日本

日本に初めてパンが伝えられたのは、種子島の鉄砲伝来と同じ、1543年のこと。漂着したポルトガル人によって伝えられ、キリスト教の布教活動とともにパンも広まりました。その後約200年の間、鎖国のためキリスト教が禁止され、もちろん西洋パンも禁止されました。その間、パンは外国との交流が唯一あった長崎のオランダ屋敷や、幕府軍の兵糧としてのみ食べられていました。本格的にパンが広まったのは開国後のことです。イギリス人クラークが横浜に現在のウチキパンの前身となる「ヨコハマベーカリー」を作り、パンの販売を始めました。そして日本のパンとしてもっとも名前の知られているあんぱんは、明治2年に木村安兵衛が東京芝に開業した「木村屋(当時は文英堂という名前)」で5年の歳月をかけて、日本人向けのパンとして考案されたものです。続いてジャムパン、クリームパンが登場し、庶民の間にパンが定着しました。そして、その後はメロンパン、カレーパンなどが次々発案されました。


あんぱん
前述の木村屋が生みの親。中国伝来の饅頭ににたもので、酒種という日本独自の発酵種を使った生地に餡を包んだもの。このあんぱんにまつわる話として有名なものは、なんといっても「桜あんぱん」登場の1件。木村安兵衛と交流のあった山岡鉄舟の推挙で、天皇陛下へあんぱんを献上することになった木村屋。季節は春。そこで日本の代表的な花である桜を使い、桜の塩漬けをあんぱんにのせることにしました。ところが、桜だけが焦げてしまいます。そこで、ちょっと押し込んで焼いてみたらうまいこといきました。これが今でも人気の「桜あんぱん」です。あんぱんにヘソがあるわけがわかりましたか?あのヘソは意味のあるヘソなんですね。そしてこの桜あんぱんは爆発的なヒットとなり、今までパンになじみの少なかった日本人の食生活にパンを浸透させて行く大きな役割となりました。

カレーパン
昭和2年、東京の名花堂というベーカリーが洋食パンという名前で発案したのが始まり。パン生地にパン粉をつけて揚げるという発想はとんかつからきているとのこと。
しかし、最近のカレーパン事情も変わりつつあり、揚げてあるものだけでなくパン生地を焼きこんだものなども出てきました。また、表面にココナツが付いたものなどもあり、その店独自のカレーパンが楽しめるようになりました。中のカレーも自家製なので、それぞれの店の特徴がでて楽しいものです。

クリームパン
明治30年代半ば、相馬愛蔵・黒三夫妻が東京本郷に中村屋(現在の「新宿中村屋)」を開店。その相馬氏が始めて食べたシュークリームのおいしさに感動して、同じようなクリームを入れたパンを作ってみたらどうか・・と発案したのが、クリームパン。成形後グローブのようにきり込みを入れて焼成する。今や日本の菓子パンの代表的存在です。

コッペパン
角食パン用の生地を使って焼くことが多い。コッペパンはそのまま食べるより間に何か挟んで食べるのが主流。ジャムを挟んだジャムパンや、コロッケ、焼きそばなどを挟んだ調理パンなどが有名。ジャムパンはおやつに、調理パンは軽い食事の代わりに・・と、子供から大人まで楽しめるパンです。

メロンパン
表面にトッピングしたクッキー生地の甘さと歯応えが特徴。名前の由来は形からのようですが…、あまりはっきりした答えを知らないので、正しい答えをご存知の方はぜひご一報を。ちなみに自分で作るときは、メロンならぬレモンの皮の摩り下ろしを入れるので、「これって、レモンパンじゃん!」などと思ってしまいます。とはいえ、このメロンパンは、日本のパンを語るときにははずせないアイテムなので、日本人が日本人のために考え出した・・ということは間違いないと思うのですが・・。表面の模様もストライプ、格子、まだらなどといろいろありますし、メロンパンではなく、サンライズとよぶところもあるようです。

甘食
発案者は東京・代官山ヒルサイドパントリーの先々代の猪狩清氏。名前の由来は、甘いビスケットを大きくしたような食事用のパンということだそうです。今ではパンというよりもどちらかというとお菓子……それもなつかしいお菓子かな?卵の風味がほんのりとした甘さで、やさしい味わいなので、子供のおやつ・・という感じです。今では、ベーキングパウダーで膨らませていますが、昔は重曹とアンモニアを使って膨らませていたそうです。

ショートケーキ
洋菓子で日本らしいものを探すとなると、けっこうむずかしいと思いませんか。でも誰もが子供の頃からなじんでいる日本の洋菓子といえば、やはりショートケーキ。それも元祖いちごのショートケーキ。吉田菊次郎先生の本によると、ショートケーキの「ショート」とは「サクサクした」という意味とのこと。てっきり「短いケーキ」だと思っていた私は目からうろこ…と言っても、短いケーキだって「意味がよくわからん!」と思っていたのだから、頭が悪いと言えば悪いのですが…。さて、話をもとに戻すと、前述の吉田先生によるとショートケーキとは、あくまでもクッキー生地のお菓子をさすそうです。現に英語圏の国に行くと「ショートケイク」といえば、ビスケットやクッキーのようなお菓子のことだそうです。メロンパンと言い、ショートケーキと言い、日本人の生み出すものは、けっこう謎が残っていますね。


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