インド

インドの食文化は南北で二つに分かれています。米作りが盛んな南部では主食は米が主流ですが、小麦が収穫される北部では、タンドールという土の窯(円筒形の高さ1mくらいの素焼きの窯のこと。内部に生地を張り付けて焼く)で焼いたナンやチャパティなどの平焼きパンが主食となります。古代からの伝統的な製法を引き継いでいるこの平焼きのパンの代表的なものチャパティは、無発酵のパンで、薄くのばしたものを直接窯に貼りつけて焼きます。インドは気候が暑いので、生地を発酵させるとすぐに過発酵し変質してしまうところから、かえって原始的なパン作りが行われていったようです。1600年代にイギリスが東インド会社を設立し、インドを植民地としてからは、食パンなどイギリス流のパンも作られるようになりました。


ナン
ナンはチャパティが無発酵なのに対し、ベーキングパウダーや重曹、イーストなどを加えて発酵させた平焼きパンです。チャパティよりも少しリッチな配合、精製された小麦粉に卵などを加えた生地で作られています。チャパティに比べてほんのり甘みのある生地は、焼き立てのあつあつを、煮込みやカレーなどの料理につけたり、肉や野菜をはさんで食べたりするととても美味しいです。インド北部など、右手で直接食べ物を口に運ぶ習慣の地域では、ナンやチャパティのような平焼きパンは、料理をすくう、皿をぬぐうなど形状からくる大切な役割もあります。地方によっては、ナンという言葉がパン全体を表したり、食事自体を表す意味に使われたりするほど、配合や形状によって様々なナンがあるようです。インドでは、家にタンドールがある場合は自分で焼きますが、都会などではナン屋で買ったり、生地を持参して焼いてもらうことも多いそうです。それほど、ナンは生活に密着したものといえるでしょう。

チャパティ
インドでは最も日常的に食べられている無発酵パン。全粒粉、水、塩だけのとてもシンプルな配合で作られています。
薄くのばして、油をひいていない平らな鉄板で焦がさないように両面焼いた後、回転させながらチャパティのフチを鉄板からずらして、直火にさらすとプーッと膨らみます。やはり焼き立てが一番美味しいので、食べる直前に生地を伸ばします。これはどんな小さな店で買っても作りおきではなく焼き立てを買えるようです。インド北部などでは、各家庭で毎日焼いて食べています。右手で直接食べ物をつかんで口に運ぶ地域では、パンの役目は重要であり、スパイシーなシチューや煮物をチャパティにつけたり、挟んだりして食べるのが一般的な食事といえます。ほんのりと温かいチャパティにダヒ(ヨーグルト)、甘いミルクティーといった簡単な朝食も美味しい。

プーリ
チャパティの生地を幾分厚く小さ目にのばし、焼かずに油で揚げると膨らんで中が空洞になりプーリと呼ばれるパンになります。この生地を使ったバリエーションは多く、牛乳やギー、クミンシード、ガラムマサラ、ターメリックなどのスパイスを加えた「パラータ」などがあります。


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