panaderiaが行く 東京製粉へ工場見学の巻




‘97.8.26 東京都江東区にある東京製粉株式会社に行ってきました。

東京製粉は、業務用のパン用粉を主体としている製粉会社です。
開発技術部の梅田部長と前原主任にお話をうかがいました。

:東京製粉という会社はどんな特徴がありますか。
:業務用パン用粉、その中でもハード系のものが主という特徴ある会社です。 業務用のプレミックス粉も手がけています。日本のシェアの約1%です。

:どのような商品展開をされていますか。
:やはり業務用主体ですので家庭用の小袋は、大手さんのように全国展開では なくある限られたルート、エリアでしか販売されていないと思います。

:製品の開発は、どのようにされているのですか。
:2つの方向があると思います。お客様のニーズに応えていくということと、まあ こちらがほとんどなのですが。もう一方は技術者側からの提案、こういう事がして みたいという夢といいますかそういうものをもって仕事をしてくという。お客様の 要望に応えるためにもこうした部分は必要だと思っています。

:昨今、多くのパン屋さんで国産小麦が取りざたされていますが、メーカーとしては どうお考えですか。
:制限した商売はしたくないので、積極的にはやりたくありません。国産小麦はまず ネックになるのは、供給力に制限があることです。需要には応えていきたいので 内麦100%のパン用粉も出していますがパイがいっぱいです。内麦は年によってもとれる時、とれない時がありますので品質の維持も大変です。

:また無添加ということももてはやされていますが、どうお考えですか。
:今は有機、天然酵母、NOフードというようにこだわりの時代ですので使う材料 は吟味しています。改良剤は入れることによってプラスに働きますが、やみくもに 入れるのではなくて、有効性のあまりないものは選択していかないとか。今、取り 組んでいるのは、酵素系のものの活用を研究しています。

:今後の展開についてお聞きしたいと思います。
:パン焼き機専用ミックス(食パン、フランスパン、菓子パン)を開発しています。 プレミックスのリニューアルも図りたいです。 また外へ向けてのことですが、基本的に食べるものはシンプルでいいと思っています。 そのシンプルさの中から、手作りのよさなどを発信できる粉をつくっていきたいです。

梅田部長は「ライン化が進み、常に一定のものがよしとされ、特化の商品がなくなっていくのは技術者としておもしろみがなくなる。特化のものがおもしろい。」ともおっしゃっていました。(私は個人的に東京製粉の粉をよく使っているのですが、スーパーマナスル、ライラック、パリジェンヌなどとても個性的で、粉の味にそれぞれ特徴があります。「限られたエリアでしか」とのお話でしたが、都内の製菓材料店ではよく見かけます。使ってみたい方は、panaderiaの通販コーナーでも手に入りますよ。)
そして「パンは豊かな香り、ぜひ多くの人に親しんでもらいたい」とのことでした。
お話をうかがい、東京製粉は大きな会社と違って特性のある粉をつくろうという意気が伝わってきました。技術者としての夢を持っていたいという姿勢がモノづくりにも反映さ
れていると思いました。

次に工場を見学させていただきました。




見学させていただいて印象に残ったのは、舟(はしけ)から直接小麦を工場にすい上げていることと、粉砕しやすくするため、小麦に水を加えてふやかしておくということです。ほのかにあたたかい小麦の粒を触ってみて、いとおしいような気分になってしまいました。

また小麦は無駄なところが全くありません。特等粉や一等粉は私たちの食卓に。等級の低いものはのりに、表皮の部分は飼料にと、すべての部分が有効に利用されています。



皆さんは、小麦粉ができるまで知っていましたか?
panaderiaの調査員はいろいろな所に出かけて、皆さんに様々な情報をお伝えしていきます。
次回をお楽しみに。