこうしたいああしたいと、これからの夢が広がるばかりですね。 アレルギーの子供さん向けに、卵の入らないお菓子のリクエストも多く、現在開発中です。12月からは念願のボンボンも始めますし、4月くらいからは教室も始める予定なんです。夏にはアイスクリームも出したいですし、クレープ、トレトゥール(惣菜)もやってみたい。何よりも、もっともっとお客さんに喜んでもらいたいと思っています。 |
2003年11月取材