![]() |
チョコレートの分類 チョコレートが、滑らかな舌触りと常温(18〜22℃)では固いのに口の中で溶ける、という性質を持っているのは、ココアバターの科学的性質によるものです。ココアバターは常温(20℃)までは固い固体であるが、28℃以上から溶け始め、34℃以上ではすっかり溶けて液状になります。ココアバターには6種類の結晶型があるといわれています。ローマ数字でT型〜Y型と表現し、そのうち安定した結晶はX型になります。テンパリングとは、ココアバターの結晶を安定した型に統一するために行う温度調節のことです。 ココアバターを単に溶かして固めただけでは、光沢のないざらついたものになります。これは、不安定な結晶が溶けたり固まったりしながら結晶化していくため。これを温度調節によってX型の結晶を作り、結晶がきれいに詰まった配列にすることによって、光沢のある滑らかな口溶けを持つものにします。 |
チョコレートの特質 テンパリングをしなかったり、したつもりでも崩れてしまったものは、固まるまでに時間がかかったり、表面がざらついたりします。またしばらくすると白い斑点(ブルーム)ができたり、型からもなかなかはずれません。それは、テンパリングができていないとチョコレートの「固まる」「縮む」「光る」という3つの特質が失われてしまうからです。正しくテンパリングされたものは、カカオバターの小さな結晶がたくさんできてその結晶同士がつながっていきます。その間に固形分と砂糖が均一に混ざっていて、ツヤのある滑らかな舌触りのチョコレートになります。一方できていないものは、固形分、砂糖が下に沈み、カカオバターの結晶は不ぞろいで一部が表面に現れてきます。そのために表面が白くなったり、均一に混じっていないためざらついたりするのです。 |
テンパリングの手順 (スイートチョコレート)
|
テンパリング方法![]() 溶かしたチョコレートの入ったボールを、冷水につけて温度を下げます。湯煎もしくは直火にかけて再び加温します。 *冷水につけるとき、水が入らないように気をつけます。 *湯煎にかけるときは湯気が入らないように小さめのボールにお湯をはるようにします。 また、直火で温める場合、チョコを焦がさないよう気をつけます。3秒くらいで火か らはずして攪拌し、ボールの熱をチョコにうつすようにします。 ![]() マーブル台の上に溶かしたチョコレートの2/3〜3/4を流します。時々パレットナイフなどでまぜながら、温度を下げます。 温度が下がりもったりとしてきたら元のボールに戻しいれ、良く攪拌して全体の温度を下げます。 再び加温します。 ![]() 溶かしたチョコレートの中に、刻んだチョコレート又はタブレット状のものを加えて溶かし、温度を下げます。再び加温します。溶かした熱いチョコレートを加えて温度を上げることもできます。 |
ブルームについて チョコレートの表面が白い斑点状になったり、全面が灰色に変色してカビが生えたような現象になることをいいます。ブルームには「ファットブルーム」と「シュガーブルーム」の2種類があります。 ●ファットブルーム チョコレートの中に含まれるココアバターが28℃以上の高温にさらされて溶け、砂糖やココア、乳固形分と分離して、再び冷えて固まったときに表面にでて粗大結晶となって白くカビが生えたようになる現象。テンパリングが不十分な場合と、保管する際の温度管理ができてない場合などにおこります。保管はなるべく15〜22℃の範囲内で一定温度に保ち、ココアバターの溶け始める28℃以上にならないようにしましょう。 ●シュガーブルーム チョコレート中に含まれる砂糖が水滴などで溶け、その水分が蒸発することにより再結晶して、その結晶が白い斑点状にでる現象。チョコレート中に含まれる砂糖を溶かす水分によるもので、湿度の高い所や、冷たい所から温かい所に出したときに生じる水滴など、水分の混入によりおこります。冷たい場所に保管している場合は、段階的に室温に戻すようにするとよいでしょう。またテンパリングの作業中に水滴や蒸気が入らないように注意することも大切です。 |