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車で走ること1時間すこし。そろそろついてもいい頃なんだけど……。しかしル・マスカレはなかなか姿を現してはくれない。さすがに地図を見るのも降参し、伊藤嬢がフランス語で町の人に聞いてみることに。だが、 「教会の近くだ」 とか、 「パン屋の近くだ」 とかいう冒険ゲームをしているような怪しい答えばかりで、この土地を知らないわたしたちにとって、なんの手がかりにもならない。とそのとき。不意に、道に小さな鉄の門が現れたのである。奥には雰囲気のある建物が見える。お城を小さくしたような、まさに想像していたオーベルジュそのものという構え! 「ここかな」 「きっとそうじゃない?」 「やったあ、到着!」 砂利のアプローチを車で通りながら、わたしたちははしゃいだ。駐車場らしきところに到着したが、人影が見当たらないので、伊藤嬢が奥に入ってのぞいてくることになった。その間にわたしは、車の外に出て写真を撮ることにした。今通ってきた、両側に緑の生い茂るアプローチや、年月を経ているらしき建物、そしてすぐ近くにはロバまでいるのだ。なんと素敵な光景なんだろう。夢中になって写真を撮って車に戻ったところへ、ちょうど伊藤嬢も戻ってきた。ちょっと困ったような顔をしている。 「あのう……、ここ、ただの民家です」 は? 「ル・マスカレじゃあなかったの?」 「ただの民家だそうです」 えー。わたしはただの民家の写真を撮りまくっていたというのだろうか?? もう、大ショック。みんなは大笑いだ。 「やめて、おなかが痛いんだから笑わせないで」 とマダムまゆみ。 |
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このあと1時間ほど本物の「ル・マスカレ」を見つけることはできず、どうやら私たちの持っていた住所が間違っていたことが判明。 ようやく着いたときには、空はほとんど暗くなりかけていた。案内された部屋はとても素敵であったが、みんなへとへとであった。そしてマダムまゆみに早く横になってもらわねば。 この日、伊藤嬢とユカコとわたしは3人でひと部屋。それ自体に少しも問題はないけれど、なんと、カップル仕様の部屋は、シャワースペースはおろか、トイレまでがガラス張りになっている(!!)。ちょっと恥ずかしかったが、「見ない、聞かない」ということで…… |
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ソファーのある部屋とベッドルームのスイート仕様。ガラス張りのシャワーとトイレとは別に、ベッドルームにもバスタブがあるという贅沢。残念ながら使わなかったけれども。壁紙の模様も素敵 | ![]() |
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