会員の皆さんの中には、一度は自分もお菓子やパンの勉強をしてみたいと思ったことのある方もいらっしゃることと思います。 そんなわけで、今回の「Panaderiaが行く」では、真剣に菓子職人、パン職人をめざす人達の勉強している姿を取材させていただくことにしました。 今回私たちは、大阪あべのの辻調理師専門学校を母体とする「辻グループ校」のひとつである、「エコール・キュリネール国立 」の辻製菓専門カレッジを取材させていただく機会にめぐまれ、さっそくおじゃますることにしました。ここから育った職人さんたちは、有名なケーキ屋さん、パン屋さん、またホテルなどで大活躍をされていると聞きます。そんな業界第一線にいる人達がどんな勉強をされてきたのかとても興味があります。 さて、JR中央線国立駅から大学通りをぬけたところにあるこの学校は、一見、学校とは思えないモダンな作りの美術館風建物で、空中に渡り廊下があったり、パティオ風の造りがあったりと、環境作りの中にも学生さんの感性をみがいているという学校側の考えが伝わってくるような気がします。 ![]() ガラス張りの実習室から、忙しく動いて実習を受けている学生さんたちの姿が見え、校内のはりつめた、しかしいきいきとした空気がこちらにも伝わってくるようでした。 そんなひきしまった気持ちになったところで、早速、製菓専任教授の山崎正也先生にお話を伺うことができました。 この学校は1年間のカリキュラムで、実習の他、先生方によるデモンストレーションの授業や、食品学、フランス語など技術に必要な知識を学びます。さらに2年目の留学コースとしてフランス・リヨン近郊にある辻グループフランス校で学べるシステムもあります。全寮制で半年間、本場フランスの中にどっぷりとつかり、素材の違い=味の違いを体で知る、その風土・環境を知る、というのが目的です。さらに希望すれば次の半年はフランス各地の一流店での研修制度もあります。作り方、技術を学び、食べて身をもって味を知り、サービスの極意を学ぶ、三拍子そろった完全主義といえます。 「辻グループ校」はスタートして約40年。この業界をささえている学校といってもいいすぎではないように思います。現在、現場で活躍しているシェフ、パティシエたちの錚々たる顔ぶれのリストを見せていただきその功績にあらためてうなずいた次第です。 ![]() まず、チョコレートの授業の教室を見学させていただきました。 チョコレートの甘い香りにつつまれた中で学生さんたちは真剣にトリュフを作っていました、型抜き、袋詰など手際よく作業を進め、テーブルのマーブル台の上で山のようなチョコレートのテンパリングをしていました。つい一口つまんでみたくなりましたが、グッと我慢の取材スタッフ。 さて、次はパン実習室です。おじゃました時は、朝一番に仕込んだ生地を分割しているところでした。ロールパン、クロワッサン、シャンピニオンと各班でそれぞれのパンを作っていました。「ここではほぼ食事パンから、ペストリーにいたるまで全種類のものを手がけます。」と、山崎先生。仕込む量も店やホテルなどの実態にあわせて、かなりのものでした。できたパンはどうするのですかと、やぼな質問をすると、もちろんすべて試食し、学生に全部持たせますとのこと、週3日のペースでの実習だから、すごい量のパンだらけ?なんてよけいな心配をしてしまいました。 実習室をみて気づいたのですが、女子学生の姿が目立ち、男性中心と思われている業界にも女性が進出してきていることに、新しい期待が持てそうな気がしました。女性ならではの感性で作られる、ケーキやパンがどんどん登場してきてほしいものです。 最後に山崎先生に、お菓子やパンを学びたい人へのメッセージは、とお聞きすると、「お菓子やパンのプロを目指して学びたいという意欲のある人と、自分自身の健康管理がきちんとできる人に来てほしい。」とのこと。 なるほど、取材スタッフ、食べ物を扱う職人としての厳しさをあらためて認識した次第でした。お世話になった山崎先生はじめ、「エコール・キュリネール国立」の先生方、本当にありがとうございました。とてもためになる取材をさせていただきました。 次の世代の優秀なシェフ、パティシエの誕生を、美味しいものを愛する者として、とても楽しみにしております。 |
エコール・キュリネール国立 辻製菓専門カレッジ 東京都国立市富士見台2−13−3 「辻グループ校」東京総合入学案内係 ![]() http://www.tsuji.ac.jp |