クラブニュクスから始まり、マノワール・ダスティンやカーヴ・デ・ヴィーニュなど食通をうならせる数々の店を持つ五十嵐シェフが、ブーランジュリーとブラッスリーが一緒になった「ヴィエイユ・モンターニュ」をオープンさせた。 |
前回、五十嵐シェフに取材をさせていただいたのが1998年、その時「いずれ専門のベーカリーを作りたい。そうすればそれぞれの皿に合うパンを焼くこともできる」と伺っていた、パナデリアも長い間心待ちにしていたパン屋である。 「やりたい気持ちはずっとあったんです。でも、場所が地下だったりとなかなか実現しなくて」そしてようやく見つけたのが八丁堀。シェフが拠点とする銀座へのアクセスもいい。 フランス料理にはパン、ワイン、チーズは不可欠な存在。思い描くパンを作るにも、レストランで作るのは温度の関係で難しい、またブーランジェの経験はない。やるからにはきっちりとしたパンを作りたかったという思いがあった。 「例えばマノワールのように、料理がメインの店では味の主張が強いものは必要ない、逆にワインを楽しみたい場合には個性的なパンが合いますよね。夏と冬でも合うものは変わります。そういう自分の思いを叶えてくれるパン屋がほしいと思っていたんです。」 ヴィエイユ・モンターニュのシェフ・ブーランジェは現在、五十嵐シェフの取り仕切る全ての店のパンを手がけている。五十嵐シェフの下で料理を学び、その後ビゴの店でパンを学んだのち、フランスで修業。 技術的にはもちろん五十嵐シェフの求めるパンを一番上手く表現できる人物である。開店にあたっては各店舗に入り、それぞれのチーフとも相談。現場に入ることでより一層、求めるパンの明確な姿がわかるからだという。 |
ブラッスリーも魅力的だ。メニューを見ると、ブラッスリーらしい手ごろな価格の横に五十嵐シェフのスペシャリテの名前が並ぶ。プリフィクスのスタイルだが、ブータン・ノワールがオプションでオーダーできるのもブラッスリーならではの気安さ。シェフはマノワール・ダスティンとカーヴ・デ・ヴィーニュそれぞれの店でスーシェフをやっていた人物というから、ブラッスリーとはいえそのクオリティの高さは言うまでもないだろう。コの字型の厨房をうまく使いわけ、パンと料理が作れる環境になっているのだそうだ。 「将来的には他のスタッフの勉強の場としてもいいと思っているんです」五十嵐シェフの夢は広がる。 「ランチではちょっとおもしろいパン、ディナーではシンプルな食事パンをお勧めすることが多いです。パンがおいしい、と言って下さるお客様も多いですね。」とは、ブラッスリー担当の女性。カーヴ・デ・ヴィーニュでワインを担当していたそうだ。 ブラッスリーながら、ワインの品揃えも豊富なのは言うまでもない。 「パンはどうでしたか?」五十嵐シェフの声も心なしか弾んでいるように聞える。 マノワールと同じ食材、そして素晴らしいシェフ、焼きたてに一番近いパンがいただける。人にはあまり教えたくないとっておきの店になりそうだ。 |
![]() ホタテのポアレ 新たまねぎのソース 大ぶりで甘みのあるホタテ、アスパラのぎゅっとつまった旨み、 新たまねぎのソースが一体となり春を感じさせる一品。新たまねぎは皮ごとローストし、 しっかり甘みをだしてからソースへ。 爽やかな甘みが広がるやさしい味わいはまさに今だけの贅沢。 4種の胡椒を混ぜたプチパン“ポワブル”(写真は下に)をソースと一緒にいただくと、 たまねぎの甘みと胡椒の香りが引き立ち、得も言われぬおいしさ。是非お試しを。 ![]() プティ・ポワブル ![]() 春野菜のお菓子仕立て 甘海老と帆立のタルタル 春色が目にもおいしい一品。菜の花、トマト、アボカド、甘エビ、ホタテが美しく層をなし、フォークを入れるのがためらわれるほど。マイルドな酸味でまとめられているので、素材の味がしっかり生きています。 ![]() ア・ラ・カルト(白アスパラガス) トリュフが香る白アスパラはアラカルトでオーダー可。ブータンノワールが1個105円など、手頃な価格が嬉しい。 ![]() パパイヤのスープ ディナーのデザートからパパイヤのスープ。しっかりとお料理をいただいた後に、サラッと嬉しいのど越し。6種ほどの中から選べます。 |
住所 | 東京都中央区新川2-1-10 八重洲早川第2ビル1F |
TEL&FAX | 03-3555-7775 |
営業時間 |
ブーランジュリー 8:00〜20:00 ブラッスリー 11:30〜14:00、18:00〜21:00(ティータイム14:00〜16:00) |
定休日 | 日曜日 |
アクセス | 東京メトロ日比谷線八丁堀駅A4出口 |