イギリス

イギリスのパン文化は、7世紀ごろからといわれています。小麦の栽培に適した気候で豊富な収穫量を得られるため、パン文化が発達する土壌があったからです。そんなわけで、イギリスの伝統的なパンのほとんどが、ライ麦よりも小麦で作る白いパンとなったのでしょう。イギリスといえば、モンタギュー・サンドイッチ伯爵がトランプに夢中になり、トランプをしながら食べられるものを…ということで作らせたのがサンドイッチ・・というのは、有名なお話。そして、18世紀のビクトリア王朝時代の上流階級の女性達の間で始まり、現代でもその習慣が残っているアフタヌーンティーもイギリスならではのもの。
紅茶好きの英国人にとってはスコーンやサンドイッチは、アフタヌーンティーの優雅なひとときには、欠かせない存在となっています。


イギリスパン・山型食パン
上部が山型に3山、4山膨らんだもので、重量は型によって異なります。イギリスパンはコロンブスがアメリカ大陸を発見した頃、開拓者の為に生まれたパンという説があります。その時代背景を考えてみると、持ち運びにも分けるのにも便利なこの形が発達したのが、わかるような気がします。本来「ティン」という焼き型を使って焼いたので、「ティンブレッド」とも呼ばれています。型に蓋をしないで焼くので、生地が伸びて山型になります。イギリス流の食べ方としては、とにかく薄くスライスして、かりかりに焼いていただくようです。

イングリッシュマフィン
直径10cmほどの円形の型に入れて焼き上げ、焼く時に完全に火を通さないのが特徴の伝統的なパン。八分目くらいまで火が通ったマフィンは、水分が残ってしっとりとした感じの生地です。軽くトーストしてからフォークで2つに割ってバターを塗って食べるのが正式な食べ方。イングリッシュマフィンは朝食に食べられていて、バターの他にジャムが塗られていたり、ハムをはさんでサンドイッチのようにして食べても美味しい。イングリッシュマフィンは、イーストで作られているが、アメリカンマフィンは、ベーキングパウダーで作られています。

スコーン
日本では「スコーン」と呼ばれているが正式には「スコン」。もともとはスコットランド地方、大衆的なビスケットの一種で、無発酵なものなので、パンよりもお菓子に分類されることが多い。アイルランドでも愛されています。外側がサクッと中はしっとりとした生地が特徴で、ベーキングパウダーで膨らませます。焼いているうちに上部が持ち上がって、横からみると動物が口を開けているように見えます。ここから2つに割ってクリームやジャムを付けて食べるのが正式な食べ方。そして、アフタヌーンティーに欠かせないのがこのスコーン。

カレンズブレッド
カレンズをはじめ、ドライフルーツやナッツ類などを生地に入れ込んで焼いたパン。ドライフルーツは地中海沿岸の民族の嗜好品であった。生地発酵にこのドライフルーツを合わせて焼くパンは大地の恵みを象徴する贅沢な食べ物でした。

ビスケット
Bisとはラテン語で「二度」という意味、cuitはフランス語で「焼く」という意味。すなわちビスケットとは、「2度焼きのパン」という意味を持っているようです。昔の人々は日持ちをさせるために、焼いたパンを薄切りにし、乾かしたり軽く焼いて、旅での保存食や兵士たちの携帯食料、あるいは航海用にしていたといいます。いわゆるビスケットは乾パンが基となって生まれたもののようです。現在のイギリスの食生活、特にティータイムとビスケットは切ってもきれない関係といえるでしょう。

プディング
プディングもやはり船乗りたちの生活の知恵から生まれたもの。船の料理人の腕の見せどころは、限られた材料で切り盛りしていくこと。ある時考えた末、パン屑や小麦粉、卵などあり合わせの材料を混ぜて味付けし、ナプキンで包みひもで結んで蒸し焼きにしてみたのが、プディングの始まり。そして、現代ではこの英国式蒸し物と言えるプディングは、日本でもおなじみのカスタード・プディングなどのお菓子のほかにも、お米入りのプディングや、ローストビーフにつきもののヨクシャープディングなど、さまざまな形に変化していったようです。

パウンドケーキ
パウンドケーキは、配合が主原料のバター、砂糖、卵、小麦粉が一対一対一対一で作られています。最初にイギリスで作られた時、4種類の原料をそれぞれ1ポンドづつ使ったことから、このパウンドケーキという名前がつきました。現代では、フルーツを入れたり特徴を出すために配合を変えたりして、様々なパウンドケーキが生まれています。

イギリスのパンSHOP情報
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