ムッシュ ソレイユ 竹内 勉 氏 |
![]() 竹内氏とスタッフのみなさん |
![]() オープン当初を振り返って、一番の変化は、ハード系の人気ですね。昔は、ハードが売りたかったのに、デニッシュばかり出るから、次から次へ、デニッシュを作らざるを得なかったですもん。今は、逆転して、売り上げでもハード系のほうが上なんですよ。天然酵母を使った、黒くて硬いパンが、びっくりするくらい定着してきています。僕が求めていた形に近づきつつあるな、という感じですね。 ![]() それから、店の形態として、お客さんの声が直に伝わる対面式にしたのは、よかったですね。料理は心、というのと同じで、ちょっとキザですけど、パンを焼くのだって、最後はハートが大事。絶対、心を込めたほうが美味しくできますからね。お客さんの顔を思い浮かべて作ったものって、やっぱり美味しくできていると思うんです。若いスタッフにも、言うんですよ。パン生地を自分でこねて、焼いて、そこで終わっちゃ駄目だって。ちゃんと、焼きあがって、お客さんが買っていくところまで見なさいって。そういうところで変わってくることってあると思うんですよ。 僕自身、パンのキャリアもお菓子のキャリアもたいしてないままにお店を始めました。覚えたルセットもあるけれど、ルセット通りで美味しいパンができたら、素人でも美味しいパンは作れちゃうわけで、そうじゃないから、僕たち職人がいる。ルセットに頼るんじゃなく、さまざまな経験から、さまざまなことを自分で感じ取りながら、ものを作れるようになってほしいなとスタッフには期待しています。そのために、朝起きたら、その日の気候を体で感じること、まずこれが基本なんです。 ![]() 今、月に一度、スタッフの食事会っていうの、やってるんですよ。5人のスタッフで、今月の担当をまわしていくんですけど、食事会の日は、担当の人が、和食洋食なんでもいいから、料理を作るんです。コミュニケーションも取れるし、そんな中から学ぶことも多いですよね。スタッフの1人、ゆーじが、ゴルゴンゾーラとハチミツのピッツァを作ったことがあるんです。それが美味しかった。で、パンにしてみよう、と「ゆーじくんのパン」っていうゴルゴンゾーラとハチミツのパンが生まれたりしたこともあります。日々忙しくて、スタッフみんな、なかなか余裕がないかもしれないけれど、そんな中からもこれから徐々に新しいものも生み出されていくんじゃないかな。 僕自身は、いつか、出身の新潟でパンが作れたら面白いなって思ってます。すごい、いい水があるんですよ。で、新潟のいい鶏が生んだ卵とか使って。夢ですけど、いつか実現したらいいですよね。 取材日 2000年2月 |