こだわり職人特別版

ノースプレインファーム

大黒宏 氏

このノースプレインファームをはじめたのは、1988年。自分は北海道で4代目の酪農家の息子ですが、最初は酪農家になることを拒否しました。でも、行きたい大学に落ちてしまって、この仕事に。今の興部の場所は、父が1962年に移ってきた場所です。

ノースプレインファームをはじめるに当たり、美味しい牛乳って何だろうということをまず考えました。健康な牛から出る生乳が、美味しい牛乳だと定義した時、じゃあ健康な牛ってどんな牛だろうと考えたんです。自分は、それは長生きな牛だと思います。そのためには、メインの餌である牧草をよくすること。さらには、牧草の生える土をよくすることがまずは大切だと気付き、そこからはじめました。

牛っていうのは、そもそもは子孫を残すためにお乳を出すものですよね。それを、人間が勝手に余分に出させていることになります。その分牛は余計なエネルギーを使っているわけで、それをどこかで補ってあげなければなりません。それが、穀物飼料です。これは遺伝子組換ゼロのものを使っています。牛はホルスタインです。夏でも3.9%、冬だと4.2%くらいの脂肪分があります。茶と白のぶち模様のMRIという牛もいますが、これはオランダの品種で、牛の原種に限りなく近いもの。搾乳はしていません。

牛乳は、62度30分の低温殺菌牛乳です。実は、お金がなくて、この殺菌設備しか買えなかったんですよ。でも、結果的にはこの方法が一番風味が残って美味しい牛乳になると思います。ホモゲナイザーにはかけませんから、瓶に詰めてしばらくすると、クリームラインが発生します。

商品には、自分の牧場と、近くの、やはり放牧で牛を育てている酪農家から集めた生乳の両方を使っています。集乳は一日3トン、ここから牛乳になるのは1トン、バターやチーズ、ソフトクリームに加工されるのが2トンです。大手の会社から比べたら、びっくりするような少量でしょう。工場も小さいですが、でも、チーズの貯蔵庫もありますし、特にバターに関しては、大手の工場で昔ながらの機械を使っていた従業員に来てもらい、昔ながらの製法で作っています。連続式バター製造機でなく、メタルのチャーニングマシーンを使うのですが、これを使いこなして美味しいバターを作れる人はなかなかいません。

最近はじめたことは、安心できる輸送手段の確保。地元の運送会社と話し合い、東京までは納得の状態で運べる車まで用意して頂きました。やはり、美味しい状態で飲んだり食べたりして頂きたいですから。え? でも東京よりここで飲むほうが美味しい? うーん。確かに2,3日の差、そして何より北海道の空気がありますからね。美味しく感じて当然なのかもしれないです。

取材日 2001年6月












チャーニングマシーン

ノースプレインファーム
北海道紋別郡興部町北興
Tel:01588-8-2000