グラングルマン ル クール ピュー
鈴木 芳男さん



店には、お菓子だけでなくパンも20種類以上ありますよ。奥にはイートインスペースがあり、ここはケーキをその場で食べて欲しいというより、ランチタイムに自家製のパンで作ったサンドイッチなどを食べてもらおうと作りました。





今スタッフは13人くらいいますが、みんな一日の中で複数の仕事を担当します。朝お菓子を仕上げたらそのあとはランチを担当、というように。全員がパンもお菓子も調理もやるシステムにしているんです。


僕はね、ケーキだけに一途になっちゃうとか、パンだけとか、フランス料理だけと決めてしまうのって、つまらないと思うんですよ。美味しいものであれば、ジャンルを問わず興味があるし、足を運んででも食べたいと思っているんです。今年も、もう何度も海外に行っています。フランスはもちろん、シンガポール、それから上海には4回も! どこに行くときも、何か店で使える料理はないか、参考になるものはないかと思って行く訳ではありません。基本姿勢は美味しいものを食べたいから行くだけ。





過去を振り返れば、フランスの星付きレストランも相当食べました。各店の星を合わせると、500くらいにはなるのではないかな。最近では、2年前に銀座のロオジエがリニューアルオープンしましたよね。その後1年の間に33回も通いましたよ。そうやって、純粋に美味しいものを食べた蓄積が、何か新しいことをはじめようと思ったとき、ぽんといいひらめきとなって役立つんです。




さて、ケーキについてですが、ショーケースを見てもらうと分かるように、そんなに派手なデコレーションはしていないんです。食べられないもの、必要のないものは飾りたくないから。セルフィーユをのせている店があるけれど、僕はどう考えてもケーキにセルフィーユは必要ないと思う。紙でできた店のロゴマークの飾りもいらないと思うし、そういう費用があるなら、本来食べるべき場所にまわしたい。

といっても、素材はなんでもかんでも高級なものを使えばいいかというと、そうではないと思っています。お菓子作りは、素材に火を入れたり加工する部分が多いですよね。その行程を経たとき、高級素材もそうでないものも差がなくなることがある。そんなときは、高級なものをあえて使う意味はないと思っています。


今後、お菓子の店をいくつも展開するつもりはないですね。せいぜいこことコンセプトが違う店をひとつ、たとえばフランス地方菓子専門の店なんかはいいなと思います。お菓子以外で、カレーの店、お蕎麦の店はいつか出したいと思っているんですよ。それくらい他のジャンルにも興味があるんです。

  2002.9.18

グラングルマン ル クール ピュー
杉並区荻窪5-16-20
03-5335-5351

鈴木さんの秘密