かき氷を提供するパティスリーが増えているようです。 "ようです"というのは、私がパティスリーのかき氷をほとんどチェックしていないから、実情はよくわかっていないのです。 今までネット等で見かけたものは、アイスクリームなどアレコレのせ"やりすぎ感"があったり、氷にはあまり気を使っていないように見えたり。 個人的には惹かれなくて。 なので、『パティスリー・ブリーズ』さんが今年からかき氷を始めると聞いた時は、どうなのかなぁというのが第一印象。 ところがお店のブログを拝見したところ、なんと手動のかき氷機を購入されている!ということは、純氷を買って使うのね!これはもしかして期待していいかも。 ということで、久しぶりに昭島駅に降り立ちました。 |
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店頭にはかき氷の幟が |
かき氷は3種類あって、どれも¥350。お手頃価格です。 まず選んだのが、個人的に大好きで、3種の中でも一番パティスリーらしいフレーバー“チョコミント”。 かき氷を提供する店で何度か「チョコのかき氷をやりたいけれど、なかなか思うような味が出せなくて」という話を聞いたことがあります。 チョコは冷やすと固まってしまう。だから何かで薄めるしかありませんが、そうするとチョコの味も薄くなる。 ではココアを使えばどうかと思うが、粉っぽかったり、“チョコ”ではなくやっぱり“ココア”になってしまう・・・など。 確かに美味しいチョコのかき氷って難しそうですよね。 ブリーズさんはどうしているのだろうと想像しながら待っていると・・・来た! ミントシロップは鮮やかな緑色。これは市販のミントシロップかミントリキュールか?フレッシュミントは使っていないのかな。 いろんなことが頭の中を渦巻きながら、一口頬張ると・・・美味しい! ミントは意外なことにナチュラルな雰囲気もあり、チョコシロップはビターで美味しいチョコそのものを食べている感じ。 そして丁寧に削られた氷はフワッ・サクッと♪(ガラス越しにシェフが氷を削っている様子が見えるのですが、真剣な面持ちで慎重に削氷機のハンドルを回しているのを確認)。 |
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チョコミントのかき氷 |
お聞きしたところ、ミントシロップはリキュールのアルコール分を完全に飛ばし、フレッシュミントを一晩漬けこんでいるのだとか。 チョコシロップはカカオ分が高いビターなチョコでガナッシュを作り、それをミルクで薄めるとのこと。 ミルク、混ざっているんですか? 全くミルクっぽくないんですけれど。 こんなに美味しいチョコのかき氷が食べられて、俄然他のフレーバーも気になってきました。 ということで、2杯目は“イチゴと木苺”。 この組み合わせ、木苺の方が香りも酸味も強いから、イチゴが負けてしまいそうだなぁ・・日本のかき氷って木苺よりイチゴの方が合うと思っている私はそこが気がかりでした。 しかしそんな心配は一口で吹き飛びました。イチゴが主役!木苺は引きたて役にまわっています。 まるで甘みも酸味も十分な味の濃いイチゴを食べているみたい。 そして嬉しいのが、トッピングされた生イチゴ。お客様の要望で夏でもイチゴショートケーキは欠かさないというブリーズさん。 パティスリーだからこそできる、贅沢トッピングですね。 |
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イチゴと木苺のかき氷 |
ここまできたら、やはり全種類食べておこうと“マンゴーオレンジ”も追加。 主役はマンゴーですが、マンゴーだけだと味がぼんやりしがちになるので、酸味のあるオレンジをプラスしたとのこと。 あぁ、そうなんですよね!マンゴーのかき氷って本当に難しいと思うのです。かなり味が濃くて美味しいマンゴーを使わないと、“酸味の無い温州みかん味”っぽくなってしまうのです。 トッピングに使っているマンゴーは、マンゴープリンにも使っているマリネ。これはちょっと甘め。 |
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マンゴーオレンジのかき氷 |
当初は1杯かせいぜい2杯食べて、せっかくだからケーキも食べようかと思っていたのに、3杯も食べてしまったからケーキを食べる余力がほとんど無くなってしまいました(汗)。 出来立てのチョコミントエクレアだけ食べて、再訪を約束。(8月後半にはフレーバーが入れ替わる予定とお聞きしたので) |
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夏の前半に登場していたチョコミントのエクレア |
そして先日、「そろそろ新作が?!」と思って拝見したブログに、かき氷のフレーバーが入れ替わったとの情報が掲載されていました。 新しいフレーバーは“抹茶”と“ピーチ”。 まずは"ピーチ"からいただきました。 (ちなみに冷蔵ケースの中には桃を使ったケーキが3種類ほどあったでしょうか) ピンク色の透明感のあるシロップに、フレッシュの桃を2切れトッピング。 シロップが重くなりすぎるということで、生の桃から作るシロップではなく、桃のピューレに赤桃のピューレを少々(風味と色を出す為に)ブレンドするそうです。 もう一つ隠し味があるのですが、全部ばらしてはつまらない気がするのでナイショです(笑)。 |
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ピーチのかき氷 |
次は“抹茶”。 お菓子にも抹茶を使ったものがいくつかあるので、パティスリーとはいえ抹茶のかき氷は自然な流れ。 色合いも本格的です。でも色だけじゃ判断できないわよね〜と思いつつ一口。 えっ!これは・・・まるで玉露をいただいているような甘み&ちょっと海藻に似た香り。(高級な玉露って海藻みたいな香りがするんです)後味はほんのりと紅茶に似た香りも感じたり・・かき氷の抹茶でこの味は初体験。 リリエンベルグの横溝シェフがいらっしゃった時に抹茶のお菓子を食べて「もっといい抹茶があるよ!」と紹介してくださったものを、現在使っているそうです。 お店を出てから「抹茶のシフォンケーキか抹茶のカステラをテイクアウトすればよかった!」と思いました。次伺う際には必ず! |
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とにかく、私の予想をはるかに超える美味しさに「パティスリーのかき氷、見直したぞ」と。 その美味しさの秘密、お話をうかがって納得しました。 私は“かき氷はフレンチのデセールに負けない、立派なデセールである”と思っているのですが、高橋シェフもそのように捉えていらっしゃいました。 「デセールと同じく、引き算の食べ物」だと。 デセールでもアレコレ盛り込みすぎて、「一体何が主役なの?」というものがありますが(これはレストランデセールを経験したことがないパティシエさんがやりがち)、主役をはっきりさせて他の素材はあくまで引きたて役に。統一感を持たせることが大切。 また、パーツはある程度用意して食べる直前に仕上げるのも、デセールとかき氷は似ています。 それから、どのかき氷もシロップとミルクが幾層にも重なっていて、横から見ると地層のようになっています。 私は普段“ミルクはかけない派”ですが、ブリーズさんのかき氷ではミルクは気にならずに食べることができました。 練乳を牛乳で割ってさっぱりさせているのですか?とお聞きしたら「いえ、練乳はそのまま使います」と意外なお返事。 ミルクは氷とシロップをつなげる役目(デセールで言うところのソースの役目。つまり皿に2つのパーツが乗っているだけではバラバラ感があるけれど、それをつなげて一体化させるのがソースだと)なのだそうです。 絶妙な量が、主役のシロップと氷を邪魔しないで、むしろ引き立てていたんですね。 |
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ピンクペーシュを食べてみました。とてもスムースな口どけのムース、赤すぐりやネクタリンの酸味がアクセント |
今年かき氷にトライするにあたり、食べ歩きもされたそうで、真剣に取り組まれていらっしゃるなぁと嬉しくなりました。 すでに「来年はどんな味のかき氷を作ろうかな?」と考えられていて、楽しんでやっていらっしゃる様子が伝わってきました。 また、今回はかき氷がきっかけで久しぶりに伺ったわけですが、とてもいい機会になりました。 開店したばかりの頃は、(当たり前ですが)修業先の雰囲気を色濃く感じるラインナップでしたが、今はどのケーキもブリーズさんの顔をしている!と感じることができました。 中でも興味をひかれたのが“サバラン”。 現在はオレンジとコーヒーのサバランですが、季節ごとに味をかえて一年中提供しているのだそうです!(これの前はパイナップルとライムのサバランだったそうです) また、生地はロブションにいらっしゃった時にパン職人さんに教えてもらったものをベースにしているとか。(パティシエが作るものとは全く違うそうです) 個人的にも大好きなサバラン、一年間追っかけてみようか! かき氷が引き寄せてくれた、ステキな出会いに感謝です。 |
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パティスリー・ブリーズ |
住所:東京都昭島市昭和町1-5-8ウェルネス昭島1F |
Tel:042-519-1325 |
営業時間:10:00〜19:00 |
定休日:水曜日 |
※かき氷は9月中旬、もしくは9月いっぱいの予定とのことなので、 9月後半以降にお出かけの際は、お店への確認をおすすめします。 |
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