「pain de LASA」

田中 朗 氏

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1963年、東京生まれ。
吉祥寺「モンパン」、
阿佐ヶ谷「好味屋」、
吉祥寺「サンメリー」、
銀座「ビゴの店」などで修業。
94年2月現在の店を開く。


白地にブルーのロゴ「pain de LASA」の旗が目を引く店先には、買い物に来た人たちの自転車が並んでいる。 〜パリの裏道の雰囲気〜
「フランスで売ってるのみたいでおいしいの。」とバゲットを3本も予約していた女性がでてきた。

大学で機械工学を学んでいた田中さんがパン職人になったきっかけは、あるクリームパンとの出会い。当時国立にあった(のちに吉祥寺、現在は閉店)「醍醐味」という店の幻のクリームパン。それは、一般的なフワフワしたものと違い、粉本来の味が感じられる素朴なものだったという。
その味は国産小麦の生地、カスタードクリームの卵は有精卵、そして味のよい牛乳が見事にマッチしたものだったのでは?と田中さんは考え、現在ご自分の店でも一風変わったクリームパンを作っている。

田中さんのクリームパン。白っぽい生地は噛みごたえがあり、もっちりした自家製カスタードとよく合っていて店一番の人気商品だ。
開店当初からじっくりと自分の味を追求しながらやっていきたかったそうだが、図らずもお店のある梅ヶ丘は、数件のパン屋さんがたちならぶ激戦区となってしまい、あわただしく毎日が過ぎてしまったという。しかし開店3年以上がたった今、「もう一度基本的なことに立ち返って、例えばフランスパンの生地やカスタードクリームなど、さらに自分が納得できる味にしていきたいですね。」「でもそれはすぐにできるものじゃなくて、何年もかかってやってくことですからね。」と田中さんは語ってくれた。

田中さんの印象はちょっとシャイ。「あまりこだわりこだわりと言うのはおこがましい」というような控え目さが感じられた。
商店街を曲がったところにある「pain de LASA」は田中さん似のひたむきなパンでいっぱい。散歩ついでにちょっと入ってみたくなるようなお店だ。
取材日 1997年