サロン・ド・ショコラのニュース第一弾は、1月23日に行われた前夜祭のようすから。 「今年も皆さんと一緒に時間を過ごせることを光栄に思っています。この会場に足を運ばれるお客様は年々増えているようです。フランスではショコラが単なる流行ではなく、文化的なものであるということを感じていただければと思います」 と、サロン・ド・ショコラ創設者のフランソワ・ジャンテ氏。確かに、年々高まるショコラブーム。今年は“前夜祭に200組をご招待”という募集に対し、なんと2500名もの応募者が集まったというのだからすごい!それだけ日本でもサロン・ド・ショコラ人気が定着したという証なのでしょう。 |
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フランソワ・ジャンテ氏
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ずらりと並んだシェフたちが一斉にカカオポッドを掲げます(実はこのカカオポッドは作りもの。でも、本物そっくり?!)
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カカオの木に(これも作りもの)なにやら真剣に書き込む土屋公ニシェフ
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開会式が終わったところで、早速、パナデリアも各ブースをチェック。いったいどんなショコラが注目を集めるのでしょうか。 「最後尾はこちらです。お買い求めの方はこちらにお並びください!」 瞬く間に列をなし、圧倒的な人気を誇っていたのはベルナシオン。門外不出といわれ、なかなかお目にかかることのできないリヨンの名店です。この店の最大の魅力は、自店でカカオ豆の仕入れから原料チョコレートの製造、ショコラ作りまで行っていること。素朴な力強さと深みのある味わいのショコラを楽しもうと、豊富に揃うタブレットやスペシャリテのパレドールをいくつも買い求めているファンの姿が印象的でした。伊勢丹のネット上で開催された先行販売の際には、なんと10分で完売してしまったというから驚きです。 |
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ベルナシオンのブースは一番の注目の的。 とにかく、すごい人! |
このベルナシオンのように、“カカオの本質に迫りたい”というのが、今回のサロン・ドショコラのテーマ。例えば、カカオ原産国に注目したジャン=ポール・エヴァンの新作「パレファン・ロン・グランクリュ」。これはマダガスカル、カラカス、ジャワ、エクアドルの4種類の原産国の違いを楽しめるというもの。更に、原産国別のタブレット「ピラミッド・トロピック」が人気のプラリュからは、上質なマダガスカル産カカオをベースにノワール、ミルク、キャラメル、アニスなどのテイストを織り交ぜた「ピラミッド・サブール」が、世界中のスイーツファンを魅了し続けているピエール・エルメからは、カカオ原産地への尊敬と愛情を込めて作られた先住民が使っていたというマスク型の「マスク・ショコラ」などなど、心をくすぐられる新作が続々登場。 |
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ジャン=ポール・エヴァンのブースでは、 カカオの歴史やカカオ豆の種類、農家の現状などを紹介 |
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赤と紫のグラデーションが目を惹く プラリュの「ピラミッド・サブール」 |
他にも、地元ディジョン産のフルーツと花とショコラを組み合わせた新作「サントゥール」が目を惹くファブリス・ジロット、アーモンド、ヘーゼルナッツ、カシューナッツなどのプラリネを使用し、お酒と楽しむショコラ「メンズショコラボックス」を提案するジュラ地方のイルサンジェーなど地方のショコラトリーも充実しています。 |
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ファブリス・ジロットの「サントゥール」。 バラとフランボワーズ、ジャスミンとアプリコットなど魅惑の組み合わせ |
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“忠実”“意志”“勇気”などをイメージして作られた、 イルサンジェーの「メンズショコラボックス」 |
もちろん、毎年登場している巨匠たちのショコラも気になる存在。コンフィチュールの妖精、メゾン・フェルベールからはハート型のマジパンをバラ風味とバニラ風味のチョコレートでコーティングした「パート・ダマンド・オ・クール」が、偉大なキャラムリエ&ショコラティエであるアンリ・ルルーからは、塩味のタブレットにフィヤンティーヌとアーモンドのキャラメリゼ入りの「ゴビロ」が登場するなど遊び心たっぷりで見逃せません! ところを移して日本のショコラはといえば、こちらもハイレベル。日本屈指のショコラトリー、ミュゼ・ドゥ・ショコラ・テオブロマでは、ドン・ペリニョンをふんだんに使った贅沢な生チョコ「クレム・ショコラ・オ・シャンパーニュ」が注目の的。また、大阪で生まれた新ブランド、キャギ・ド・レーブの「キャギ・ド・トリュフ」。乳酸発酵させたマダガスカル産のショコラは爽やかな酸味とカカオとの組み合わせが新鮮な味わいです。 |
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アルザスのアーティスト、ギー・ウンタライネ氏の絵画とコンフィチュールの組み合わせが愛らしい、メゾン・フェルベールのブース
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アンリ・ルルーのブースも相変わらずの人気
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ひととおり見渡したところで、さて何を買おうかな・・・なんて頭を悩ませていたら、伊勢丹バイヤーの上野さんを発見!せっかくだからお薦めを教えてもらいましょう。 「今年の私のイチ押しは、フランス・ロレーヌ地方から初登場のフランク・ケストナーですね。彼の作るショコラはとても複雑な構成で、味の組み合わせ方もユニークですよ」 なるほど。それは早速試食してみなくては! |
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ショコラバーでお目当てのものを事前チェック。 選ぶときの表情も、真剣そのもの |
そう、実はこのサロンの中には、ボンボン・ショコラと飲み物を楽しめるショコラバーがあるのです。まずはここでショコラの味をチェックしてからお目当てのブースで購入するというのが、賢いサロン・ド・ショコラ通。というわけで、気になるボンボン・ショコラをいくつかオーダーしてみました。 「うーん、確かにこれは・・・!」 ミラベルのジュレ、キャラメル、ヘーゼルナッツの3層をショコラに閉じ込めたフランク・ケストナーの「ペルル・ド・ロレーヌ」。上野さんに聞いたとおり、これまでに経験したことのない複雑な味わいが印象的です。また、カカオの風味がダイレクトに伝わってくるベルナシオンの「パレドール」や、マンダリンの甘酸っぱさとほろ苦さが上品に香るパトリック・ロジェの「シラキューズ」、そしてまろやかなミルクの甘みとカカオの風味がバランスよく馴染んだ、カッセルの「パレシャトーレ」などもパナデリアスタッフの間で人気の高かった逸品。こんな風に意外な発見があるのもショコラバーの醍醐味なのです。 |
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和泉光一シェフによるショコラのピエスモンテ。主役はイノシシ!
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ピエール・マルコリーニの新作は、ギモーヴをチョコレートでコーティングした「ギモーヴ・ショコラ」
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ショコラの宝石が美しいデルレイのディスプレイ
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チョコレート&食文化研究家の小椋三嘉さんの著書 『チョコレートのソムリエになる』 |
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100%チョコレートカフェ。 カカオの原産地別・テイスト別に全56種類ものショコラがずらりと並ぶさまは圧巻! |
さて、お目当てのショコラも見つかったことだし、後は購入するだけ・・・と喜んだのも束の間、ここで思わぬ誤算が!なんと、ベルナシオンのブースでは前夜祭用の全てのショコラが完売!どうやら読みが甘かったようです。これはもう明日にかけるしかない?! (後日談:ベルナシオン人気は相当なものだったらしく、前夜祭の翌日に始まったサロン・ド・ショコラの初日3時間で、全ての商品が完売してしまったとか。その後日曜に再入荷するも、整理券を配布して数量制限を行うほどの盛況ぶりでした) |
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あこがれのシェフを間近にできるのも、このサロンの魅力。
クリスティーヌ・フェルベールさんにご挨拶?!しているフィリップ・ベルナシオン氏 |
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アンリ・ルルー氏(左)と土屋公ニ氏(右)は、ロッテのカカオ娘と写真をパチリ
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再会を喜ぶフランソワ・プラリュ氏(右)と、パナデリアの三宅(左)
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鼻をくすぐるふくよかなカカオの香り、ずらりと並ぶ世界各国のブース、会場を包みこむ熱気の中で生まれるショコラティエとお客との一体感・・・全てはこのサロンでしか味わうことのできないショコラの世界。 「うちのスペシャリテ、食べてみて」 シェフ自らがショコラを手渡してくれるようなシーンだってここでは当たり前のように行われているのです。もちろんパナデリアも、まんまとショコラの魔力にはまってしまったひとり。今年も通いつめることになりそうだな・・・そう確信した一夜となりました。(2007.02) |