撮影:邑口京一郎

文 佐々木 千恵美 


スイーツのポータルサイト『Sweet Cafe』を主宰し、パナデリアでも「フランススイーツ紀行」を連載してくださったお菓子研究家の下園昌江さんが、2021年4月、2冊目となるご自身のレシピ本を出版されました。

「アーモンドだから、おいしい」は、昨年の「おいしいサブレの秘密」のバターと同じく、アーモンドという素材の特徴、特性を、‘しっとり、カリッと、サクッと’といったテクスチャー別に分けたレシピを紹介しています。

お菓子教室をされている下園さんはIntroductionのページで、こう語っています。
「焼き菓子に使う基本的な材料は、バター・砂糖・卵・小麦粉の4 種類ですが、ここにアーモンドをプラスすると、驚くほどに味わいが変わってきます。ホールやスライス、ダイスなどの形がはっきりしたアーモンドを使うとカリッとした食感が生まれ、食欲をそそります。そして私がいちばん多く使う粉状のアーモンドプードルは、クッキーならサクッと香ばしく、パウンドケーキはしっとり焼き上がり、アーモンドの豊かな風味とコクが加わって、お菓子がぐんとおいしくなるのが実感できます」

撮影:邑口京一郎

下園昌江さん


表紙を彩るのは、プラリネクリームのダックワーズ。
裏表紙にはモカロール。
シックで繊細なお菓子の佇まいが、上質な味わいを丁寧に作るこの本の内容を表しているようです。


撮影:邑口京一郎

「アーモンドだから、おいしい」表紙。主役としても隠し味としても味わいを豊かなものにしてくれるアーモンドレシピ満載の一冊に仕上がっています。


今回も目次はお菓子図鑑。
名前、ページと共にお菓子の主に断面画像が一枚、添えられています。
文字で選ぶか、画像を見て直感で決めるか、テクスチャーのイメージから考えるか・・・!?


撮影:邑口京一郎

図鑑のような見開きの目次。Chapitre1 しっとり コクのある と。Chapitre2 カリッ、 サクッ香ばしい という2つのテクスチャーによるカテゴリーで分けて紹介。


全カラー、80ページの1冊には、工程写真付きで31種類のお菓子が掲載されています。全てアーモンドを使う切り口なので、サブレ、パウンドケーキ、タルト系のような焼き菓子はもちろん、クリームを使った生菓子も盛り込まれ、今日は何にしようか迷いながらめくるのが楽しい1冊です。


撮影:邑口京一郎

「モカロール」懐かしい雰囲気のモカロールをアップデート。


撮影:邑口京一郎

「栗とほうじ茶のパウンドケーキ」 最近よく見かけるパウンド生地とダックワーズ生地を重ねた2層仕立て。


撮影:邑口京一郎

「アーモンドのバトン」 ダイス状のアーモンドが威力発揮。


撮影:邑口京一郎

「いちごのタルト」アーモンドたっぷりの定番、タルトにいちごで色を添えて。


フランスやイタリア、スペイン、イギリス、オーストリア等の伝統菓子、地方菓子に下園さんらしいタッチを加えたセンス良い仕上がりのお菓子ばかり。


撮影:邑口京一郎

「ヴィクトリアサンドイッチケーキ」英国の人気伝統菓子に、アーモンドプードルを加え軽やかにアレンジ。


Bacci di dama(バーチ・ディ・ダーマ=貴婦人のキス)というイタリアのサンドクッキーを、形状から「ころころチョコサンド」との日本語に。わかりやすいネーミングにもセンスがあらわれていますね。


撮影:邑口京一郎

「ころころチョコサンド」キスしたくなるようなころころを目指しましょうか。


甘さとコク、しっとり、カリッと、サクッと!
この本を片手に、こんなふうにアーモンドの持ち味を活かした、ひと味上のお菓子作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。



アーモンドだから、おいしい

 著者:下園昌江
 定価:本体1,600円+税
 発行:文化出版局
 発売日 : 2021/05/02
 単行本 :80ページ