酵母菌・イースト(Lievito)
イーストの役割は、糖分の変化を利用して堆積を上げることと、アルコール分と無水炭酸の促進である。この過程を経ることによって、パンは軽さ、消化吸収の良さを得ることとなる。
パン作りには3種類の酵母菌が使用される: ビール酵母、ドライ・イースト、ナチュラル・イーストである。



ビール酵母 (Lievito di Birra)
ビール酵母は、24〜26℃の温度でイーストや酵母菌などの微生物の培養細菌株の栽培で作られる。生きた細胞によって形作られるので、生成物の全ての性質(呼吸、再生などの)を備えている。いたみが早い(22℃で6〜7日、15℃で2週間、0℃で30〜60日)ため、鮮度を確かめてから購入すること。硬い練り状の生地で、均一に灰色をしていて、良い香りがする。小麦粉1kg毎に30〜50gの量が使用される。

ビール酵母の構成:
・水        70%
・窒素化合物  13.5%
・脂質       1%
・セルローズ  1.5%
・炭水化物   12%
・ミネラル分   2%

ドライ・イースト(Lievito Secco)
ビール酵母菌と比較して、水分含有量が低いので、より長期にわたって安定している。顆粒状で、40〜42℃とビール酵母に使用するよりも、より高い温度の水に簡単に溶かして適切な発酵能力を発揮する。乾燥イーストは様々な異なる分類のものが市場に出回っているが、使用に関しては、箱の側面、裏面に書かれた使用法を良く読むこと。
ドライ・イーストは顆粒状もしくは粉状で売られているが、ビール酵母との違いは、涼しく乾燥した場所で保管するならば、保存期間が長いことである。

ナチュラル・イースト(Lievito Naturale)
家庭でのパン作りに伝統的に使われている。焼きの前の第一発酵といわれるパン作り過程の練粉の状態を引き出し、保つ。純粋なイースト菌だけではなく、乳酸、酢酸酵母も含んでいる。こうした練粉の生物学的変形は乳酸、酢酸、バター酸の変化と並行した発酵を通して起こることであるが、次の焼きの段階の間、他のイーストで発酵させたものとは違った香りを放つ。ナチュラル・イーストでの発酵は、他のイーストが手軽に、もっと短い時間でできるのに対し、時間がかかり、ゆっくりしている。自然発酵の大部分の持続時間は、たんぱく質酵素が永い活動時間である。それは、この方法で発酵させると、遊離アミノ酸がより豊富になり、焼いた時の特別な香りとなるのである。

ナチュラル・イーストで作られたパンの最大保存期間は、最も高い酸度という要点にかかっている。(ビール酵母での発酵が5,5−6,6であるのに対し、pH4−4−、2)この酸度によって、カビや他の細菌から練粉が汚染されることを防げる。

全粒粉のパンを作る場合は、小麦粉の外袋には、ある植物有機化学上の酵素やが示されているが、発酵の段階で、不溶解の有機植物酸を分解する特質を持っているということを覚えておかなければならない。考えられる条件のひとつであるが、しかしながら、酸環境の産物なのである。したがって、全粒粉のパンの製作には少なくとも酸発酵のメソッドを取り入れることが望ましい。

総合的には、ナチュラル・イーストの示す科学技術の進歩はカビの繁殖を遅くさせ、より時間のかかる方法で炭水化物を生産し(パンの柔らかな部分のきめが細かく整った状態になり)、(発酵を決定付けるイーストのタイプによるが)、様々な独特の味と香りを与えることとなる。
酵素の働きをより長くすることによって、分子の簡素化をもたらし、パンがいっそう消化しやすくなる。
パン作りに酸性の練粉を使用するなら、小麦粉1キロ毎にナチュラル・イースト60〜80gを入れる。

練粉へのイーストの混ぜ合わせ方は下記の通り
・小麦粉に直接手でぱらぱらと入れる
・35℃以下の少量の水で溶かし、砂糖を加え、練粉を他の水で溶いた中に混ぜ合わせる

作業は、良い結果を出すためにはこの第二段階の工程でより長い時間を求められる。それで、イーストの細胞は練粉の中でいっそう均等にいき渡る。
イーストは塩や砂糖の塊と直接接触させてはならない。そうしないと浸透の段階で細胞が死んでしまうからである。